この記事では、2022年 W37(37週目:2022/9/12〜9/16)の週間パフォーマンスを簡単に解説していきます。
※ あくまで投資は自己責任でお願いいたします
9月第3週目のS&P500は「-4.77%」の下落となりました。先々週は、3%を超える上昇となっていましたが、先週は4.77%の下落となりました。特に、8月度の消費者物価指数の発表後に大きく下げており、そのあたりを簡単に振り返っていきます。
他にも、米国株のセクター別のパフォーマンス、S&P500の上位銘柄の上昇率、VT vs VTI vs VOO(全世界 vs 全米 vs S&P500)の1週間の比較など、簡単に紹介していきますので、良ければ最後までご確認ください。
S&P500 1週間のニュース(消費者物価指数の発表)

2022年9月3週目の1週間の経済ニュースの中から、S&P500に影響が大きいと思うものをピックアップして紹介していきます。今回は、以下の1つについて簡単に説明します。
先週は、「8月度の米国消費者物価指数」の発表がありました。その発表後、株価は大きく変化しました。では、消費者物価指数の発表内容について簡単に紹介していきます。
8月の米国消費者物価指数の発表
そもそも消費者物価指数とはなんなのでしょうか?
米国消費者物価指数とは?
米国国内の物価の上昇・下降などの変動を表す経済指数です。CPI(Consumer Price Index)とも呼ばれ、米労働省が毎月中旬に公表しています。
消費者が購入するモノやサービスなど、総合的に物価がどのように変化しているかを指数として表したものです。
インフレ率を分析するための最重要指標として、市場関係者からも注目されています。
なお、消費者物価指数の中から、変動の激しいエネルギー関連数値や食料品目を取り除いたものを「消費者物価指数コア」といいます。
引用元:SMBC日興証券、楽天証券
「総合的に物価がどのように変化しているかを指数として表したもので、インフレ率を分析するための最重要指標として、市場関係者からも注目されている」ということで、ここ最近は各国物価上昇をいかに抑えるかに全力を注いでいるため、消費者物価指数にはより注目度が上がっている状況です。
8月度の米国消費者物価指数は、日本時間9/13(火)の21時30分に発表されました。
その結果は、以下の通りで、市場予想を上回る結果となりました。
8月 消費者 物価指数 | 結果 | 市場 予想 | 先月 |
---|---|---|---|
総合 | 8.3% | 8.1% | 8.5% |
コア | 6.3% | 6.1% | 5.9% |
7月度の結果は、若干インフレ圧力が弱まってきていると言う印象が市場に広がり、安心材料として捉えられました。しかし先週発表された8月度の結果は、市場予想を上回る結果であり、コア指数に関しては先月の結果も上回る結果となりました。この結果を受けて、S&P500は大きく下落しました。この日(9/13)の下落幅は、「-4.32%」と非常に大きな下げ幅になりました。
実際にS&P500指数の1週間のチャートの中で、消費者物価指数が発表された直後の下落幅を見てみましょう。
* 8月消費者物価指数時のS&P500

9/13 21:30に発表された後に、大きく下落しており、その日はずるずると下落を続けていることが分かります。
では、続いてS&P500指数のチャートなどを詳しくみていきます。
S&P500 1週間のパフォーマンス(2022年 W37)

では、S&P500の1週間のチャートを確認していきましょう。2022年9月12日(月)〜2022年9月16日(金)の5日間が、2022年37週目(W37)のS&P500の週間パフォーマンスとなります。
S&P500の週間の上昇率
S&P500指数の1週間の上昇率を見てみましょう。まずは1分足で、1週間のチャートになります。
* 2022年9月3週目のS&P500

日付 | 曜日 | 上昇率 |
---|---|---|
9/12 | 月 | +1.06% |
9/13 | 火 | -4.32% |
9/14 | 水 | +0.34% |
9/15 | 木 | -1.13% |
9/16 | 金 | -0.72% |
1週間 | -4.77% |
9/12(月)〜9/16(金)の5日間のうち、月曜日と水曜日は上昇しています。しかし火曜日の下落幅が大きすぎるため、1週間でみるとS&P500指数は「-4.77%」の下落となりました。-4.77%の内9/13(火)の下落幅が大部分を占めることもわかります。
先々週の2022年9月2週目(W36)は、「+3.65%」の上昇となっていましたが、今週はその上昇幅以上の下落となってしまいました。もう少し詳しくみていきます。
S&P500 採用銘柄のヒートマップ
S&P500指数に採用されている500社の1週間のパフォーマンス(増減率)と、時価総額を一度に確認できるヒートマップを確認してみましょう。
* 2022年9月3週目のS&P500銘柄ヒートマップ

見ればわかりますが、赤が下落している銘柄、緑が上昇している銘柄です。黒に近いと増減率が0%に近いことを意味しています。
見ると、ほとんどの銘柄が真っ赤っかになっており、大きく下落していることが分かります。後ほど紹介しますが、アップル・マイクロソフト・アマゾン・アルファベットなども4~8%の下落と非常に大きく下げています。
一方で中には、緑色になっている銘柄も見られます。有名どころでいくと、テスラやジョンソン&ジョンソンが緑になっており、2銘柄ともに1%以上の上昇となっています。そのほかにも、ヘルスケアセクターの銘柄にはちらほらと緑色になっている銘柄が見られます。
では、次はセクター別の1週間のパフォーマンスをみていきましょう。
S&P500 セクター別パフォーマンス
では、セクター別のパフォーマンスを見ていきます。
ここではS&P500採用銘柄だけでなく、比較は米バンガード社のETFのパフォーマンスを使用します。
参考のために、先週のセクター別上昇率も記載しています。
セク ター | ティ ッカ ー | 先週の 上昇率 (W37) | 先々週の 上昇率 (W36) |
---|---|---|---|
情報技術 | VGT | -6.18% | +3.66% |
金融 | VFH | -3.57% | +4.40% |
ヘルスケア | VHT | -2.64% | +4.65% |
エネルギー | VDE | -2.71% | +0.81% |
一般消費財 | VCR | -4.23% | +5.91% |
素材 | VAW | -7.17% | +5.11% |
資本財 | VIS | -6.23% | +3.91% |
不動産 | VNQ | -5.76% | +4.28% |
公益 | VPU | -3.52% | +3.47% |
生活必需品 | VDC | -3.75% | +1.96% |
通信 | VOX | -5.92% | +3.30% |
参考 S&P500 | VOO | -4.79% | +3.69% |
先週の米国株は、全11セクターが下落となりました。S&P500指数にあたる「VOO」は「-4.79%」の下落であり、指数よりとほぼ同じです。
下落が特に大きいセクターは、「情報技術・素材・資本財・通信」であり、5%以上の下落。
比較的下落が小さかったセクターは、「ヘルスケア・エネルギー」であり、下落率は2%台に留まっています。
各セクターの日別パフォーマンス
9月12日(月)〜9月16日(金)の各セクターの日々のパフォーマンスをまとめた表になります。

9/13(火)の下落が目立ちます。全セクター揃って真っ赤になっています。それ以外で目立つところは、エネルギーセクターのみ、9/14(水)に3%台の上昇となっている点です。このおかげで1週間で見た際に、比較的下落率が小さくなったと言えます。
S&P500 上位10銘柄の構成割合
各セクターやS&P500自体にも大きな影響を与える上位銘柄のパフォーマンスを見ていきます。
まずは先週時点のS&P500の上位銘柄を確認しましょう。S&P500の上位銘柄は、米バンガード社の米国ETFである「VOO」の構成銘柄で見ていきます。
* 先々週(W36)のVOO(S&P500)の上位10銘柄

* 先週(W37)のVOO(S&P500)の上位10銘柄

* 変化率(S&P500上位10銘柄)
ティ ッカー | 銘柄 名 | 先週 (W37) | 先々週 (W36) | |
---|---|---|---|---|
1 | AAPL | アップル | 7.16% | 7.12% |
2 | MSFT | マイクロ ソフト | 5.79% | 5.98% |
3 | AMZN | アマゾン | 3.29% | 3.36% |
4 | GOOGL | アルファ ベットA | 1.92% | 1.99% |
5 | GOOG | アルファ ベットC | 1.79% | 1.84% |
6 | TSLA | テスラ | 2.05% | 2.13% |
7 | BRK.B | バークシャ ハザウェイ | 1.50% | 1.55% |
8 | UNH | ユナイテッド ヘルスケア | 1.44% | 1.45% |
9 | JNJ | ジョンソン & ジョンソン | 1.26% | 1.31% |
10 | XOM | エクソン モービル | 1.19% | ランク外 |
10 | NVDA | エヌビディア | ランク外 (11番目) | 1.30% |
上位10銘柄 が占める割合 | 27.39% | 28.03% |
VOO(S&P500)の構成銘柄とその割合です。先週時点でVOOの上位10銘柄の情報が更新されています。内容としては、上位10銘柄からエヌビディアが外れ、代わりにエネルギーセクターのエクソン・モービルがランクインしています。また上位10銘柄が占める構成割合も、28.03%から27.39%に若干減少しています。
S&P500の上位10銘柄の上昇率
各セクターやS&P500自体にも大きな影響を与える上位銘柄のパフォーマンスを見ていきます。
次の画像と表が、S&P500の上位10銘柄の日々の上昇率をまとめたものになります。
* S&P500 上位10銘柄の上昇率
ティ ッカー | 銘柄名 | 先週の 上昇率 (W37) | 先々週の 上昇率 (W36) | セクター | |
---|---|---|---|---|---|
1 | AAPL | アップル | -4.24% | +1.00% | VGT 情報技術 |
2 | MSFT | マイクロ ソフト | -7.46% | +3.28% | VGT 情報技術 |
3 | AMZN | アマゾン | -7.31% | +4.52% | VCR 一般消費 |
4 | GOOGL | アルファ ベットA | -7.09% | +2.60% | VOX 通信 |
5 | GOOG | アルファ ベットC | -7.29% | +2.85% | VOX 通信 |
6 | TSLA | テスラ | +1.22% | +10.91% | VCR 一般消費 |
7 | BRK.B | バークシャ ハザウェイ | -3.84% | +2.92% | VFH 金融 |
8 | UNH | ユナイテッド ヘルスケア | -0.63% | +1.55% | VHT ヘルスケア |
9 | JNJ | ジョンソン & ジョンソン | +1.14% | +1.82% | VHT ヘルスケア |
10 | XOM | エクソン モービル | -0.53% | ー | VDE エネルギー |
10 | NVDA | エヌビディア | -8.26% | +5.42% | VGT 情報技術 |
(比較) | VOO (S&P500) | -4.79% | +3.69% | ー |
* S&P500 上位10銘柄の日々の上昇率

上位10銘柄の上昇率を見ると、先ほど同様に9/13の下落が目立ちます。しかし1週間パフォーマンスで数少ない上昇となった「テスラ」や「ジョンソン&ジョンソン」は、9/14の上昇率が周りに比べ大きく、また木曜日も下落せずに留まっていることが分かります。
一方で上位10銘柄から落ちてしまったエヌビディアは、火曜日に-9.5%の下落と他の銘柄に比べてもダントツで下落幅が大きいことが分かります。
S&P500と他指数の比較

続いて、S&P500と他の指数(NYダウ・NASDAQ100)の比較を行います。
また株価への影響が大きい「為替・10年債利回り・VIX指数」との比較も行っていきます。
NYダウ・NASDAQ100との比較
青がS&P500指数、黄色がNYダウ、赤がNASDAQ100指数となります。

指数 | グラフ色 | 増減率 |
---|---|---|
NYダウ | 黄 | -4.13% |
S&P500 | 青 | -4.77% |
NASDAQ 100 | 赤 | -5.77% |
先週は3指数全てが下落。最も下落率が大きいのは、やはりNASDAQ100となっています。逆に最も下落率が低いのはNYダウであり、S&P500はその間という結果。
では、株価と密接に関係している「米国10年債利回り」と「VIX指数」についても1週間の動きを見ていきます。
米国10年債利回り・VIX指数(恐怖指数)
続いて、米国10年債利回り・VIX指数(恐怖指数)とS&P500指数を比較してみましょう。

青がS&P500、オレンジが恐怖指数、紫は米国10年債利回りになります。それぞれ見ると、消費者物価指数の発表後に、恐怖指数と米国10年債利回りが大きく上昇しています。それに反する形でS&P500指数は下落。その後も1週間通して、だらだらとS&P500は下落しています。
やはり先週(W37)は、8月の消費者物価指数(CPI)の発表が大きく影響した1週間と言えます。
VT vs VTI vs VOO(全世界 vs 全米 vs S&P500)

続いて、VT vs VTI vs VOO(全世界 vs 全米 vs S&P500)について、今週のパフォーマンスを比較してみましょう。

ティッカー | 投資対象 | 1週間の 上昇率 |
---|---|---|
VOO | S&P500 | -4.79% |
VTI | 全米株式 | -4.80% |
VT | 全世界株式 | -4.18% |
これまで同様、先週のVT・VTI・VOOは全て下落しています。先週は、VTI(全米株式)とVOO(S&P500)がほとんど同じ下落率であり、VT(全世界株式)が最も下落率が小さい結果。
ちなみに、先週の米国小型株2000銘柄からなる「RUSSELL2000指数」は、「-4.50%」とS&P500の下落率とほとんど変わらない結果であるため、VTIとVOOで差がつかなかったと考えられます。
この辺りの「VTI(全米株式) vs VOO(S&P500)」や「RUSSELL2000の影響」「全世界株式 vs 米国株」などの比較については、こちらの記事「VT・VTI・VOOの違いを解説」で解説していますので、よければご覧ください。
S&P500(日本円換算)のチャート

S&P500で資産運用する場合、国内の投資信託を用いることが多いかと思います。
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)や、SBI・V・S&P500インデックス・ファンドが多いかと思いますが、そこで日本円に換算したS&P500のパフォーマンスも見てみましょう。
S&P500と為替の動き

ここ最近為替(ドル円)は円安がどんどん進んでいます。先週(W37)は若干ですが、1週間で「+0.23%」の円安となりました。円安が進むと、国内の人気の投資信託でS&P500に投資している方は、資産が増えることになります。
しかし先週は、それ以上にS&P500指数が下落したため、「SBI・V・S&P500インデックス・ファンド」や「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」の基準価格は大きく下落することが見込まれます。
年初来のS&P500(日本円換算)のパフォーマンス
では次に、S&P500の日本円換算チャートになります。
ちなみに1分足での計算ができないので、日足で2022年1月3日〜2022年9月16日のチャートになります。

先週時点 (W37) | 先々週時点 (W36) | |
---|---|---|
S&P500 (日本円換算) | +0.96% | +6.55% |
S&P500(日本円換算)は、2022年の年初来で見ると、先週末時点では「+0.96%」のプラスになんとか留まっています。先週は為替の影響というよりも、S&P500指数がシンプルに大きく下落したので、その影響を受けています。
つまり以下にも記載している「SBI・V・S&P500インデックス・ファンド」や「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」の基準価格も上昇することが見込まれます。
S&P500へ投資できる人気の投資信託

少し触れましたが、S&P500に投資できる投資信託は数多く存在します。その中でも、非常に人気度の高い投資信託が2つあります。
* S&P500へ投資できる人気の投資信託
これら2つの投資信託は、国内トップの人気を誇る商品であり、生活資金や老後資金の準備のために資産を運用するのに利用される非常に優秀な投資信託になります。
私自身もこれら2つの投資信託を利用して資金の80%程度を運用しています。
なぜ「S&P500」を利用するのか?
S&P500は、米国企業の中から特に優秀な企業を500社を選び算出される指数です。
選ばれるということは、選ばれない/外される企業もあります。つまり常に優秀な企業だけで構成されるのがS&P500になります。
その優秀な500社が1つのパックになったS&P500は、過去100年を振り返っても順調に成長を続けている株価指数になります。

なぜ投資信託を利用するのか?
S&P500に投資する際におすすめなのが投資信託です。
投資信託の特徴は、「100円から数千円程度の少ない金額から購入できる点」と「分配金を自動で再投資できる点」の2点です。
対して、今回紹介してきた「VOO(S&P500)」や「VTI(全米株式)」などは、米国ETFといい、1株単位での売買となります。1株が数万円程度することからも、購入しにくい点がデメリットとなっています。1株単位の取引なので、分配金が入ってもその分配金で1株購入できない場合や、端数のお金が発生したりします。
少額でも購入でき、分配金は自動で再投資してくれる投資信託は、複利の力を効率的に発揮できる非常に優れた商品です。
分配金を再投資した場合と、再投資しなかった場合を比較すればその威力がわかります。
* 分配金を再投資する/しないの比較(S&P500)

分配金を再投資する方が圧倒的に資産の増加スピードが速いことがわかります。
なので十分な資金がありVOOやVTIの分配金(数%)だけで、さらにVOOやVTIを追加購入できるほどの資金力がある方は別ですが、一般の方が効率的に資産運用するためには投資信託を利用して分配金を再投資し複利の力で運用していくことが最も効率がいい運用方法になります。
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まとめ(2022年 W37 のS&P500)
先週(2022年W37)のS&P500は、「-4.77%」の下落となりました。先々週(W36)は3%以上も上昇していましたが、それ以上に下落する結果となりました。
S&P500は生活資金や老後資金の準備のために、長期投資を前提に運用している方も多いかと思います。S&P500(米ドル換算)は、2022年の年初来でまだ10%以上の下落となっていますが、長期投資を前提に運用している方/したい方にとっては、この下落しているタイミングはチャンスと捉えることもできます。
S&P500は「米国のトップ500社からなる非常に優秀な指数で、数年単位で見ると着実に成長している」。これが「S&P500」です。
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