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VYMとは?低コストな高配当ETFの配当利回り・銘柄・メリットは?SPYDとHDVとの違い

 この記事では、VYM:バンガード 米国高配当株式ETFについて紹介します。

 簡単にいうと、VYMは平均以上の配当を出す米国企業約410社から構成される米国ETFです。今回は、VYMのETF情報・配当利回り・構成銘柄・チャート・メリット/デメリットを紹介していきます。

 ※2021年5月30日時点で公開されているデータを元に記事を作成しています。

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VYM:バンガード 米国高配当株式ETF とは?

 VYMとは、米バンガード社が運用する米国ETFであり、正式名称は「バンガード 米国高配当株式ETF(Vanguard High Dividend Yield ETF)」です。

 High:高い、Dividend Yield:配当利回り → High Dividend Yield:高配当利回り という意味です。

 現在、VYMは約400銘柄から構成されており、400銘柄は「平均以上の配当を出すこと」を条件に選定されています。

平均以上の配当とは?(配当の平均値は?)

 米国企業の配当率の平均は、おおよそ2.4%程度を言われております。最新データを探しましたが見つかりませんでした。しかし、だいたい2.4%程度が配当率の平均なので、2%後半〜3%あれば高配当銘柄を言うことができます。

VYMのETF情報

 VYMのETFの情報を以下にまとめます(2021年5月25日時点)

項目VYMVIG(比較)VOO
名称バンガード 米国高配当株式ETFバンガード
米国連続増配株式 ETF
バンガード
S&P500 ETF
運営会社米バンガード社米バンガード社米バンガード社
設定年2006年2006年2010年
インデックス指数FTSE High Dividend
Yield Index
省略S&P500
構成銘柄数約400社約240社約500社
構成銘柄条件市場平均以上の配当連続増配10年以上S&P500指数
経費率0.06%0.06%0.03%
運用総額約360億米ドル約580億米ドル約2200億米ドル
配当利回り2.82%1.51%1.41%
5年騰落率+77.56%+109.11%+120.14%
基準価格
(最低購入金額)
$106.76$154.55$381.42

 比較のため、バンガードで最も有名なETFである「VOO」と、同じ配当ETFで最近人気のある「VIG」の情報も記載してます。

 VYMは、高配当株式ETFなのでVOOやVIGに比べ、+1%以上配当利回りが高くなっています。また運用コストは0.06%とかなり安く、他社の高配当ETFに比べ最も安くなっています。

FTSE ハイディビデンド・イールド・インデックス(FTSE High Dividend Yield Index)とは?

 SBI証券のVYMのETF情報を見ると、ファンド概要の欄に「FTSE ハイディビデンド・イールド・インデックスのパフォーマンスへの連動を目指す」と記載があります。

 FTSE ハイディビデンド・イールド・インデックス(FTSE High Dividend Yield Index)とは、「FTSEグローバル・エクイティ・インデックス・シリーズ(GEIS)の米国コンポーネントの派生インデックスであり、米国企業の中でも高い配当利回りの銘柄で構成されて、算出される指数になります。

VYMの構成銘柄

 VYMの構成銘柄をご紹介します。全て紹介するとかなり膨大なデータになるので、ここでは上位30銘柄のみ紹介します。

企業名(ティッカーコード)組み入れ割合(%)
JPMorgan Chase & Co.(JPM)3.56%
Johnson & Johnson(JNJ)3.28%
Home Depot Inc.(HD)2.66%
Procter & Gamble Co.(PG)2.48%
Bank of America Corp.(BAC)2.40%
Comcast Corp. Class A(CMCSA)1.95%
Exxon Mobil Corp.(XOM)1.85%
Verizon Communications Inc.(VZ)1.83%
Intel Corp.(INTC)1.80%
AT&T Inc.(T)1.71%
Cisco Systems Inc.(CSCO)1.65%
Pfizer Inc.(PFE)1.64%
Coca-Cola Co.(KO)1.59%
PepsiCo Inc.(PEP)1.53%
Chevron Corp.(CVX)1.52%
AbbVie Inc.(ABBV)1.50%
Walmart Inc.(WMT)1.49%
Merck & Co. Inc.(MRK)1.44%
Broadcom Inc.(AVGO)1.38%
McDonald’s Corp.(MCD)1.34%
Wells Fargo & Co.(WFC)1.31%
Texas Instruments Inc.(TXN)1.27%
QUALCOMM Inc.(QCOM)1.19%
Eli Lilly & Co.(LLY)1.18%
NextEra Energy Inc.(NEE)1.16%
Linde plc(LIN)1.15%
Citigroup Inc.(C)1.13%
Philip Morris International Inc.(PM)1.13%
United Parcel Service Inc. Class B(UPS)1.12%
Bristol-Myers Squibb Co.(BMY)1.08%

 上位30銘柄でVIGの約50%を構成しています。また組み入れ銘柄は、アップルやマイクロソフトなどのハイテク系は入っていません(配当利回りが低いため)。銘柄は、JPモルガン・ジョンソン&ジョンソン・ウォールマートや銀行・医療などといった、昔からの有名な企業が多く、比較的株価が安定している企業ばかりで構成されていることが分かります。

VYM のセクター別割合

sector(セクター)組み入れ割合(%)
Basic Materials4.80%
Consumer Discretionary8.40%
Consumer Staples12.80%
Energy6.60%
Financials22.10%
Health Care12.10%
Industrials9.90%
Technology7.80%
Telecommunications7.40%
Utilities8.10%

 米国株式のETFは、テクノロジーが高い割合を占めることが多いですが、VYMはテクノロジーは高くなく、様々なセクターに分散されていることが分かります。

VYMのチャートを確認

VYMの設定来チャート

 2006年にVYMが設定されて以来、現在までのチャートになります。

 2008年からのリーマンショックや、2020年3月のコロナショック時は一時的に下げる場面もありますが、構成されている銘柄が配当率の高い優良銘柄であることから、すぐに回復し現在に至るまで最高値を更新し続けていることが分かります。

VYM、VIG、VOOのチャートを比較(2006年〜現在)

 青がVYM:高配当株式ETF、オレンジがVIG:10年連続増配ETF、緑がVOO:S&P500になります。先ほど同様2006年以降のチャートになります。

 株価(基準価格)の下落率が最も低いのはVIGですが、最終的に最も高い成長率となっているのはVOOになります。過去5年のトータルリターンを見ても、VOOが最も高いリターンとなっています。

ETFVYMVIGVOO
最大下落率
(2006~2021年)
-51.79%-41.11%-50.80%
配当利回り2.82%1.51%1.41%
5年トータルリターン12.20%15.79%17.08%

 同じバンガード社の他のETFと比較すると、VYMは配当が最も高いもののトータルリターンを見るとVIGやVOOに劣る結果となっています。

 トータルリターンとは、株価の上昇だけでなく、分配金含めて、トータルで受け取った利益のことを指します。

 とにかく配当好きと言う方はVYMで問題ないと思いますが、とにかく高いリターンを得たい場合はVIGやVOOも一度検討する必要があるかもしれません。

VYM,SPYD,HDVの比較(高配当ETF 3つの比較)

 今回紹介しているバンガード社の高配当株式ETF以外にも、SPYDやHDVといった高配当株式ETFがあります。詳しくは述べませんが、簡単にETF情報だけ比較していきます。

VYMSPYDHDV
運用会社バンガード社State Street社ブラックロック社
運用コスト
(経費率)
0.06%0.07%0.08%
銘柄数約400約80約70
運用総額約360億米ドル約45億米ドル約70億米ドル
配当利回り2.82%4.50%3.61%
5年トータル
リターン
12.20%10.33%8.03%
基準価格$106.76$41.62$98.06

 3つの高配当株式ETFを比較しましたが、「トータルリターン」に注目です。先ほども述べましたが、トータルリターンとは、株価の上昇だけでなく、分配金含めて、トータルで受け取った利益のことを指します。

 つまり、配当利回りだけをみると「SPYD」が最も優れてますが、基準価格の上昇含めたトータルで見ると、VYMが最も高いリターンを得ることができるということになります。

 さらにVYMは最も経費率が安く、VYMは最も低コストでかつ、最も高いリターンを得ることができる高配当株式ETFということになります。

 これより高配当ETFを購入する場合は、バンガード社のVYMが良いかと思います。

VYMのメリットとデメリット

メリット1:高配当株式ETFの中で最も低コスト

 VYM・SPYD・HDVを比較すると、VYMが最も低コストの0.06%/年でした。

メリット2:高配当株式ETFの中で最もリターンが高い

 SPYD・HDVを比較すると、VYMは最も5年トータルリターンが高いETFです。組み入れ銘柄数もVYMが最も多いため分散効果が得られ下落率が小さくなる傾向があります。

 つまりVYMは高配当株式ETFの中では、最も効率がいいETFと言えます。

デメリット1:高配当以外のETFと比較すると過去のリターンが劣る

 VYMをVIG(10年連続増配ETF)・VOO(S&P500)と比較しましたが、トータルリターンで見ると、VOO>VIG>VYMという結果でした。個人的には、現時点でVOO・VTI・QQQなど米国市場に投資できる銘柄を持っていない場合は、まずはVTIやVOOを検討してみてはいかがかと思います。高配当が好きだ」と言う方はVYMを選びましょう。

 ※あくまで過去のデータの話です。今後どうなるかは分かりません。投資は自己責任でお願いいたします。

デメリット2:米国ETFなので購入する際に手間がかかる

 VYMは米国ETFなので、少し手間がかかります。購入する際に自分で米国ドルに変える or 日本円決済の場合でも為替手数料が必要になります。また配当に対し、米国国内に対しても税金を払う必要があるため、税金を取り戻す場合確定申告等の手間が発生します。

 これらの手間を解説する方法として、日本国内の投資信託を利用する方法があります。

 VYMに連動する投資信託がSBI証券から販売(予定)されています。SBI・V・米国高配当株式インデックス・ファンド」と言いますが、為替手数料や税金の二重取り対策などの手間が省ける素晴らしい商品ですので、気になる方は以下の記事をご確認ください。

まとめ

 この記事では、VYM:バンガード 米国高配当株式ETFついて、ETF情報・構成銘柄・チャート・メリット/デメリットを紹介してきました。

 VYMは、高配当株式ETFの中では最も低コスト・最も過去5年トータルリターンが高く、効率がいいETFなので、高配当ETFを選ぶ場合はVYMがオススメです。

 しかし米国ETFは為替や税金の面から少し手間がかかる商品です。手間が気になる方は、SBI証券の投資信託を検討してみてはいかがでしょうか。

 またVOOやVIG、VTIについては、以下の記事をご確認ください。

 

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