※ 2022年4月7日 記事更新
この記事では、「全米株式のVTI」と「S&P500のVOO」の2つの米国ETFを徹底的に比較します。
VTIやVOOは、ここ数年長期投資を行うための商品として、国内でも人気が高まっており、全世界株式と合わせて、非常に多くの方が利用している銘柄になります。
米国ETFだけでなく投資信託でも、SBI・Vシリーズや楽天VTI、eMAXIS Slimシリーズなどを通して、VTIやVOO(S&P500)に投資することができるようになり、若い方や投資初心者の方でも投資信託で全米株式(VTI)やS&P500(VOO)で資産運用している方が増えています。
多くの方が利用している銘柄のため、VTI・VOO共に優秀な銘柄であることは間違いありませんが、「全米株式(VTI)」と「S&P500(VOO)」は、どちらの方がより優れているのでしょうか?
そこで今回は、VTIとVOOの内容・銘柄・過去のパフォーマンス・実際のリターン・下落リスクについて、徹底的に比較していきますので、最後までご覧ください。
- VTI:バンガード・トータル・ストック・マーケット ETF
- VOO:バンガード・S&P500 ETF
- 運用コスト
- 資産総額
- 配当利回り
- 銘柄比較
- 騰落率(成長率)
- 下落リスク(シミュレーションで確認)
- 他銘柄との比較(全世界株式、ビットコイン、イーサリアム)
著者は、2016年から2022年の現在に至るまで7年間米国株と、仮想通貨へ投資をここ1-2年間行っている会社員兼ブロガーです。
老後資金や今後の生活資金に不安を感じたので米国株への投資を始め、入金力を上げるためにブログ運営を始めました。
今回は、私自身気になっている「全米株式 or S&P500」について、調べたことを紹介していきます。このサイト内では他にも、仮想通貨のやり方やブログの始め方についても解説していますので、気になる方は、以下の記事をご確認ください。
VTIとVOOはどっちがおすすめ?

VTIとVOOはどっちがおすすめなのか?
先に結論を述べると、より下落リスクが小さいのはVOOになります。理由はVOO(S&P500指数)が成績の優秀な大型株のみから構成されているためです。VTIは「全米」の株式が対象なので、中型株・小型株も含む分、値動きが大きくなる傾向になります。
よって、基本的にはVTIもVOOもほとんどパフォーマンスは変わりませんが、下落場面でより下落幅が小さく、リスクが抑えれるのが「VOO(S&P500)」になります。
逆に上昇局面では、場合によるので一概に言えませんが、小型株の上昇が目立つ時はVTIの方がパフォーマンスがより高くなります。大型株の上昇が目立つ時はVOOの方がより高い成長幅が見られます。
詳細は、以降に一つ一つ詳しく解説していきます。
また米国ETFであるVTIやVOOは、最低購入金額が数万円以上からとなっており、少額から投資を始めたい方やコツコツつみたて投資を行いたい方にはハードルが高くなります。
そんな方におすすめなのが、VTIやVOOとほとんど同じパフォーマンスを見せる国内の投資信託です。投資信託は、100円から資産運用が可能なので少額からコツコツ資産運用を行うことが可能です。
具体的には、以下の3つがVTIやVOOに投資できる国内の優秀な投資信託になります。
また投資信託を毎月コツコツ投資することで資産運用を行う方は、2021年より各社(SBI証券・楽天証券・マネックス証券)がサービスを開始しているクレジットカード決済を利用することをおすすめします。
理由は、投資信託の購入額の0.5%~1.0%がポイントとして還元されるためです。
SBI証券では、上記の3つの投資信託全ての取り扱いがあり、三井住友カード(NL)での決済でポイント還元を受けることができるので、非常におすすめです。これから資産運用を始める方はぜひ利用してみてください。(楽天証券は0.2%のポイント還元、マネックス証券はマネックスカードの利用となるため、SBI証券×三井住友カードがおすすめ)
VTIとは?(バンガード・トータル・ストック・マーケット ETF)

まずは、VTI(全米株式)について、内容を説明します。
VTIは、正式にはバンガード・トータル・ストック・マーケット ETFといいます。米バンガード社によって運用されています。
VTIの運用は、CRSP US トータル マーケット インデックス(CRSP US Total Market Index)への連動を目指しているため、VTIは米国企業のほぼ全銘柄に一度に分散投資できる銘柄になります。
CRSPのサイトには次のように記載されています。
「Nearly 4,000 constituents across mega, large, small and micro capitalizations, representing nearly 100% of the U.S. investable equity market, comprise the CRSP US Total Market Index.」
つまり「CRSP US トータル マーケット インデックスは、米国の投資可能な株式市場にある企業のほぼ100%に相当する4,000以上の大企業および中小企業から構成される」と言うことです。
S&P500指数や、NYダウ平均のように大企業だけでなく、中小企業も含まれていることが特徴になります。
インデックス (指数) | バンガード 米国ETF | 構成銘柄数 |
---|---|---|
CRSP US トータルマーケット インデックス | VTI | 米国の 大中小企業 約4,000社 |
S&P500 指数 | VOO | 米国の 大企業 約500社 |
NYダウ 平均株価 | ー | 米国の 大企業 約30社 |
VTIは米国の企業ほぼ全てを網羅した指数です。大企業だけでなく、中小企業も含まれており、VOOと比べ、構成される銘柄数が約8倍となっている分、より分散効果を得ることが出来そうです。
一方で、中小企業の業績が良くなく、資金が比較的大きく安定した経営を行なっている大企業に集中する場面などは、VOOの方が大企業のみから構成されるので安定性が期待できそうです。
VOOとは?(バンガード・S&P500 ETF)

VOOも米バンガード社が運営するETFであり、バンガード・S&P500 ETFと言います。
またVOOは、米国市場を示す代表的な指数「S&P500」に連動することを目指す米国ETFです。
S&P500指数は、世界中の投資商品の中でも最も人気のある指数であるため、VOOは最も有名なETFの1つとなっています。
S&P500とは、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスという投資機関が算出している米国市場の株価指数であり、時価総額加重平均型の株価指数になります。
1941年から1943年の時価総額の平均を10として、現在の時価総額がどの程度なのかを表しており、2021年6月末時点で、S&P500の値は4300前後なので、80年前後で約430倍になっているということになります。
上位500社から構成されており、S&P500指数は、米国市場の約80%の時価総額をカバーする指数となっています。
またS&P500指数は、常に銘柄の入れ替えが行われている指数です。
つまり業績が悪い・影響力の無くなってきた企業は、新しい勢いのある企業や業績が安定して上昇している企業などと、入れ替えが行われます。
最近だと、2020年12月にテスラ(TSLA)が、新たにS&P500指数へ採用されました。
このように常に安定した企業から算出されるのがS&P500指数のため、安定して成長が見込める指数になっています。
VTIとVOOはどっちがおすすめか?ETFを比較

VTIとVOOのどっちがおすすめか検討するため、各ETF情報を比較します。
- 運用コスト
- 資産総額
- 分配利回り
- 銘柄比較
- 騰落率(成長率):後ほど解説
- 下落リスク(シミュレーションで確認):後ほど解説
- 他銘柄との比較(全世界株式、ビットコイン、イーサリアム):後ほど解説
ETFとして異なる点は、すでに説明した通り、全米株式に分散投資するか、S&P500指数に投資するかの違いです。それによって、銘柄数や成長率が異なります。重要な項目について以下にまとめました。(2022年4月1日時点の情報)
項目 | VTI | VOO |
---|---|---|
名称 | バンガード トータル ストック マーケット ETF | バンガード S&P500 ETF |
運営会社 | 米バンガード社 | 米バンガード社 |
設定年 | 2001年5月 | 2010年9月 |
指数 | CRSP US トータル マーケット インデックス | S&P500指数 |
構成銘柄数 | 約4000銘柄 | 約500銘柄 |
構成銘柄 セクター | 全米株式 | 米国・全セクター |
経費率 | 0.03% | 0.03% |
運用総額 | 約2791億米ドル | 約2774億米ドル |
分配利回り | 1.28% | 1.32% |
1年騰落率 | 13.40% | 17.42% |
5年騰落率 | 107.49% | 112.88% |
基準価格 (最低購 入金額) | $228.58 | $421.53 |
大きく異なるのは、銘柄数になります。VTI・VOOは、銘柄数が異なることから騰落率(成長率)や配当利回りが若干ですが数値が異なります。
騰落率(上昇率)は、1年騰落率・5年騰落率共に、VTI(全米株式)よりもVOO(S&P500)の方が高くなっています。
しかし差は数%となっており、比べる時期が変わると、VTIの方が高くなることも良くあります。なので、この数%は差は小さいと考えて良さそうです。実際に、VTIとVOOの銘柄数は確かに異なりますが、S&P500指数も全米株式の時価総額の約80%をカバーする指数なので、長期で見るとVTIとほとんど変わりません。
1.経費率(運用コスト)
項目 | VTI | VOO |
---|---|---|
経費率 | 0.03% | 0.03% |
経費率はVTI・VOO共に0.03%です。
0.03%は投資信託やETFの中でも最安値となっています。
つまりは、100万円分のVTIやVOOを購入しても、運用コストはたった300円/年しかかかりません。米国ETFの運用コストは非常に安く人気です。
2.資産総額
項目 | VTI | VOO |
---|---|---|
運用総額 | 約2791億米ドル | 約2774億米ドル |
運用総額も、VTIとVOOでほとんど同じ額となっています。
しかし実際はVOOへの資金流入量の方がここ数年は多いです。2021年7月時点では、VTIが約2500億米ドル、VOOは約2300億米ドルと、200億米ドルの差がありましたが、この8~9ヶ月程度でVOOが追いついてきた形です。
このペースが続くと、今後はVOOの方が資産総額が多くなっていく可能性が高いです。資産総額が多いということは、人々が多くのお金を投資しているということなので、単純により人気があるということになります。
また2700億米ドルの規模が分からないという方もいるかと思います。2700億米ドルは、現在の為替で考える($1=122円)と、32兆9400億円となります。
一方で、日本国内で最も人気のある投資信託である「三菱UFJ国際 -eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」の総資産額は、約5000億円です。
これよりVTIとVOOが世界中からいかに多くの資金を集めているかが分かると思います。
3.分配利回り
項目 | VTI | VOO |
---|---|---|
分配利回り | 1.28% | 1.32% |
分配利回りもほとんど差はありませんが、少しだけVOOの方が高くなっています。これもその時の株価や銘柄の割合によって変動するので、分配利回りについてもVTIとVOOの配当利回りはほとんど同じと考えても問題ありません。
4.銘柄比較
続いて、VTIとVOOの上位銘柄の比較を行なっていきます。
全銘柄紹介していると文章量が莫大になるので、ここでは上位10銘柄に絞って紹介いたします。
※2022年4月1日時点のデータ
No. | 企業名 | VTI | VOO |
1 | アップル | 5.81% | 6.92% |
2 | マイクロ ソフト | 5.06% | 6.03% |
3 | アマゾン | 2.99% | 3.60% |
4 | アルファ ベット A | 1.84% | 2.18% |
5 | アルファ ベット C | 1.64% | 2.03% |
6 | テスラ | 1.58% | 1.90% |
7 | エヌビ ディア | 1.31% | 1.64% |
8 | バークシャ ハザウェイ | 1.23% | 1.58% |
9 | メタ (旧フェイ スブック) | 1.13% | 1.34% |
10 | ユナイテッド ヘルスケア | 1.01% | 1.21% |
上位10銘柄の 占める割合 | 約24% | 約29% |
VTI・VOOの銘柄自体は10銘柄全て同じとなっていますが、構成されている銘柄割合が異なっています。
しかし中小型株が含まれていないVOOの方が、その分1つ1つの銘柄の割合が高く、上位10銘柄が占める割合が約29%と4分の1以上を占めています。
一方で約4000銘柄から構成されるVTIは、上位10銘柄で約4分の1となる、約24%が構成されていることがわかります。VTIの方が構成銘柄数がVOOより多いので1つ1つの割合が低く、その分を他の中小型株に分散していることがわかります。
(参考)構成銘柄のセクター別割合
VTIとVOOを構成する銘柄のセクター別割合を見てみましょう。※2021年7月2日時点のデータ
セクター | VTI | VOO |
テクノロジー | 30.97% | 33.10% |
一般消費財 | 15.24% | 15.52% |
金融 | 14.97% | 13.72% |
ヘルスケア | 13.15% | 12.64% |
工業 | 10.27% | 9.60% |
生活必需品 | 5.46% | 5.87% |
エネルギー | 2.77% | 2.75% |
公共 | 2.66% | 2.61% |
材料 | 2.51% | 2.53% |
通信 | 1.32% | 1.53% |
少しデータが古いですが、VTIとVOOでほとんど差がないことがわかります。強いていうと、VOOの方が若干テクノロジーセクターの割合が高くなっています。VOOは全銘柄では無く、時価総額が比較的高い500企業から構成されるため、近年成長が著しいテクノロジーセクターの割合がVTIよりも高いと考えられます。
しかし数%の違いなので、VTIもVOOもセクター別割合はほとんど同じと考えて良いでしょう。
VTIとVOOの 「5.騰落率(成長率)」の比較

ここまで、経費率・資産総額・分配利回り・構成銘柄を比較してきましたが、若干の差はあれども大きな差はなく、VTIとVOOは似たようなETFであることがわかりました。
つまりあまり細かいことを気にしない方は、VTI(全米株式)とVOO(S&P500)を好みで選んでも問題ないと思います。
でも肝心なのは、「どれだけ成長するのか?またどれぐらい下落することがあるのか?」です。
まずはVTIとVOOの過去の価格チャートを比較してみましょう。
2011年〜2022年4月のチャートを比較
まずは2011年から2022年4月現在までの11年4ヶ月のチャートを比較してみましょう。

2011年4月から 成長率 | |
VTI | +303.2% |
VOO | +309.0% |
差 | 5.8% |
VTIとVOOの11年4ヶ月のチャートを比較すると、5.8%だけVOOの方がVTIよりも成長率が高くなっていることが分かります。
VTIは、中小型株の高い成長率を取り入れることが可能です。一方で中小型株は下落リスクも大きくなります。長期で見ると、成長率と下落が相殺されて、結局VOOとほとんど同じになっていることがわかります。
過去5年間、3年間、1年間のチャート比較
他の期間についても、VTIとVOOのチャートを比較してみます。
・過去5年間(2017年〜)

・過去3年間(2019年〜)

・過去1年間(2021年〜)

・まとめ
VTI | VOO | 差 | |
---|---|---|---|
過去11年間 (2011~) | 303.2% | 309.0% | 5.8% |
過去5年間 (2017~) | 95.1% | 100.1% | 5.0% |
過去3年間 (2019~) | 80.8% | 82.8% | 2.0% |
過去1年間 (2021~) | 17.4% | 21.1% | 3.7% |
VTIとVOOの騰落率(成長率)を比較すると、4つの期間の全てで「VOO>VTI」という順になりました。
ただしこの比較は、単純に基準価格の過去のチャート(成長率)を比較しただけなので、分配金(配当金)の再投資は考慮されていません。
実際に投資を検討されている方は、長期での投資目的で分配金は再投資される方も多いはずです。
次に、分配金再投資を含めたトータルリターンの比較と、下落相場での下落幅の比較を行います。
VTIとVOOで下落に強いのはどっち?(6. 下落リスク比較)

VTIとVOOで下落時の下落幅はどっちが小さいかを比較します。
実際にVTIやVOOを購入した際に資産がどのように増え、また減るのかをシミュレーションしてみたいと思います。
あくまで過去のデータを使用し計算するので、今後の動きを予測するものではないことをご留意ください。
それではみていきます。まずシミュレーション条件ですが、以下の通りです。実際はもっと複雑に資産運用されていくはずですが、以下の条件でもざっくりは比較することが出来ます。
- 初期費用$10,000(約100万円)を一括投資し、その後放置する
- 分配金は再投資するものとする
- 期間は以下の2つの期間でシミュレーションする
・期間①:2011年1月〜2022年3月(約11年間)
・期間②:2000年1月〜2022年3月(約21年間)
期間①(VTIとVOOの下落比較)
以下が、シミュレーション結果になります。縦軸が資産総額、横軸が時間(年)になります。

銘柄 | 2000年1月 | 2022年3月 | ベスト年 | ワースト年 | 最大下落率 | ソリティレシオ |
VOO | $10,000 | $45,959 | 32.18% | -37.02% | -50.97% | 0.62 |
VTI | $10,000 | $48,658 | 33.35% | -37.04% | -50.89% | 0.63 |
2000年1月に100万円($10,000)を一括投資した場合の結果を見ると、最終的な資産額は「VTI」の方が約27万円($2,700)多くなっています。
しかし各数値だけ見ると、最もパフォーマンスが良かった年の上昇率(ベスト率)も大きな差はないように見えますが、少しの差でも長期間になると27万円の差になるということです。
次に、下落時のパフォーマンスを比較します。
最もパフォーマンスが悪かった年の下落率(表中のワースト年)やシミュレーション期間中に最も一時的な下げ幅が大きかった時の下落率(最大下落率)も、下落時のパフォーマンスはVTIとVOOでほとんど差はありません。
つまり、2000年1月から約21年間のシミュレーションだと、「VTIとVOOで下落時のパフォーマンスに差はないものの、若干だけVTIの方が高い成長率を見せ」という結果になります。
期間②(VTIとVOOの下落比較)
続いて、過去11年間のシミュレーションを行います。
先ほど同様、以下が、シミュレーション結果になります。縦軸が資産総額、横軸が時間(年)になります。

銘柄 | 2010年1月 | 2022年3月 | ベスト年 | ワースト年 | 最大下落率 | ソリティレシオ |
VOO | $10,000 | $44,834 | 32.39% | -4.59% | -19.58% | 1.69 |
VTI | $10,000 | $43,192 | 33.45% | -5.41% | -20.84% | 1.57 |
過去11年間、2010年1月に100万円($10,000)を一括投資した場合の結果を見ると、今度は最終的な資産額が「VOO」の方が約16万円($1,600)多くなっています。
表に記載の各シミュレーション結果の数値を見ると、ベスト年のパフォーマンスはVTIの方が高くなっていますが、VTIは下落幅もVOOより大きく、その分最終的な資産額が少なくなっています。
VOOは、ワースト年のパフォーマンスも最大下落幅もVTIよりも小さく、より安定した資産運用ができていたと考えられます。実際に下落幅と上昇幅の比率をとった「ソリティレシオ」という値を見ても、VOOの方が高くなっています。
つまり、過去10年間のデータを見る限りは、VOOの方がVTIよりも下落リスクを抑えた運用ができていたことがわかります。
ソリティレシオ(Sortino ratio)は、下落リスクに対する上昇リターンを示す数値で、分母に下落リスク、分子にリターンを入力し算出されます。
ソリティレシオが高いほど、「下落リスクに対するリターンが大きい」or「リターンは低くても下落リスクがとにかく低い」のどちらかと考えることが出来ます。
S&P500指数とRUSSELL200指数の比較
参考までに、S&P500指数とRUSSELL2000指数を比較してみます。
なぜこの比較をするかというと、S&P500は大型500銘柄から構成されます。RUSSELL2000は小型2000銘柄から構成されます。
つまりRUSSELL2000のパフォーマンスが高い期間においては、大型株からのみ構成されるVOO(S&P500)よりも、小型株も含む全米株式であるVTIの方がパフォーマンスは良くなると考えられます。
・S&P500とRUSSELL2000の比較(2000年〜2010年)

2000年から2010年を見ると、大型株500銘柄のS&P500よりも、小型株2000銘柄のRUSSELL2000指数の方が成長率が高くなっていることがわかります。
先ほどのシミュレーションで2000年〜2022年の比較の際、VTIの方がパフォーマンスが高かった理由は、小型株の成長率の恩恵を受けていたためと考えられます。
・S&P500とRUSSELL2000の比較(2010年〜2022年)

次に、2010年以降のパフォーマンスを比較すると、小型株2000銘柄よりも大型株500銘柄であるS&P500指数の方が高いパフォーマンスを上げていることがわかります。
シミュレーションでも期間②(2011年〜2022年)の結果において、VOOの方が高いパフォーマンスとなっていたのは小型株よりも大型株のパフォーマンスが良かったことが要因になっています
VTI,VOOと他銘柄の比較

ではVTIやVOOを他の銘柄と比較してみます。具体的には以下の銘柄と簡単に比較します。
VTI・VOOとVTどっちがおすすめか?
全世界株式である「VT」と、VTI(全米株式)orVOO(S&P500)は、VTIかVOOがおすすめです。
理由は過去に限っては下落時に下落幅が小さく、成長率も高いためです。
詳しくは、以下の記事をご確認ください。
>>「VT・VTI・VOOの違いを解説。全世界と全米のどっちがおすすめか?」
VTI・VOOと日経平均株価はどっちがおすすめ?
早速比較してみます。青がVOO(S&P500)です。赤が日経平均株価です。

VTIはVOOとほとんど同じと考えてください。
2000年ごろから2022年3月までの株価チャートを比較していますが、S&P500(VOO)の方が日経平均株価よりも圧倒的にパフォーマンスが高いことがわかります。
この結果を見ると、日経平均株価よりもVTI(全米株式)かVOO(S&P500)で資産運用する方が高いリターンを得ることができると考えれます。
VTI・VOOと暗号資産イーサリアムを比較
最後に、VOOとイーサリアムを比較しています。

上の図はVOOとイーサリアムを2018年〜2022年3月で比較したグラフです。
日経平均株価に対しては圧倒的なパフォーマンスを見せていたVOO(S&P500)ですが、イーサリアムはさらに圧倒的なパフォーマンスを見せています。
しかしイーサリアムは、2018年後半〜2021年頃までVOOよりも低いパフォーマンスとなっていました。暗号資産は株式に比べ、ハイリスクハイリターンということがわかります。
暗号資産に関して詳しく知りたい方は、以下の記事をご確認ください。
>>「イーサリアムとは?仕組み・特徴をわかりやすく簡単に解説」
>>「仮想通貨の基礎知識を解説」
まとめ(VTIとVOOはどっちがおすすめ?)
この記事では、米国株へ投資する際に最も有名な2つのETFであるVTIとVOOの2つを比較しました。
VOOの方がVTIよりも下落幅は小さい傾向です。しかしVTIは小型株を含むため、小型株のパフォーマンスが高い時期はVOOよりも高いパフォーマンスとなることもあります。
VOOは時価総額が大きい大型銘柄のみから構成されるため比較的安定した成長を見せますが、VTIは小型株も含む全米株式に投資するため高い成長率を見せる小型株もあれば、下落していく小型株も含まれることが考えられます。
VTI(全米株式)か、VOO(S&P500)は、米国ETFだけでなく、日本国内の投資信託を利用して投資を行うことも可能です。
投資信託の方が手間が省け、自動で積み立て投資を行えたりメリットも多く、特に資産構築のためのつみたてNISAや長期投資での利用をおすすめいたします。気になる方は以下の記事をご覧ください。
>>「SBI・V・S&P500を分析。eMAXIS・全世界・全米と比較」
この記事で比較した内容を以下にまとめます。
また投資信託を毎月コツコツ投資することで資産運用を行う方は、2021年より各社(SBI証券・楽天証券・マネックス証券)がサービスを開始しているクレジットカード決済を利用することをおすすめします。
理由は、投資信託の購入額の0.5%~1.0%がポイントとして還元されるためです。
SBI証券では、上記の3つの投資信託全ての取り扱いがあり、三井住友カード(NL)での決済でポイント還元を受けることができるので、非常におすすめです。これから資産運用を始める方はぜひ利用してみてください。(楽天証券は0.2%のポイント還元、マネックス証券はマネックスカードの利用となるため、SBI証券×三井住友カードがおすすめ)
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