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【VT,VTI】全世界と全米 どちらに投資するべきか。銘柄・配当・チャートを比較しおすすめを紹介

 この記事では、全世界株式と全米株式のどちらに投資するべきかを検討していきます。

 バンガード社の米国ETFであるVTとVTIだと、皆さんにとってどちらがおすすめかを考えていきますので、最後まで読んでもらえると嬉しいです。

 記事内では、米国ETFで議論を進めますが、投資信託でも同じ内容の商品もありますので、投資信託でも運用を考えている方でも参考になるかと思います。(eMAXIS SlimやSBI V シリーズなど)

この記事の内容
  • 上昇率だけでは、過去30年みても米国株式一択
  • 全世界株式は、米国株式+日欧株式+新興国株式で構成されている。
  • 全世界にシンプルに投資を行いたい場合は、「VT」
  • 今後も過去30年同様に、米国市場が強いと考えている方は、「VTI or VOO」
  • 自分で配分を細かく決めて全世界に投資したい場合、VTではなく、「VTI+VEA+VWO」の3つに分けて購入
  • 個人的には、VTI(or VOO)のみで問題ないと考えてます。新興国が必要であれば、そこにVWOを足す形で十分。日欧は不要。理由は後ほど記載します。
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全世界株式と全米株式の差

 過去30年間の「全世界株式」と「全米株式」のパフォーマンスの違いを確認します。

 結果、米国株式が全世界株式より約2.7倍も高い結果となっています。

 この結果に対し、2つの考え方があると思います。①米国株式だけで十分、②今後も米国株式が上がるとは限らない、の2つになります。

 先に結論から言うと、簡単ですが、①の人は「VTI(全米株式)」、②の人は「VT(全世界株式)」に投資することが向いていると思います。

 私はどちらかといえば、米国株式が今後も成長を続けると考えているので、VTI中心に投資を行なっていますが、新興国にも期待したいので、VTIにVWOを組み合わせた投資を行なっています。

 以降、各銘柄の内容・チャート・メリットデメリットを検討し、実際に購入した際にどうなるのか過去のデータを用いてシミュレーションしていきます。

米バンガード社のETFの特徴と内容(VT・VTI・VWO・VEA)

 VTやVTIとは、米バンガード社が管理する米国ETF(上場投資信託)になります。バンガード社のETFは非常に低コストであることが特徴で日本でも人気があります。日本の証券会社から購入できるバンガード社のETFだけでも数十種類あります。

 その中で今回検討したい「全世界株式 vs 全米株式」に関わる商品を簡単に紹介します。

全世界/全米株式のバンガード社ETF
  • VT(全世界株式、日米欧新興国):バンガード・トータル・ワールド・ストック ETF
  • VTI(全米株式):バンガード・トータル・ストック・マーケット ETF
  • VOO(米国 S&P500指数):バンガード・S&P500 ETF
  • VWO(新興国株式):バンガード・FTSEエマージング・マーケット ETF
  • VEA(先進国株式,米国除く):バンガード・FTSE先進国市場 ETF
  • VXUS(全世界株式、米国除く):バンガード・トータル・インターナショナル・ストック ETF

 全世界株式に投資するとなっても様々なETFを組み合わせながら投資も可能であり、シンプルにVTに党することも可能です。

 今回は、紹介したETFのうち「VT」「VTI」「VWO」「VEA」を中心に紹介、分析、比較を行なっていきます。

VTの特徴(メリット・デメリット)

 VTは、1つの商品を購入するだけで、全世界の有名企業約9000社に一度に分散投資できるのが特徴です。中身も自動的に入れ替えられるため、米国以上に中国やその他の親交奥が台頭した際は、自動的に割合の見直しが行われるかと思います。

 VTが向いている方は、出来るだけ分散投資を行い、可能な限りリスクを抑えたいと考えている人です。

 VTのメリットは、カントリーリスクを低減できる点です。全世界に投資すれば究極の分散効果を得られます。また、全世界経済は人口増加に伴い今後も成長を続ける可能性が高く、そのような考え方の人にも向いています。

VTの銘柄国別割合

※2021年7月12日時点のデータ

 VTの銘柄を国別で見ると、全世界株式と言いながらも、半分以上が米国株式で構成されています。ここ数年は米国市場の成長が著しいため割合が高くなっていますが、残り40%は日欧や新興国から構成されています。

 逆にいえば、カントリーリスクを低減するために他国も含むVTは、米国100%のVTIやVOOに比べると、パフォーマンスが落ちるデメリットもあります。

VTのメリット/デメリット

メリット
 ・全世界に一度に分散投資できる(カントリーリスクを低減できる)

デメリット
 ・米国市場の恩恵を受けにくくなる(米国市場は過去30年で最も高く成長)

 その他の詳しい情報は、最後の記載している「VTの分析記事」をご確認ください。

VTIの特徴(メリット・デメリット)

 VTIは、全米株式約4000社から構成されるETFです。VTIを購入することで米国市場の全体に一度に分散投資することが可能です。

 米国市場はここ数年最も高いパフォーマンスをあげています。近年はアップル・グーグル・アマゾン・フェイスブックの台頭に加え、マクドナルド・ジョンソン&ジョンソン・ディズニーなど昔から現在に至るまで着実に成長を続けている企業も多く、また中小企業の中にも今後の成長を期待されている企業も多く存在しています。

 これらに一度に投資できるVTIは、現時点で最も高いパフォーマンスを得ることができるETFの一つと考えられます。

VTIのメリット/デメリット

メリット
 ・最も高い成長を誇る米国市場全体に投資できる

デメリット
 ・米国のみへの投資のため、米国市場が崩れると大きく下げる可能性がある

 VTIのデメリットは、米国1カ国のみに投資している点です。メリットでもありデメリットでもありますが、国家のデフォルトや人種差別など米国国内の問題で大きく下げる局面となった場合に、100%ダメージを受けることになります。また過去〜現在は経済の強い米国ですが、これまでが米国バブルなだけの可能性もあります。これらの問題が発生した際は、VTIはVTより大きく下げる可能性が高いです。

VTIとVOOの違い

 ちなみに、もう一つ米国市場に投資する際の方法として、米国市場の最も有名な指数であるS&P500指数に連動する「VOO」に投資する方法があります。

 VOOは、大型株のみから構成されるためVTIよりも銘柄数が少なく、VTIよりも集中した投資になりますが、大型株のみでなので、比較的安定した動きになるメリットもあります。

 VOOとVTIの違いについては、以下の記事をご確認ください。

VWOの特徴

 VWO:バンガード・FTSE・エマージング・マーケッツETFは、新興国株式市場の大型・中型・小型株に一度に分散投資できるETFになります。

 また経費率(運用コスト)が0.10%であり、新興国関連のファンドの中では最も安いのが特徴です。

VWOの銘柄国別割合

※2021年7月12日時点のデータ

 国別割合を見ると、米国・日本・欧州といった先進国は含まれておらず、VWOは香港・中国・インド・ブラジルといった今後の成長が期待されている国のみから構成されています。

 VWOは、今後成長が期待されている中国・インドを中心とした新興国に一度に投資できるため、既に先進国に投資している方が新興国もポートフォリオに入れるために利用したりします。

VEAの特徴

 VEA:バンガード・FTSE先進国市場 ETFは、米国を除く先進国株式市場の大型・中型・小型株に一度に分散投資できるETFになります。

 また経費率(運用コスト)が0.05%であり、ETFの中でも非常に安い銘柄となっています。

VEAの銘柄国別割合

※2021年7月12日時点のデータ

 国別割合を見ると、日本が最も多く20%以上、続いてイギリス・カナダ・フランス・ドイツなどの米国以外の欧州の国々で構成されています。

 VEAは米国以外の先進国から構成されるため、既に米国株式に投資されている方や米国の方が、米国以外の先進国に投資し、カントリーリスクの低減するために使用されるETFになります。

VT・VTI・VWO・VEAの構成銘柄比較

 VT・VTI・VWO・VEAの各ETFの構成銘柄を紹介します。数百から数千銘柄から構成されるETFなので、全て紹介するのは不可能です。今回はそれぞれのETFの構成銘柄のうち、上位10銘柄のみを紹介していきます。

VTの上位10銘柄(全世界株式、米国込み)

VTの上位10銘柄

VTIの上位10銘柄(全米株式)

VTIの上位10銘柄

VWOの上位10銘柄(新興国株式)

VWOの上位10銘柄

VEAの上位10銘柄(日欧など先進国株式、米国除く)

VEAの上位10銘柄

上位10銘柄の比較から分かる点

 本題であるVTとVTIを比較します。共通の上位銘柄であるGAFAM(グーグル・アップル・フェイスブック・アマゾン・マイクロソフト)を比較します。

No.ティッカー銘柄 VT  VTI 
1AAPLアップル2.65%4.35%
2MSFTマイクロソフト2.51%4.35%
3AMZNアマゾン1.84%3.19%
4FBフェイスブック1.06%1.83%
5GOOGアルファベット C0.95%1.64%
6GOOGLアルファベット A0.94%1.55%
GAFAMが占める割合9.95%16.91%

 全世界約9000銘柄に投資しているVTですら、米国のGAFAM5社だけで約10%を占めています。現在の米国市場の強さがよくわかります。

 一方でVTI(全米株式)の場合は、全米株式というだけあり、GAFAM率はVTよりもっと高い約17%となっています。

 ちなみにVTにもGAFAMがこれだけ高い割合で組み入れられる理由は、他社に比べ非常に高い成長率で成長を続けているからです。

 上のグラフは、VTとGAFAMのチャートを2009年以降で比較したものです。最も下にある青い線がVTになります。一方、その他の線にあたるGAFAMはVTとは比べ物にならない成長を見せていることが分かります。

VT・VTIのチャート比較

 全世界株式VTと全米株VTI、加えて新興国株式VWOと日欧株式VEAの4つの過去のチャート比較します。

 青線がVT(全世界株式)、オレンジ線がVTI(全米株式)、緑線がVWO(新興国株式)、黄色線VEA(米国除く先進国株式)です。

 やはりVTIが高い成長を見せています。続いて米国をいくらか含んでいるVTが2番目に成長率が高く、VEAとVWOが続いています。

 続いて下落時のパフォーマンスですが、2020年のコロナショックによる暴落時を見ると、全世界株式VTは全米株式VTIとほぼ変わらないパーセンテイジで下落していることが分かります。先ほど紹介した通り、VTの半分以上は米国株式ですから、下落時のリスクはVTIとほとんど変わらないことが分かります。これよりVTはVTIに比べて劇的に下落リスクを抑えれているわけではないことが分かります。

 また過去12年のチャートを見る限り、VEA(米国除く先進国株式)とVWO(新興国株式)はほとんど成長が見られません。

 しかしVWOは2009年~2011年にかけて米国株式以上の成長を見せていた時期がありました。米国株式が軟調のときに新興国株式が代わりに高いパフォーマンスを見せてくれるのであれば、分散する価値もありそうです。

 一方でVEAは、米国市場より優れたパフォーマンスとなった時期はありませんでした。

 これより近年米国株式への投資が人気を集めているわけです。私個人的にも、米国以外の先進国株式(VEA)に投資する価値は少ないのではと考えています。なので、VTI+VWOで投資を行なっています。

シミュレーション

 チャート比較と、実際に購入するのとでは、また少し傾向が異なる場合があります。そこで実際に購入した場合のシミュレーションを過去のチャートに対し行います。

1. VT vs VTI vs VWO

 ここでは、3つの銘柄のシミュレーションを行います。

シミュレーション条件
  • 期間:2009年1月〜2021年6月(約12年間)
  • 初期費用$10,000(約100万円)を一括投資し、その後放置する
  • 分配金は再投資するものとする
  銘柄  2009年1月2021年6月ベスト年ワースト年最大下落率ソリティレシオ
VT$10,000$41,31832.65%-9.76%-22.15%1.21
VTI$10,000$63,35233.45%5.21%-20.84%1.67
VWO$10,000$31,13576.28%-18.76%-30.74%0.87

 シミュレーションの結果、VTIが最も最終的な資産総額が増えていることが分かります。VWOが最も低い資産額となっており、新興国株100%の投資はあまり良くなさそうです。

 しかしここで注目したいのが、VWO(新興国株)のベスト年の値が米国株式や全世界株式の倍以上の数値になっていることです。ベスト年とは、最もパフォーマンスが良かった年の成長率になります。

 米国株式が軟調であった2009~2011年頃は、新興国株式のパフォーマンスが非常に良く、高い成長率を見せていました。よって、好みにもよりますが、新興国株式には分散の意味合いでも投資する価値はあるかと思います。

 VWOで注意しなければならないのは、高いパフォーマンスを見せている時期もあれば、大きく下落する時期もある点です。なので、VTで一括投資ではなく、VTI+VWOのように分けて管理しておけば、個別に売買が可能なので、リスク管理がしやすくなるメリットもあります。

ソリティレシオについて

 ソリティレシオ(Sortino ratio)は、下落リスクに対する上昇リターンを示す数値で、分母に下落リスク、分子にリターンを入力し算出されます。

 ソリティレシオが高いほど、「下落リスクに対するリターンが大きい」or「リターンは低くても下落リスクがとにかく低い」のどちらかと考えることが出来ます。

2. VT vs VTI vs VTI+VWO

 ここでは、VTI+VWOを比較してみます。シミュレーション条件は同じです。

シミュレーション条件
  • 期間:2009年1月〜2021年6月(約12年間)
  • 初期費用$10,000(約100万円)を一括投資し、その後放置する
  • 分配金は再投資するものとする
  • VTI + VWOは、VTI 75%:VWO 25%で組み合わせる
  銘柄  2009年1月2021年6月ベスト年ワースト年最大下落率ソリティレシオ
VT$10,000$41,31832.65%-9.76%-22.15%1.21
VTI$10,000$63,35233.45%5.21%-20.84%1.67
VWO
(前の結果)
$10,000$31,13576.28%-18.76%-30.74%0.87
VTI+VWO$10,000$54,71440.74%-7.60%-21.74%1.52

 VTI+VWOは、VWOのみの場合に比べ大きくパフォーマンスが改善しており、かつVTよりも下落リスクも小さく、成長率も高くなっています。

 VTI+VTのパフォーマンスがVTより良い理由は、VTに含まれるVEAの部分(米国以外の先進国)のパフォーマンスが微妙なため、その分を米国と新興国に追加できるVTI+VWOの方が最終的にリスクも小さく高いパフォーマンスを見せたと考えられます。

 以上の結果より、VTよりもVTIをオススメします。米国のみ集中投資に抵抗がある方は、VWOの追加をオススメします。但し、今回のシミュレーションはあくまで過去のデータを用いているため今後を予測するものではありません。投資はご自身のご判断で行いますようお願いいたします。

まとめ

 この記事では、VTとVTIどちらがおすすめかを検討しました。

 米国は過去に色々な問題がありましたが、10-20年以上単位で見ると、いつも株価は上昇してきています。20年以上米国株が上昇しない状況だと、全世界株式も上昇していない可能性が高いと考えられます。実際に過去30年間を見ると、米国株式が最も高いパフォーマンスを見せており、個人的にはVTIをおすすめします。VTIとVWOは、米国ETFではなく、投資信託でも購入可能です。

 他にも、VWO(新興国株式)やVEA(米国除く先進国株式)もチャート比較しました。VWOは米国株式以上に成長を見せる時期もありましたが現在は低迷しており、VWOは時期によってメリットデメリットがある印象です。

 一方でVEAは、米国株式がダメージを受けるとつられて低迷することが多く、過去10年程度のチャートを見ても米国株式以上に成長する場面はありませんでした。よって投資するメリットは少ないように思えます。

 ちなみに万人に共通でおすすめのETF銘柄は存在しませんが、今回の記事の内容をまとめると、以下のような内容になります。

全世界株式,全米株式のおすすめ銘柄
  • 管理が面倒+全世界に投資したい方:VT(全世界株式)
  • 米国株式が今後も高い成長を続けると思う方:VTI(全米株式)※VOOでも可
  • 米国中心に多少カントリーリスクを分散したい方:VTI+VWO(新興国)
  • 管理が得意+全世界へ自分の割合で投資したい方:VTI+VEA+VWO
その他結論
  • 全世界株式VTは、米国以外の先進国の成長が比較的低いため、パフォーマンスが落ちる
  • 全世界株式VTの半分以上は、全米株式VTIなので、下落リスクはあまり変わらない
  • 米国市場以外であれば、新興国VWOを組み合わせることがおすすめ
  • VTI+VWOのように別々で購入していれば、「VWOを増やしたい」「VTIを増やしたい」など柔軟にポートフォリオを構築することが可能。※VTでは不可能
  • VTIとVWOは、投資信託でも購入可能

 その他にも比較シミュレーションや、銘柄分析を行なっているので気になる方はご覧ください。

(参考)分析や比較に利用したページ/サイト

(英語のみ)米Vangard社 ホームページ

 バンガード社は、VTIやVOOを運用管理している会社です。ホームページにETF情報が記載されているので、直接確認したい方は以下から確認することが出来ます。ただし全て英語になります。

(英語のみ)米インベスコ社 ホームページ

 インベスコ社は、QQQを運用管理している会社です。バンガード社同様、ホームページにETF情報が記載されていますので、気になる方はご確認ください。ただしこちらも英語表記となっています。

(日本語対応)米モトリーフール社 ホームページ

 Motley Foolは、1993年に設立されたバージニア州アレクサンドリアを拠点とする民間の金融および投資アドバイス会社です。最近日本語版がリリースされ、日本でも人気が上昇しています。

 アメリカ生まれということもあり日本でも扱われないような銘柄や米国株のニュース、また有名な銘柄であるVOOやQQQのパフォーマンスや過去の分析データを日本語で配信してくれます。

画像:モトリーフールHP、著者撮影

(英語のみ)PORTFOLIO VISUALIZER

 最後に、PORTFOLIO VISUALIZERというサイトを紹介します。このサイトでは、自分が選んだ銘柄で過去のデータを用いて、シミュレーションを行うことができるサイトです。

 この記事でもシミュレーションを行いましたが、PORTFOLIO VISUALIZERを利用しました。とても便利ですが全て英語表記となっているため、使い方を確認したい方はこちらの記事を確認ください。

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