この記事では、人気のある全世界株式へ投資できるVT:バンガード・トータル・ワールド・ストックETFについて、少し追加で検討してみたいと思います。
検討内容は、以下の2つのETFを比較し、パフォーマンスは同じなのかを確認していきます。
- VT(全世界株式:米国含む、経費率0.08%/年)
- VTI(全米株式、経費率0.03%)+VXUS(全世界株式:米国除く、経費率0.08%)
→2つのパターンのパフォーマンスが同じなのであれば、2の方がコストを抑えれるのでは?
- VT(全世界株式:米国含む、経費率0.08%/年)
- VTI(全米株式、経費率0.03%)+VXUS(全世界株式:米国除く、経費率0.08%)
→2つパターンで投資した場合のシミュレーション結果
VT,VTI,VXUSを紹介
検討に移る前に、各米国ETFを簡単に紹介しておきます。(2021年6月15日時点の情報)
項目 | VTI | VXUS | VT |
---|---|---|---|
名称 | バンガード トータル ストックマーケット ETF | バンガード・トータル・ インターナショナル・ ストック(除く米国) ETF | バンガード・トータル・ ワールド・ストック ETF |
運営会社 | 米バンガード社 | 米バンガード社 | 米バンガード社 |
設定年 | 2001年 | 2011年 | 2008年 |
インデックス指数 | CRSP USトータル ・マーケット・ インデックス | FTSEグローバル・オール キャップ(除く米国) インデックス | FTSEグローバル・オール キャップ・インデックス |
構成銘柄数 | 3600社 | 7500社 | 8000社 |
構成銘柄条件 | 全米株式 | 米国を除く全世界株式の 98%をカバー | 全世界株式 (全世界98%カバー) |
経費率 | 0.03% | 0.08% | 0.08% |
運用総額 | 約2400億米ドル | 約470億米ドル | 約213億米ドル |
配当利回り | 1.28% | 1.98% | 1.50% |
5年騰落率 | 128.35% | 76.57% | 103.17% |
基準価格 (最低購入金額) | $221.28 | $67.47 | $104.36 |
VTの情報
VTIの情報
VXUSの情報
(記事準備中です。作成次第更新いたします)
VT・VTI・VXUSのチャートを確認
早速ですが、チャートをみていきます。(以下の図が各ETFの過去のチャート)

- 青:VTI(全米株式)
- オレンジ:VT(全世界株式、米国含む)
- 緑:VXUS(全世界株式、米国除く)
このチャートは、3つのETFのうち最も遅く販売開始となったVXUSの2011年以降のチャートになります。
2011年以降、ずっと3つのETFは同じタイミングで上下の動きをしていることがわかります。しかし変動幅が異なっています。
VTI(全米株式)が最も変動率が高く、成長率も高くなっています。
VTは、VTIに次いで変動幅が大きく、2番目に高い成長率となっています。
VXUSは、最終的には+36%となっていますが、最もパフォーマンスが悪くなっています。
VTI(全米株式) > VT(全世界株式、米国含む) > VXUS(全世界株式、米国除く)
チャートだけ見ると、VXUSを選ぶ理由はなさそうですが、今回の本題は これを組み合わせることで、効率的に投資を行うことです。
VT vs VTI+VXUS のシミュレーション
早速ですがシミュレーションしていきます。シミュレーションは、Portfolio Visualizerを使用します。
※Portfolio Visualizerの使い方は、こちらの記事をご確認ください。
シミュレーションの条件
- 期間は、2012年1月〜2021年5月末
- 分配金は再投資する
- VTは、100%VTで資産運用
- VTI+VXUSは、VTI 57% + VXUS 53%の組み合わせ
※VTを占める米国の割合が約57%のため
内容 | |
シミュレー ション1 | 2012年1月に$10,000(約100万円)を一括投資し、 2021年5月末まで放置 |
シミュレー ション2 | 2012年1月に$10,000(約100万円)一括投資。 その後、毎年$1,000ドル追加で投資を続ける |
1つ目のシミュレーション条件は、シンプルに約100万円を一括投資し、現在まで放置します。
2つ目のシミュレーションでは、100万円一括投資後、毎年10万円追加で投資していく条件です。シミュレーションがややこしくなるので、追加の10万円も毎年一括投資するとします。
シミュレーション1:一括購入した場合
グラフ

2012~2021年5月まででみた場合、$1,495「VTI+VXUS」の方が最終的な資産額が高いです。9年間以上投資を続けて$1,495の差を、大きいか、ほとんど同じと感じるかは人に依るかと思います。
数値データ

まず「Final Balance:最終的な資産額」は、先ほど述べた通り、VTI+VXUSの方が$1495高くなっています。
しかし、「Max Drawdown:最大下落率」の値を見ると、VTI+VXUSの方が高くなっていますが、いずれにせよ、その他の数値を見ても、ほとんど差はありません。
各年のパフォーマンス

各年のパフォーマンスを見ても、2つの運用方法でほとんど差がありません。
分配金

次に各都市の分配金を見てみます。分配金に関しても、少しVTI+VXUSの方が高く見えますが、数十ドルの差なので、差は非常に小さいといえます。
シミュレーション1のまとめ
VT | VTI+VXUS | |
運用コスト | 0.08%/年 | 0.05%/年 |
総投資額 | $10,000 | $10,000 |
最終資産額 | $29,434 | $30,929 |
最大下落率 | -9.76% | -9.18% |
最低パフォーマンス年 | -22.15% | -22.39% |
ソリティレシオ | 1.35 | 1.42 |
分配金(2020年) | $433 | $469 |
0.03%×57%+0.08%×43%=0.0515%で計算
一括投資した場合のシミュレーション結果をまとめると、全体的に2つの資産運用方法で差は小さいです。
最終資産額を見ると、$1495「VTI+VXUS」の方が高くなっており、運用コストも安くなりそうです。
シミュレーション2:一括購入後、毎年追加で積み立てる場合
先ほどとは異なり、次は毎年追加投資していく場合のシミュレーションを行います。結果は先ほど同様に紹介していきます。
グラフ

先ほどと異なり、毎年追加投資を行なった結果なので、数値は異なりますが、一括投資同様にほとんど同じような成長を描いており、最終的には$1763 VTI+VXUSの方が高い結果となっています。
数値データ

「Final Balance:最終的な資産額」は、VTI+VXUSの方が$1763高くなっています。
その他の数値は、先ほど同様の数値です。2つの資産運用方法でほとんど同じ結果となっております。
各年のパフォーマンス

各年のパフォーマンスも先ほど紹介した内容と同じですので、割愛させていただきます。
分配金

VTの方が高い年もありますが、VTI+VXUSの方が高いとしの方が多くなっています。しかし縦軸を見ると、差は小さく、2020年の分配金は、VTが$665、VTI+VXUSが$712となっており、差は$47となっています。
シミュレーション2のまとめ
VT | VTI+VXUS | |
運用コスト | 0.08%/年 | 0.05%/年 |
初期投資額 | $10,000 | $10,000 |
追加投資額 | $9,000 | $9,000 |
総投資額 | $19,000 | $19,000 |
最終資産額 | $46,465 | $48,228 |
最大下落率 | -9.76% | -9.18% |
最低パフォーマンス年 | -22.15% | -22.39% |
ソリティレシオ | 1.35 | 1.42 |
分配金(2020年) | $665 | $712 |
0.03%×57%+0.08%×43%=0.0515%で計算
毎年追加投資を続ける場合(積み立て投資の場合)、VTI+VXUSの方が最終的な資産額が$1,763多い結果となりました。
下落リスクに関しては、2つの運用方法であまり大きな差はありません。
また運用コストは、VTI+VXUSの方が若干ですが安く抑えることができるので、数字だけを見るとVTよりも「VTI+VXUS」の方がパフォーマンスがいいといえます。
【結論】VT と VTI+VXUSはどちらがいいのか?
過去のデータを用いて、シミュレーションを行いました。
シミュレーションの結果だけを見ると「VTI+VXUS」の方が少しだけ最終的な資産額は高くなりましたが、下落リスク(下落幅など)の分析した数値を見ると、VTとVTI+VXUSでほとんど差は無い結果となりました。
つまり2つの投資方法は、パフォーマンスに差はなく、VTIとVXUSの割合を定期的にVTと同じように調整する手間さえかければ、運用コストメリットを得ることができます。
なので、少しでも運用コストを抑えたい方は、「VTI+VXUS」をオススメしますが、多少のコストが高くても管理などの手間を省きたい方は「VT」をおすすめします。簡単にまとめておきます。
- 少しでも運用コストを抑えたい方
- 既にVTIやVOOを中心に資産運用しており、米国株式以外に分散投資したい方
- 自分で米国株式と全世界株式の割合を変えながら運用したい方
- 多少のコスト差は気にならない方
- 資産運用に手間をかけたくない方
- 複数の商品を持ちたくない方
まとめ
この記事では、VT(全世界株式、米国含む)と、VTI(全米株式)+VXUS(全世界株式、米国除く)のパフォーマンスをシミュレーションで比較しました。
2つの投資方法で、少しだけVTI+VXUSの方が最終資産額は高い結果となりましたが、下落リスク等のパフォーマンスは殆ど差がない結果となりました。つまりVTI+VXUSを、VTと同じ割合で米国株式の割合をコントロールできれば、運用コストメリットを得ることができます。
結局のところは個人の好みに合わせるといいと思います。私は手間をかけるのが面倒なので、VTをオススメしますが、米国株式の割合を自分でコントロールしたい方もVTI+VXUSでの運用が向いているかもしれません。
他にも、全世界株式、全米株式、S&P500指数のパフォーマンスを比較してますので、気になる方はご確認ください。
※ 投資はご自身のご判断で行っていただきますようお願い致します。