この記事では、人気のあるVIGとVOO、2つの米国ETFを比較・シミュレーションしていきます。
長期投資で人気なのは、やはりS&P500(VOO)です。しかし最近「VIG」というETFをよく聞きます。割と実績が良さそうな情報をよくみるので、VOOと比べて良いのか悪いのか、少しシミュレーションしてみました。
VIGとVOO チャート比較

青がVIG、オレンジがVOO(S&P500)です。
またこのチャートは、VIGが販売開始となった2006年以降から2021年5月までのチャートになります。
2008年のリーマンショック後から2015年ごろまでVIGの方が高いパフォーマンスを見せていますが、その後はVOOとVIGはほとんど同じチャートとなり、2020年のコロナショック後にVOOの方が高いパフォーマンスを見せています。
ポイントは、2008年や2020年の大きな下落の時、下落率が大きいのはVOO(オレンジ)ということです。しかし下落率は大きいですが、成長率も大きいため、ここ数年の成長率はVOOのほうが上回っています。
VIGとVOO シミュレーション
早速ですがシミュレーションしていきます。シミュレーションは、Portfolio Visualizerを使用します。
※Portfolio Visualizerの使い方は、こちらの記事をご確認ください。
シミュレーションの条件
- 期間は、2007年1月〜2021年4月
- 分配金は再投資する
- VOOは同じS&P500指数連動のSPYで代用(VOOが2010年以降のデータしかないため)
内容 | |
シミュレーション1 | 2006年1月に$10,000(約100万円)を一括投資し、2021年4月まで放置 |
シミュレーション2 | 2006年1月に$10,000一括投資。その後毎年$1,000ドル追加で投資を続ける |
1つ目のシミュレーション条件は、シンプルに約100万円を一括投資し、現在まで放置します。
2つ目のシミュレーションでは、100万円一括投資後、毎年10万円追加で投資していく条件です。シミュレーションがややこしくなるので、追加の10万円も一括投資とします。
シミュレーション1:一括購入した場合
グラフ

グラフは先ほど述べた通りなので、ここでは詳細を割愛しますが、2006~2021年4月まででみた場合、最終的にはVIGもVOOも殆ど変わらない結果となっています。
数値データ

まず「Final Balance:最終的な資産額」は、若干ですがVOOの方が高くなっています。
しかし、「Max Drawdown:最大下落率」「Worst Year:最もパフォーマンスが悪かった年」の値を見ると、いずれもVIGの方が下落率が小さくなっており、VOOよりもリスクが抑えることができていると考えることができます。
「Sortino Ratio:下落リスクに対するリターンの比率」もVIGの方が高く、VIGは下落リスクを抑えた上で効率的に資産運用できていることが分かります。
各年のパフォーマンス

各年のパフォーマンスを見ると、VOOの方が高いパフォーマンスとなっていることが多いですが、2008年の下落率もVOOの方が高くなっていることが分かります。
分配金

10年連続増配銘柄から構成されるVIGの方が、VOOよりも高い年がほとんどです。
シミュレーション1のまとめ
VIG | VOO | |
総投資額 | $10,000 | $10,000 |
最終資産額 | $38,189 | $39,029 |
最大下落率 | -41.11% | -50.97% |
最低パフォーマンス年 | -26.69% | -37.02% |
ソリティレシオ | 1.04 | 0.94 |
分配金(2020年) | $565 | $528 |
※優れている方の数値を赤字で表示
一括投資した場合のシミュレーション結果をまとめると、最終資産額を優先する場合は「VOO(S&P500)」が良く、下落リスクを抑えた運用を行いたい場合は「VIG」の方が優れていると思います。
シミュレーション2:一括購入後、毎年追加で積み立てる場合
先ほどとは異なり、次は毎年追加投資していく場合のシミュレーションを行います。結果は先ほど同様に紹介していきます。
グラフ

追加投資を続けた結果なので、数値は異なりますが、一括投資同様にほとんど同じような成長を描いており、2006~2021年4月まででみた場合、最終的には若干VOOの方が高い結果となっています。
数値データ

「Final Balance:最終的な資産額」は、$5,000ほどVOOの方が高くなっています。
「Max Drawdown:最大下落率」「Worst Year:最もパフォーマンスが悪かった年」「Sortino Ratio:下落リスクに対するリターンの比率」は、先ほど同様の数値です。VIGの方が下落率が小さくなっており、VOOよりもリスクが抑えることができていると考えることができます。
各年のパフォーマンス

各年のパフォーマンスも先ほど紹介した内容と同じですので、割愛させていただきます。
分配金

VIGの方がVOOよりも高い年がほとんどで、2020年の分配金は、VIGが$1,158、VOOが$1,126となっており、一括投資のみの場合よりも差が小さくなっています。
シミュレーション2のまとめ
VIG | VOO | |
初期投資額 | $10,000 | $10,000 |
追加投資額 | $14,000 | $14,000 |
総投資額 | $24,000 | $24,000 |
最終資産額 | $79,709 | $84,732 |
最大下落率 | -41.11% | -50.97% |
最低パフォーマンス年 | -26.69% | -37.02% |
ソリティレシオ | 1.04 | 0.94 |
分配金(2020年) | $1,158 | $1,126 |
※優れている方の数値を赤字で表示
毎年追加投資を続ける場合(積み立て投資の場合)、VOOの方が最終的な資産額が$5,000(約50万円)も多い結果となりました。
VOOは下落時はVIGよりも大きく下落するが成長率は高く、毎年投資をすることで下落時に安く投資できたものが後々大きく成長したことが要因と考えられます。
分配金もそれほど差はなく、積み立て投資を行う場合はVOOの方が良さそうに見えます。
まとめ
この記事では、VIGとVOOについて、一括購入した場合と追加投資を継続する場合(積み立て投資)で2006年以降から2021年4月末までの期間でシミュレーションを行いました。
分配金は再投資設定でシミュレーションし、いずれにしてもVOOの方が高いリターンが得ることができる結果となりました。しかしVIGは大きな下落時(〇〇ショック)がきたときの下落率がVOOよりも低く、VIGは下落リスクを抑えて効率的にリターンを得ることができるETFと考えられます。積み立て投資の場合は、最終的な資産額がVOOの方が$5,000ほど大きくなります。
結局、VIGかVOOどちらの方がいいかは、個人の好みに合わせるといいと思います。とにかくリスクを抑えたい方はVIG、最終リターンを大きくしたい方はVOOでいいと思います。
個人的には、長期で積み立て投資を行なっており、リターンを大きく取りたいのでVOOを購入しており、長期積み立て投資の場合はVOOのほうがおすすめかと思います。
※ 投資はご自身のご判断で行っていただきますようお願い致します。