この記事では、米国株の売買で得た利益に関する「税金」について解説します。
米国株は、場合によって米国国内と日本国内で二重で課税を受ける場合があります。二重課税を受けた場合に、それを取り返す方法についても解説していきます。
- 米国株にかかる税金について解説します
- 特定口座での売買にかかる税金について解説します
- 二重課税を受ける場合と、それを取り戻す方法を紹介します
この記事を書いているふぃたろうは、2016年から現在に至るまで5~6年間、米国株へ投資を行っている会社員兼ブロガーです。今回は、米国株の税金について解説します。私自身日本株への投資は全く行なっておらず、100%米国株への投資となっています。
米国株にかかる税金は?

日本国内の個人投資家が米国株取引をする際は、日米租税条約が適用されます。詳細は省略しますが、米国株取引にかかる税金は、基本的には国内での株式取引の税金と同じ。しかし配当収益に対しては、米国国内での課税も10%取られるので、注意が必要です。
収益の種類 | 米国国内 での課税 | 日本国内 での課税 | トータルの 課税率 | 備考 |
---|---|---|---|---|
売却益 (譲渡益) | 非課税 | 所得税:15% 住民税:5.0% 復興特別所得税 :0.315% | 合計 20.315% | ー |
配当 | 連邦個人所得税 10.0% | 所得税:15% 住民税:5.0% 復興特別所得税 :0.315% | 合計 30.315% | 米国と日本国内での 二重課税を回避するため、 日本国内で所得税に対して 「外国税額控除」の適用が可能 |
つまり何もしなければ、米国株は売却益に20.315%、配当に30.315%が課税されることになってしまいます。
「20.315%」は日本国内の売買に対してもかかるため仕方がありませんが、せめて配当益に対してかかる「10%」は取り返したいものですね。
復興特別所得税とは、2013年1月1日から2037年12月31日まで、基準所得税額に2.1%が上乗せされる分の税金のことです。つまり税率は20.315%(所得税15.315% 住民税5%)となります。
特定口座/一般口座の場合の税金はどうなるの?

証券会社で口座開設をする際、大きく3つの種類の口座があります。
- 一般口座
- 特定口座(源泉徴収なし)
- 特定口座(源泉徴収あり)
これら3つの口座内での米国株の売買にかかる税金と対応をまとめたのが以下の表です。
一般口座 | 特定口座 (源泉徴収なし) | 特定口座 (源泉徴収あり) | |
売却益に対する 税金 | 申請しないと課税されない → 確定申告が必要 | 申請しないと課税されない → 確定申告が必要 | 源泉徴収される → 確定申告不要 |
配当金に対する 税金 | 源泉分離課税が成される → 確定申告は任意 | 源泉分離課税が成される → 確定申告は任意 | 源泉分離課税が成される → 確定申告は任意 |
売却益に対する税金は、特定口座(源泉徴収あり)以外の口座の場合、自分で確定申告を行う必要があります。
配当金に対する税金は、米国国内への税金が自動的に源泉分離課税されるため、3つの口座いずれも確定申告は不要ですが、確定申告を行うことも可能です。
米国株の二重課税を取り戻す方法

米国株を行う際に注意するべき点は、「配当金の税金の一部は取り戻せる」ということです。
売却益は日本国内に税金を納めているため不可能ですが、配当金は米国内と二重に税金を支払っているので、米国内での税金は取り戻せます。
「外国税額控除」とは?
米国株による利子や配当金は、まず米国国内で課税され、さらに日本でも課税されることから二重に課税されることになります。
この二重課税を調整するために、外国で課された税額を日本の所得税や住民税から差し引く制度が「外国税額控除」です。この「外国税額控除」を適用するためには確定申告が必要となります。
実際には、二重で支払っていた税金の一部を、所得税や住民税からの控除として還付を受ける形となります。なので外国税額控除には限度があり、限度額は下記の式から計算できます。
外国税額控除の限度額は、以下の2つの額から決まります。
- 所得税の控除限度額=所得税の額×(国外所得金額/所得総額)
- 復興特別所得税の控除限度額=復興特別所得税額×(国外所得金額/所得総額)
所得税からの控除となるので、そもそもの所得税額が少ない場合は還付される金額も少なくなってしまい、全額控除を受けることができない場合もあるため注意が必要です。
税金を抑えるには「NISA口座」を利用する

配当金の二重課税を取り戻しても、20.315%の税金が課されることに変わりはありません。
出来るだけ運用益(売却益+配当金)に対する、税金を低く抑えるためには「NISA口座」を利用しましょう。
NISA口座について
そもそもNISA口座とは、株式取引などで得た利益に対する国内での課税が非課税となる制度です。
NISA制度は、2014年に導入され、現在は「NISA」、「つみたてNISA」、「ジュニアNISA」の3つの制度が用意されています。国内に住む成人であれば、1人1口座に限って3種類のうち「1種類のNISA口座」を開設することができます。

NISA口座の詳細は、こちらの記事をご確認ください。つみたてNISA口座に関しては、こちらの記事に詳細をまとめています。
米国株での税金を低く抑えるには「NISA口座」を利用しよう
米国株 の売買 | 一般口座 もしくは 特定口座 (源泉徴収なし) | 特定口座 (源泉徴収あり) | NISA口座 |
売却益に対する 税金 | 20.315% (確定申告必要) | 20.315% (確定申告不要) | 0.0% |
配当金に対する 税金 | 30.315% ↓ 確定申告で20.315% | 30.315% ↓ 確定申告で20.315% | 10.0% (米国国内の課税のみ) |
米国株を購入・保有し、米国企業から配当金が支払われた場合でも、NISA口座内での売買であれば、国内での所得税と地方税が非課税になります。
注意点としては、NISA口座内でも米国国内での「連邦個人所得税」だけは源泉徴収されます。またNISA口座内での米国の課税は、二重課税となっていないため、外国税額控除を利用し取り戻すことができません。

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まとめ
この記事では、米国株の税金について解説しました。
- 米国株の税金は「運用益(売却益)」「配当金」の2つに対し課せられる
- 配当金に対しては、米国国内と日本国内で二重に課税を受ける
- 二重課税を受けた分は、確定申告をすれば取り戻すことが可能(限度額有り)
- 米国株の税金を低く抑えるには、「NISA口座」を活用するしかない
米国株の税金について理解したら、実際に購入してみることで学ぶのが早いです。日本株よりも更に少額から取引できるのも米国株のメリットの一つです。
どの証券会社を利用すべきか迷っている方は、少額から投資できたり初心者向けのサービスが充実しているネット証券会社である「SBI証券」「楽天証券」のどちらかを選ぶと良いでしょう。
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