この記事では、つみたてNISAの対象商品について詳しく解説しています。
“つみたてNISAの対象商品はどのような基準で選ばれているのか”、“つみたてNISAの対象商品はいい商品なのか”といった疑問に答える記事になっています。
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プロフィール
大手金融機関 総合職10年目
個人顧客への資産運用、税金対策等のコンサルタント業務を担当
FP1級、宅地建物取引士
つみたてNISAの概要
つみたてNISAとは、2018年1月からスタートした、少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度です。
つみたてNISAのポイントは以下の通りです。
■一定の条件を満たした公募株式投資信託とETFの配当所得・譲渡所得が非課税
■投資方法は、積立投資のみ
■毎年40万円までの新規投資が可能
■非課税期間(非課税での運用期間)は20年間
つみたてNISAの制度面については、別記事で詳しく紹介していますので、合わせてご覧ください。
なぜつみたてNISAは対象商品が限られているのか
一般NISAの投資対象は、個別株、投資信託、ETFの全般ですが、つみたてNISAの投資対象は、投資信託とETFの一部商品に限られます。
もう少し詳しくお伝えすると、つみたてNISAの対象商品は長期・積立・分散投資に適した公募株式投資信託と上場株式投資信託(ETF)に限定されています。
つみたてNISAは非課税で運用できる期間が20年と長く、長期投資を目的とした制度です。
長期で保有するには、コストが安く、複利で増える(分配金がでない)商品の方が運用の効率がいいですよね。
また、20年以内に運用が終わってしまうような商品では、制度のメリットを最大限享受することができません。
このような理由から、つみたてNISAは対象商品が限られています。

個別株だと、投資している会社が20年後も上場しているとは限りませんよね、、、
個別株は、つみたてNISAに向かないため対象商品から外れています
つみたてNISA対象商品の選定基準
では、つみたてNISAの対象となる投資信託の商品は、どのような基準で選定されているのでしょうか。
選定基準をひとつずつみていきましょう。
信託期間が無期限または20年以上
投資信託は、運用を行う期限が決まっている商品と無期限の商品が存在します。
例えば、グローバルAIファンドの場合、信託期間(運用を行う期間)が下記のように設定されています。
この商品の場合、2026年で運用が終了する可能性があります。(※信託期間は延長される場合もあります。)

つみたてNISAは、長期投資を目的とした制度のため、商品の運用可能期間が短いものは向きません。
そのため、信託期間が無期限または20年以上という基準が設けられています。
毎月分配型ではない
投資信託は、商品ごとに決算日が決まっており、決算日のタイミングで分配金と呼ばれる配当がでます。
決算日は商品ごとに異なり、毎月決算の商品もあれば、年1回決算の商品もあります。
決算日に分配金を出すかどうかは、商品の運用方針によって異なり、分配金を一度も出していない商品もあれば、運用状況が思わしくない場合でも分配金を出し続けている商品もあります。
分配金は投資元本からの切り崩しであるため、毎月分配金を出している商品は、分配金を出すたびに投資元本が減っていきます。
そのため、毎月分配の商品は、分配金をだしていない商品に比べて、運用の効率が悪くなります。
つみたてNISAは長期の資産形成を支援する仕組みであり、運用効率の高い商品が適しているため、毎月分配型の投資信託は対象外となっています。
申込手数料が無料(ノーロード)
投資信託を購入する際、商品によっては、申込手数料がかかるものがあります。
つみたてNISAでは、制度を利用しやすいように申込手数料がかからない商品が対象となっています。
信託報酬は投資対象によって定める水準以下
投資信託は、保有期間中に信託報酬と呼ばれる費用がかかります。
信託報酬は、簡単にいうと“運用会社に商品の運用や管理などを任せるために支払う費用”です。
信託報酬の額は、商品によって異なり、商品性が複雑なものほど高い傾向にあります。
投資信託の保有中にかかる費用が少しでも安い方が、運用の効率が良いため、つみたてNISAの対象商品は比較的信託報酬が安い(一定水準以下)商品が対象になっています。
インデックスファンドの場合(株式指数などに連動する成果を目指す商品)
国内資産のみ | 海外資産組み入れ | |
信託報酬 | 0.5%以下 | 0.75%以下 |
アクティブファンドの場合(指数を上回る成長を目指す商品)
国内資産のみ | 海外資産組み入れ | |
信託報酬 | 1.0%以下 | 1.5%以下 |
一定の要件を満たした インデックスファンド アクティブファンドに限定
そもそもインデックス型ファンドとは、代表的な指数(日経平均やTOPIXなど)に連動する成果を目指す商品のことをいいます。
一方、アクティブ型ファンドとは指数を上回る成果を目指す商品のことをいいます。
例えば、日本の成長株を集めた商品やアメリカの社債を集めた商品など、代表的な指数ではなく、独自のテーマを決めて運用している商品は、アクティブ型ファンドに分類されます。
つみたてNISAの対象商品の要件は、インデックス型とアクティブ型によって異なります。
インデックス型の要件
指定インデックスに連動するもののうち、主な投資対象が以下のいずれかにあてはまるもの
・株式のみ
・株式+債券
・株式+REIT
・株式+債券+REIT
ポイント
指定されている指数に連動する商品のみが対象となっています。
TOPIXや日経平均などのメジャーな指数に連動する商品は、つみたてNISAのに対象となっていますが、マイナーな指数に連動する商品は対象外ということです。
また、つみたてNISA対象商品の投資対象は株、債券、REIT(不動産)に限られていますので、金やヘッジファンドなどへ投資をしている商品は、つみたてNISA対象外となります。
アクティブ型の要件
主な投資対象が以下のいずれかにあてはまるもの
・株式のみ
・株式+債券
・株式+REIT
・株式+債券+REIT
その他条件
・運用期間が5年以上経過
・純資産額が50億円以上
・運用期間中の3分の2の期間で資金流入している
ポイント
アクティブ型については、その他条件が設定されています。
長期で投資するのに相応しい商品を選別するため、運用期間や資産額などの条件が設けられています。
複雑な商品設計の商品は対象外
投資信託のなかには、複雑な投資手法を用いた商品もあります。
つみたてNISA制度は投資が初めての方でも利用しやすいよう、複雑な商品設計の商品は対象外となっています。
つみたてNISAで選べる投資信託の商品
つみたてNISAで投資可能な商品は?
現在、国内には5,000種類以上の投資信託の商品と200種類以上のETFの商品が存在します。
その中で、つみたてNISAの対象商品は投資信託が186種類、ETFが7種類となります。(2021年4月時点)
つみたてNISAの対象商品は、コストを抑えている分、商品性がシンプルであったり、代表的な指数に連動するものが多く、投資初心者の方でもわかりやすい内容になっています。
対象商品については金融庁のHPに一覧が記載されています。こちら
つみたてNISAで買う投資信託の選び方のポイント
186種類もあるつみたてNISA対象商品の中から自分にあった商品を見つけるポイントついては別記事で解説しています。
“20年運用するなら何に投資をすればいいのか”、”日経平均に連動する商品がたくさんあるが何を基準に選べばいいのか”など詳しくまとめておりますので、合わせてご覧ください。
まとめ
つみたてNISAの対象商品の選定基準について詳しく解説いたしましが、要点をまとめると、下記の通りです。
投資する我々にとってメリットの多い商品が、つみたてNISAの対象商品に選ばれているということです。
対象商品が限定されていることで、良い商品に投資ができるようになっていますので、安心してつみたてNISAで購入する商品を選んでいただけたらと思います。