この記事では、米国株式市場の最も有名な指数である「S&P500」について解説します。
「米国株の投資でよく聞くS&P500って一体なに?」「株式市場を表す指数の意味や活用方法を教えて欲しい」という方々に対し、この記事で疑問に答えていきます。
- S&P500指数とは一体なにかを解説
- S&P500指数の過去のパフォーマンスを分析
- S&P500指数に投資する場合の手段とおすすめ銘柄を3つ紹介
この記事を書いている ふぃたろう は、2016年から現在に至るまで6年間、米国株へ投資を行っている会社員兼ブロガーです。今回は、近年国内でも注目が高まっている米国株への投資の中でも最も有名な「S&P500指数」について解説していきます。
S&P500とは?

S&P500指数とは、アメリカの代表的な株価指数です。S&P ダウ・ジョーンズ・インデックスが算出しています。
ニューヨーク証券取引所・NYSE MKT・NASDAQといった、米国の株式市場に上場している銘柄から代表的な500銘柄の株価をもとに算出されていることが特徴です。
S&P500に選ばれる企業500社は非常に優秀な企業のみ
S&P500指数は、簡単に言うと、米国の全企業(約4000社)の中から、非常に優秀であるため選ばれた500社のパックの指数です。
選ばれると言うことは外される企業もあり、常に優秀な企業のみが残る指数なので、非常に安定しているのが特徴で、過去100年間を見ても、S&P500指数は右肩上がりに成長を続けています。
近年、日本国内でも老後2000万円問題が報道されて以来、NISA制度やiDeco制度を通して資産運用する際も人気が高まっている指数です。
S&P500の算出方法
S&P500指数は、現在の時価総額合計額を、1941~1943年時の時価総額合計額で割って、算出されます。
つまり、1941〜43年の基準時に対して、現在の時価総額合計額が何倍になったのかがわかるということです。
S&P500指数 = 現在の時価総額合計額 ÷ 1941~1943年時の時価総額合計額 ÷ 10
例えば、現在(2021年7月16日)時点のS&P500指数は「4322」なので、ここ80年間で432倍に成長していることが分かります。
いかに米国市場が安定的に成長してきたかが理解できると思います。
S&P500のセクター別構成比
S&P500指数は、全部で11セクターに分類されています。それぞれの構成割合は以下の通りです。

No. | セクター | 構成比率 |
1 | 情報技術(Information Technology) | 27.4% |
2 | ヘルスケア(Health Care) | 13.0% |
3 | 一般消費財(Consumer Discretionary) | 12.3% |
4 | 金融(Financials) | 11.3% |
5 | 通信(Communication service) | 11.1% |
6 | 工業(Industrials) | 8.5% |
7 | 生活必需品(Consumer Staples) | 5.9% |
8 | エネルギー(Energy) | 2.9% |
9 | 材料(Materials) | 2.6% |
10 | 不動産(Real Estate) | 2.6% |
11 | 公共(Utilities) | 2.5% |
各セクターの構成割合は、その時にS&P500指数に採用されている企業の時価総額によって決まるため、現在はここ数年著しい成長を遂げている好調な業績を上げている情報技術セクターの割合が高くなっています。
S&P500の構成銘柄 TOP10
S&P500を構成する銘柄と、その構成割合を紹介します。以下の数値は、2021年7月16日時点のデータになります。

No. | 企業名 | 構成比率 |
1 | アップル(AAPL) | 6.3% |
2 | マイクロソフト(MSFT) | 5.4% |
3 | アマゾン(AMZN) | 4.2% |
4 | フェイスブック(FB) | 2.2% |
5 | アルファベット A(GOOG) | 2.1% |
6 | アルファベット C(GOOGL) | 2.0% |
7 | バークシャ・ハザウェイ B(BRK/B) | 1.4% |
8 | テスラ(TSLA) | 1.4% |
9 | エヌビディア(NVDA) | 1.3% |
10 | JPモルガン・チェース(JPM) | 1.3% |
11 | ジョンソン&ジョンソン(JNJ) | 1.2% |
12 | ビザ(V) | 1.1% |
上位10銘柄の占める割合 | 27.9% | |
GAFAMの占める割合(上位6銘柄) | 22.6% |
上位銘柄を見ると、500銘柄から構成されるにも関わらず、S&P500指数は上位10銘柄のみで27.9%(4分の1以上)を占めていることが分かります。
また近年私たちの生活を激変させているGAFAMと呼ばれる巨大IT企業(グーグル・アップル・フェイスブック・アマゾン・マイクロソフト)の5社がトップを独占しており、GAFAM5社だけで22.6%もの割合を占めていることが分かります。
S&P500指数は常に銘柄の入れ替えも実施されており、2020年12月にはランキング8位の「テスラ(TSLA)」が採用されました。
また2021年7月にはコロナワクチンで急成長を見せている「モデルナ(MDRA)」がS&P500指数に採用されました。
S&P500のパフォーマンス

S&P500は、世界中の株式市場指数の中でも、長年特に高いパフォーマンスを見せていることで有名です。ここではS&P500指数のパフォーマンスを、一部比較しながら見ていきます。
S&P500 の長期投資リターン
S&P500指数で長期投資を行なった際のリターンを確認します。(1994年〜2021年)

1994年に$10,000(約100万円)を投資し、約25年間放置した場合、2021年には$152,700となりました。つまりS&P500に投資すると25年間で約15倍に成長しています。
途中、2000年頃(ITバブル)、2009年頃(リーマンショック)、2020年頃(コロナショック)と何度も株価が大暴落する場面も見られました。しかし前回の記事で説明した通り、米国は株価を上昇させることが重要と考えているので、さまざまな経済対策が実施され、株価は回復しその後も成長を続けています。S&P500指数の過去10年間の平均リターンは13%となっています。
S&P500 vs 日経平均株価
米国株式のS&P500と、日本株式の日経平均株価を比較します。
引用元:「月3万円で3000万円の「プライベート年金」をつくる 米国つみたて投資, 太田創著
グラフを見るとわかるように、米国株は、一時的に大きく下げることはあっても、必ず回復し、下落前よりも成長を続けています。
ちなみにグラフ中の点線は、日本企業225社の株価から算出される「日経平均株価」の推移になります。米国株に比べ、日経平均株価はほとんど成長していないことがわかります。
これより近年国内でも、米国市場への投資が人気を集めています。
S&P500に連動する おすすめ「投資信託」と「ETF」を3つ紹介

S&P500に投資する手段は、大きく3つあります。
- 「投資信託」を購入する
- 「国内ETF」(国内市場に上場している投資信託)を購入する
- 「米国ETF」(米国市場に上場している投資信託)を購入する
3つの手段どれで投資してもS&P500指数に連動するのでパフォーマンスは大きく変わりません。
しかし各手段で、「手数料・運用コスト」と「購入する際の手間」が異なります。
特に運用コストは、S&P500指数のパフォーマンスが同じでも、最終的に私たちの手元に残る資産額が変わりますので注意が必要です。
S&P500連動の「投資信託」
S&P500連動の投資信託は、各運用会社がいくつか販売していますが、ここでは2つの代表的な投資信託を紹介します。
- SBI・V・S&P500インデックス・ファンド
- eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
投資信託の特徴は、数百円から数千円程度の少ない金額から、購入手数料は無料で購入できる点です。
なので、投資初心者の方だと投資信託で米国株への投資を始める方も多いです。
またつみたてNISA制度を利用すると、運用益を非課税にすることも可能です。
おすすめ①:投資信託 SBI・V・S&P500インデックス・ファンド
「SBI・V・S&P500インデックス・ファンド」は、後の「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」よりも低コストで、S&P500の投資信託の中で最も低いコストであるのが特徴です。
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)と同じ、S&P500指数に連動するので、コスト重視で選ばれる方が多い投資信託となっています。
おすすめ②:投資信託 eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
SBI・V・S&P500インデックス・ファンドを購入できない、楽天証券やLINE証券でも購入可能なS&P500の投資信託が、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」になります。
S&P500連動の国内ETF
S&P500連動の国内ETFに関しても、いくつか商品が販売されています。
- 上場インデックスファンド米国株式(S&P500):1547
- SPDR S&P500 ETF:1557
- iシェアーズ S&P 500 米国株 ETF:1655
国内ETFでのおすすめ銘柄は、「iシェアーズ S&P 500 米国株 ETF:1655」です。
最も運用コストが安く、また出来高も最も多く比較的安心できます。この「iシェアーズ S&P 500 米国株 ETF:1655」は米国ETFである「IVV」に連動すること商品となっています。
国内ETFとは?
そもそもETFとは、Exchange Traded Fundの略で、訳すと「上場投資信託」となります。
つまり国内ETFとは、日本国内株式市場に上場している投資信託であり、株式同様に指定した金額で売買が可能です。
ETFは、運用コストが安いことが一つの特徴でしたが、先ほど紹介した投資信託「SBI・V・S&P500インデックス・ファンド」や「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」などは、国内ETFに負けないレベルで運用コストが安いため、ここ数年は国内ETFはメリットが少なくなってきています。
S&P500連動の米国ETF
最後に、米国ETFについて紹介します。S&P500指数に連動するの米国ETFは、主に3つあります。
- バンガード S&P500 ETF(VOO)
- SPDR S&P500(SPY)
- iShares Core S&P500(IVV)
米国ETFの特徴としては、米国市場に上場している投資信託を購入するため、米国ドルを準備する必要があります。もしくは日本円決済も可能ですが為替手数料が必要となります。
しかし為替交換を自分で行えば、米国ETFはとにかく運用コストが安いので、トータルの運用コストは投資信託や国内ETFと比べても安くなります。よって、米国ETFは長期投資に向いています。
おすすめ③:米国ETF バンガード S&P500 ETF(VOO)
米国ETFの中でも、バンガード S&P500 ETF(VOO)は運用コストが0.03%と業界最安値となっており、S&P500へ投資する際に最もおすすめの商品です。
詳しくは、以下の記事をご確認ください。
まとめ

この記事では、「S&P500指数とは?」について解説しました。
S&P500指数は長期的にも安定した成長を見せていることは長期投資に人気がある銘柄となっています。以下に本記事のまとめを記載します。
- S&P500指数は、米国の選ばれた優秀な企業500社のパック
- 特に巨大IT企業(GAFAM)だけで20%以上を構成されている
- S&P500へ投資する方法は、3つ(投資信託・国内ETF・米国ETF)
- 投資信託は、「SBI・V・S&P500インデックス・ファンド」か「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」がオススメ
- SBI・V・S&P500インデックス・ファンドが最も低コストな投資信託
- 国内ETFは、運用コストメリットが薄れてきており、投資信託の方がトータル利用しやすい
- 米国ETFは、為替交換の手間/手数料がかかる運用コストがとにかく安い
- 米国ETFを利用する場合、「バンガード S&P500 ETF(VOO)」が最も低コスト
またこれから証券会社の口座開設を行う方で、どこの証券会社にするか迷う方は、SBI証券で口座開設することをお勧めします。理由は最も低コストでかつ、扱っている商品が優れたものが多いためです。
SBI・V・S&P500インデックス・ファンドもSBI証券で購入可能です。口座開設はもちろん無料です。
この記事は以上になります。この記事の続きは以下の記事になりますので、気になる方はご覧ください。