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【新興国・米国ETF検討③ 】MSCI エマージング・マーケット・IMI ・インデックス について分析

※この記事には、最新版の別の記事があります

より新しい情報、詳しい情報を記載していますので、良ければそちらをご覧ください

>>最新記事「VWO・EEM・IEMGを比較。新興国株ETFはどれがおすすめ?」

 この記事は、前回・前々回とは異なる3つ目の新興国株の米国ETF「MSCI エマージング・マーケット・インデックス」についてご紹介します。

 ※前々回の記事:https://omtanke11.com/sinkokoku-etf-vwo/
 ※前回の記事:https://omtanke11.com/shinkoukoku-etf-eem/

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MSCI エマージング・マーケット・IMI・インデックスの特徴

 「MSCI エマージング・マーケット・IMI・インデックス」とは、新興国市場をカバーしている株価指数であり、MSCI社(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル)が算出しています。

 この株価指数は、新興国27ヵ国の大型株・中型株および小型株を対象としており、約3000銘柄で構成されています(2020年12月時点の数値)。

 つまり、前回ご紹介した「MSCI エマージング・マーケット・インデックス」には小型株が含まれていない株価指数(インデックス)でしたが、今回ご紹介する「MSCI エマージング・マーケット・IMI・インデックス」には小型株が含まれており、より多くの範囲をカバーする株価指数であるということです。

新興国株式市場の
時価総額のカバー率   
銘柄数
FTSEエマージング・マーケッツ・オールキャップ
(含む中国A株)・インデックス
約99%約2000銘柄
MSCI エマージング・マーケット・インデックス    約85%約1400銘柄
MSCI エマージング・マーケッツ・IMI インデックス約99%約3000銘柄

 上の表を見ても、代表的な新興国株価指数の中でも、「MSCI エマージング・マーケット・IMI・インデックス」は最も多くの銘柄数をカバーしていることがわかります。

構成国比率(2020年12月31日時点)

  MSCI社に記載のデータを下の表にしたので、ご確認ください。

       構成国比率    
中国36.14%
韓国13.99%
台湾13.62%
インド9.89%
ブラジル5.26%
その他21.1%

 ここで注目なのが、「韓国」です。

 前々回にご紹介した「FTSEエマージング・マーケッツ・オールキャップ(含む中国A株)・インデックス」には、含まれておらず、本インデックスには韓国が含まれています。多くがサムスンだと思われます。

 また前回ご紹介した「MSCI エマージング・マーケット・インデックス」に比べ上位国の割合が増えています。よって、MSCI エマージング・マーケット・IMI・インデックス」小型株のカバー率は高いですが、国だけを見ると、上位国により集中している株価指数ということが言えます。

構成銘柄比率(上位10銘柄)

       構成銘柄比率 セクター
Taiwan Semiconductor Manufacturing Co. Ltd.5.27%台湾テクノロジー
Alibaba Group Holdings ADRTencent Holdings Ltd.5.00%中国一般消費・サービス
Tencent Holdings Ltd.4.74%中国情報サービス
Samsung Electronics Co.4.04%韓国テクノロジー
Meituan B1.55%中国一般消費・サービス
Naspers N1.02%南アフリカ一般消費・サービス
Reliance Industries0.88%インドエネルギー
JD.com ADR0.86%中国一般消費・サービス
China Construction Bank H0.83%中国金融
Ping An Insurance Group Co. of China Ltd.0.83%中国金融

 前回ご紹介した「MSCI エマージング・マーケット・インデックス」と比べると、

「MSCI エマージング・マーケット・IMI・インデックス」は、小型株が組み込まれた分、各社の割合が低くなっています。しかし、上位銘柄の順位に変わりなく、比率も全体的に少しづつ下がっており、バランス的には、同じ印象です。

セクター比率

       セクター比率
テクノロジー20.23%
一般消費・サービス17.68%
金融17.20%
情報サービス10.79%
材料8.03%
小売・流通5.82%
エネルギー5.42%
ヘルスケア5.30%
工業4.71%
不動産2.58%
公共(電気・ガス・水道)2.24%

  ここでも同様に、前回ご紹介した「MSCI エマージング・マーケット・インデックス」と比べると、

「MSCI エマージング・マーケット・IMI・インデックス」は、セクター上位5位の割合が小さくなった分、下位6~10位のセクター割合が増えています。小型株が増えたことが要因だと思います。セクターだけで見ると、本株価指数の方が、分散効果が高いことが考えられます。

MSCI エマージング・マーケット・IMI・インデックス」に投資するには?

 結論、「iシェアーズ・コア MSCI エマージング・マーケット ETF(IEMG)」です。詳しくみていきましょう。

iシェアーズ・コア MSCI エマージング・マーケット ETF(IEMG)

 「MSCI エマージング・マーケット・IMI・インデックス」との連動を目指しているファンドは、「iシェアーズ ・コア MSCI エマージング・マーケット ETF(IEMG)」があります。以下にブラックロック社の商品説明を抜粋しておきます。

  • iシェアーズ・コア MSCI エマージング・マーケット ETFは、新興国の大型、中型および小型株式で構成される指数と同等の投資成果を目指しています。

IEMGの特徴

 iシェアーズ・コア MSCI エマージング・マーケット ETF(IEMG)の特徴は、新興国株式市場の大型・中型に加え、小型株に一度に分散投資できるという点になります。VWOに比べ、韓国の割合が高く投資することができます。

 経費率に関しても、VWOが0.10%に対し、IEMGは0.11%とほとんど変わりません。

 カバー率も、VWOと同じ99%以上ですが、銘柄数を見ると、1.5倍IEMGの方が多く、より分散投資されているETFと言えるでしょう。

iシェアーズ MSCI エマージング・マーケット ETF(IEMG)
ベンチマーク   MSCI エマージング・マーケット・IMI・インデックス
売買手数料証券会社毎
経費率0.11%
売買単位1株(2021年1月22日現在、$66.85/1株)
純資産総額$77.05 B (2021年1月22日現在)
上場市場NYSE Arca

IEMGの国別構成比(ベンチマーク指数の比較)

 次の表は、「MSCI エマージング・マーケット・IMI・インデックス」と、
「iシェアーズ・コア MSCI エマージング・マーケット ETF(IEMG)」の構成銘柄の国の割合を表したものです。

 ほとんど一致していることがわかります。また中国・台湾・インドのアジア圏で約60%以上を占めていることがわかります。

国(市場)     IEMG   ベンチマーク指数
(MSCI エマージング・マーケット・IMI・インデックス)
中国36.86%36.14%
台湾14.31%13.62%
韓国14.08%13.99%
インド9.60%9.89%
ブラジル4.71%5.26%

ベンチマーク指数(MSCI エマージング・マーケット・IMI・インデックス)と比べ、台湾と韓国の割合順位が入れ替わっていることがわかります(2021年1月22日時点)

IEMGの組み入れ銘柄 上位10銘柄

 以下の表は、iシェアーズ・コア MSCI エマージング・マーケット ETF(IEMG)の組み入れ上位10銘柄を示したものです。※ブラックロック社HPからデータを確認(2021年1月22日時点)

       IEMG   ベンチマーク
指数  
セクター
Taiwan Semiconductor Manufacturing Co. Ltd.6.23%5.27%台湾テクノロジー
Alibaba Group Holdings ADRTencent Holdings Ltd.5.32%5.00%中国一般消費・サービス
Tencent Holdings Ltd.5.18%4.74%中国情報サービス
Samsung Electronics Co.4.03%4.04%韓国テクノロジー
Meituan B1.83%1.55%中国一般消費・サービス
Naspers N1.08%1.02%南アフリカ一般消費・サービス
Reliance Industries0.87%0.88%インドエネルギー
JD.com ADR0.86%0.86%中国一般消費・サービス
China Construction Bank H0.81%0.83%中国金融
Ping An Insurance Group Co. of China Ltd.0.81%0.83%中国金融

 ベンチマーク指数に対し、「Taiwan Semiconductor Manufacturing Co. Ltd.」の割合が1%も多くなっています。これが先ほどご紹介した組み入れ国割合で、IEMGの方が台湾の順位が高くなっている要因になります。その他の銘柄に関しては、大きく差はない印象です。

IEMG以外の新興国インデックスは?

 iシェアーズ ・コア MSCI エマージング・マーケット ETF(IEMG)以外の新興国ETFで代表的なものは、
以下の2つになります。これらのETFの比較については、別記事でまとめていますので、気になる方は、
チェックしてみてください。

  • iシェアーズ MSCI エマージング・マーケット ETF(EEM)
  • バンガード・FTSE・エマージング・マーケッツETF(VWO)

他インデックスとの比較

 ETFの話から戻しますが、「MSCI エマージング・マーケット・IMI・インデックス」は、新興国株の大型・中型に加え、小型株も含め、全体の99%以上をカバーしている株価指数です。

 他のインデックスは、同じMSCI社の指数で小型株を含まない「MSCI エマージング・マーケッツインデックス」や、同様に小型株を含む「FTSEエマージング・マーケッツ・オールキャップ(含む中国A株)・インデックス」があります。

 今回紹介した「MSCI エマージング・マーケット・IMI・インデックス」は、他の新興国株価指数に比べて、最もカバーしている銘柄数が多く分散効果が高いと言えます。一方で、国別割合を見ると、より中国等の上位国への割合が高くなっていることから、国別という意味では他の株価指数に比べ、分散効果が小さい指数と言えます。

まとめ

 この記事では、「MSCI エマージング・マーケット・IMI・インデックス」について、紹介しました。

 本インデックス(株式指数)は、大型株・中型株に加えて、小型株も含む指数であり、韓国株式の割合が高いことも特徴かと思います。また新興国株式時価総額の99%をカバーしている指数になります。

 また本インデックスに投資する方法として、iシェアーズ・コア MSCI エマージング・マーケット ETF(IEMG)をご紹介いたしました。

 このETFは、日本から唯一「MSCI エマージング・マーケット・IMI インデックス」へ投資するためのETFになります。

 簡単ですが、新興国株ETFへ投資をお考えの方は以下のように使い分けると良さそうです。
 ・より多くの銘柄に投資したい場合:「MSCI エマージング・マーケット・IMI・インデックス」
 ・大型・中型株だけでいい場合:「MSCI エマージング・マーケット・インデックス」
 ・コスト優先、韓国の割合を下げたい場合:「「FTSEエマージング・マーケッツ・オールキャップ(含む中国A株)・インデックス」

 それぞれに対応するETFの運用実績等の比較は、次の記事でご紹介いたします。

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