この記事では、投資信託の人気ファンド「SBI バンガード S&P500 インデックス ファンド」の分配金に関する情報について紹介しています。
・「SBI バンガード S&P500 インデックス ファンド」は分配金が出ているのか
・「SBI バンガード S&P500 インデックス ファンド」の今後の分配金見通し
・マザーファンドで出た分配金はどうなっているのか
etc

プロフィール
大手金融機関 総合職10年目
個人顧客への資産運用、税金対策等のコンサルタント業務を担当
FP1級、宅地建物取引士
SBI バンガード S&P500 インデックス ファンドとは
商品性

「SBI バンガード S&P500 インデックス ファンド」は米国のS&P500という株価指数に連動する運用成果を目指す投資信託です。
投資信託ですので、少額から投資が可能で、外貨への両替を行うことなく、簡単にアメリカの株式市場に投資ができるのが魅力です。
「SBI バンガード S&P500 インデックス ファンド」は、商品性がシンプルで、コストを抑えて運用が可能なファンドのため、人気があり、SBI証券では販売ランキング1位のファンドとなっています。

インデックスファンドに関する紹介記事はこちら
【投資初心者におすすめ】インデックスファンドについて徹底解説!
メリット

「SBI バンガード S&P500 インデックス ファンド」のメリットについては別記事で詳しくまとめております。
SBI バンガード S&P500 インデックス ファンドの分配金は?
分配金とは

投資信託はファンドごとに決算日が決まっており、決算日に投資家に支払われるお金のことを分配金といいます。
決算日はファンドごとに異なり、毎月決算を行うファンドもあれば、年に1回のみ決算を行うファンドもあります。
決算日に分配金を出すかどうかはファンドの運用方針によって異なり、順調に値上がりをしていても過去に一度も分配金を出していないファンドも数多く存在します。
また、分配金の金額もファンドによって大きく異なります。
分配金に関する紹介記事はこちら
ファンドの分配金実績の確認方法

それでは、本題の「SBI バンガード S&P500 インデックス ファンド」の分配金実績について調べていきます。
投資信託の販売を行っている金融機関のサイトにいけば、ファンドの分配金に関する情報を手に入れることができます。
今回はSBI証券のサイトで検索をおこないます。
SBI証券のトップページより投資信託のページを選択し、ファンド名で検索します。


分配金情報

先程の検索方法で出てきた分配金情報についてひとつずつ解説していきます。

決算日は年1回ということですので、分配金が出た場合は、毎年9月14日に受け取ることができるということになります。
分配金に関する情報が下記の通りです。

直近分配金0円、設定来分配金0円となっています。
「SBI バンガード S&P500 インデックス ファンド」は2019年9月26日に設定されたファンドのため、これまで決算日は一度しか迎えておらず、初回決算日の2020年9月14日には分配金が出ていないということになります。
SBI バンガード S&P500 インデックス ファンド 分配金予想
「SBI バンガード S&P500 インデックス ファンド」は、今後分配金を出すことはあるのでしょうか。
深掘りしていきたいと思います。
分配方針

毎決算時(年1回、9月14日。休業日の場合は翌営業日とします。)に、原則として以下の方針により、分配を行います。
分配対象額の範囲は、繰越分を含めた経費控除後の利子・配当等収益と売買益(評価益を含みます。)等の全額とし、委託会社が基準価額水準、市場動向等を勘案して収益分配金額を決定します。
ただし、分配対象額が少額の場合は、分配を行わない場合があります。また、将来の分配金の支払い及びその金額について保証するものではありません。
簡単な言葉に置き換えると、以下の通りです。
・マザーファンドから出た配当収入や値上がり益の中から分配金を出す
・基準価格と市場の見通しから判断して、分配金の金額を決定する
・マザーファンドから出た配当収入や値上がり益が少ない場合は、分配を行わない
この分配方針を読む限りでは、状況がよければ分配金が出る可能性はあるように思います。
ただし、分配金を出さずに運用を行うほうが、運用効率がよく、複利の効果で値上がりが期待できますので、そのような観点で分配金を出さない可能性も十分あります。
決算日を1度しか迎えておらず、正直なところ今後の分配方針ははっきりとわかりませんが、2021年の決算日時点で市場環境が良く、基準価格が上昇しているにも関わらず、分配金を出さないようなら、今後も分配金は期待できないのではないかと思います。
過去の決算日のパフォーマンス

では、初回決算日になぜ分配金が出なかったのかを確認したいと思います。
ファンドの決算日(2020年9月14日)の運用報告書に以下のように記載がありました。
当期の収益分配は、運用の効率性と基準価額の水準を勘案し見送ることといたしました。
なお、収益分配にあてなかった利益につきましては、信託財産内に留保し、運用の基本方針に基づいて運用いたします。
分配金は、純資産からの切り崩しですので、分配金を出すとその分、運用の効率は落ちます。
そのため、今回の分配は見送るという判断だったようです。
また、コロナ禍で相場が乱高下する状況のなかで、分配を行うことは賢明でないという判断だったのでしょう。
ちなみに2020年9月14日時点の基準価格がこちらです。

コロナ禍で基準価格が大きく下げたあと、徐々に基準価格は戻ってきていたものの、再度下落している局面でしたので、分配金を出すには難しい状況だったと思われます。
マザーファンドで出た分配金はどうなっているのか
「SBI バンガード S&P500 インデックス ファンド」は、投資家から集めた資金をまとめてマザーファンドと呼ばれる投資信託に投資し、実質的な運用をマザーファンドで行う仕組みを採用しています。
「SBI バンガード S&P500 インデックス ファンド」のマザーファンドは、バンガードS&P500という ETFです。
では、「バンガードS&P500ETF」は分配金を出しているのでしょうか。
バンガードS&P500ETF 分配金状況

マザーファンドの「バンガードS&P500ETF」の分配金情報は以下の通りです。
年決算回数 | 4回 |
決算日 | 3,6,9,12月 |
直近分配利回り | 1.32% |
直近、4回の決算日は全て分配金が出ています。
では、マザーファンドである「バンガードS&P500ETF」から出た分配金は、「SBI バンガード S&P500 インデックス ファンド」でどのように処理されているのでしょうか。
バンガードS&P500ETFで出た分配金の行方
2020年9月14日の運用報告書を確認すると、確かにマザーファンドである「バンガードS&P500ETF」から出た配当収益の記載があります。

では、この配当等収益はどこにいってしまったのでしょうか。
詳しく調べていくと、分配方針の中にこのような一文がありました。
留保益(配当等収益、売買益)の運用については、特に制限を定めず、委託会社の判断に基づき、元本部分と同一の運用を行います。
つまり、受け取った分配金は、「バンガードS&P500ETF」に再投資をしているということです。
マザーファンドの配当が再投資されているメリット

先ほども申し上げた通り、「SBI バンガード S&P500 インデックス ファンド」は、マザーファンドの「バンガードS&P500ETF」から出た分配金で、再度「バンガードS&P500ETF」を買付しています。
分配金を再投資する一番のメリットは、この先相場が上昇すれば、複利の効果が期待できるという点です。
投資家は、S&P500指数が今後上昇すると考えファンドに投資をしているわけですから、マザーファンドから出た分配金を現金として留保するのではなく、再度マザーファンドに投資して、再投資した分配金分に対しての運用益も享受できるように運用してくれているというわけです。
目論見書にも、投資家から集めた資産のほとんどがマザーファンドである「バンガードS&P500ETF」に投資されていることが記載されています。

ちなみに、分配金を再投資する効果については下記の通りです。
例えば、ファンドに100万円投資して、決算日に3万円の分配金が受け取れたとします。
その分配金を手元に残したAさんと、分配金を再投資したBさんがいたとします。
1年後、ファンドが10%値上がりした場合、Aさんは初めに投資をした100万円が110万円になり、手元には3万円の分配金があります。
一方、Bさんは、初めに投資をした100万円と再投資した分配金分の3万円が10%上昇して1,133,000円となり、Aさんよりも3,000円多く運用益がでます。
この考え方が再投資の効果です。
ただし、逆にファンドが10%下落した場合、Aさんは初めに投資をした100万円が90万円になり、手元には3万円の分配金があります。
一方、Bさんは、初めに投資をした100万円と再投資した分配金分の3万円が10%下落して927,000円となり、Aさんよりも3,000円損失が大きくなります。
まとめ

この記事の要点をまとめると以下の通りです。
・初回決算日の2020年9月14日は、運用の効率性と基準価額の水準が勘案され分配金はでていない
・次回の決算日は2021年9月14日
・ファンドの運用方針には「基準価格と市場の見通しから判断して、分配金の金額を決定する。マザーファンドから出た配当収入や値上がり益が少ない場合は、分配を行わない。」と記載があり、市場環境が良ければ分配金がでる可能性はある
・ただし、分配金を出さずに運用を行うほうが、運用効率がよく、複利の効果で値上がりが期待できるため、そのような観点で分配金を出さない可能性もある
・マザーファンドの「バンガードS&P500ETF」は年4回分配金がでている
・マザーファンドから出た分配金は、再度マザーファンドへ投資されている
・分配金を再投資することで、この先相場が上昇すれば、複利の効果が期待できる
「SBI バンガード S&P500 インデックス ファンド」は、決算日を1度しか迎えておらず、正直なところ今後の分配方針ははっきりとわかりません。
2021年9月の決算日時点で、市場環境が良く、基準価格が上昇しているにも関わらず、分配金を出さないようなら、今後も分配金は期待できないのではないかと思います。
状況が良いにも関わらず分配金を出さないということは、運用の効率性を重視していくということです。
分配金の有無だけで、ファンドを評価せず、基準価格の騰落率(分配金が出た場合は分配金込みの騰落率)でしっかりファンドを評価するようにしましょう。
「SBI バンガード S&P500 インデックス ファンド」は、つみたてNISAやiDeCoでの投資先としてもおすすめのファンドです。
他にも「SBI バンガード S&P500 インデックス ファンド」の記事を用意しておりますので、宜しければ合わせてご覧ください。