この記事では、米国株式を示す「ラッセル指数(Russell指数)」について解説します。
- 「ラッセル指数」は、ラッセル1000・ラッセル2000・ラッセル3000の3つの異なり指数がある
- 特に重要なのは「ラッセル2000」である
- 理由:ラッセル2000は小型株から算出され、将来景気に敏感な指数であるため
- ラッセル2000に投資する方法は、主に米国ETFになる
- ラッセル2000に連動するおすすめ米国ETFは、「バンガード社のVTWO」
- ラッセル2000は、長期で見るとNYダウとS&P500とほぼ同じパフォーマンスとなる
この記事を書いている ふぃたろう は、2016年から現在に至るまで6年間、米国株へ投資を行っている会社員兼ブロガーです。今回は、NYダウ・S&P500に並んで、米国株投資家の中では有名な指標となっている「ラッセル2000」について、解説いたします。
3つのラッセル指数(Russell指数)
NYダウやS&P500といった主要指数の他に、「ラッセル指数」という指数が存在します。
ラッセルインベストメント社が算出・公表している指数です。
NYダウやS&P500ほどの知名度はありませんが、時価総額上位の企業を集めた指数として、活用されています。
ラッセル指数の種類
ラッセル指数には主に3種類あります。
- ラッセル1000:時価総額1位〜1000位の銘柄から算出
- ラッセル2000:時価総額1001位〜3000位の銘柄から算出
- ラッセル3000:時価総額1位〜3000位の銘柄から算出
※全米の銘柄数がおおよそ3800~3900社程度
時価総額上位3000銘柄で構成されるラッセル3000指数が代表的な指数です。上位3000社で米国市場の時価総額の98%を占めると言われています。
ラッセル1000は、上位1000銘柄だけに絞った指数であり、上位1000銘柄を除いた残りがラッセル2000指数となっています。
基本的に年1回、銘柄の組み替えが行われています。
ラッセル2000指数の特徴
ラッセル2000指数は、NY証券取引所やNASDAQなどに上場している銘柄のうち、時価総額が上位1001位から3000位までの銘柄の時価総額加重平均型の株価指数です。
全米株式の時価総額の約10%程度をカバーした指数と言われています。
またラッセル2000指数は、1986年12月31日に基準値を135として算出されており、小型株指数としての継続性を重視して年1回、銘柄入れ替えが実施されています。
ラッセル2000が重要な指数である理由
3つあるラッセル指数のうち、「ラッセル2000」が投資家の間では重要とされています。
ラッセル2000は、小型株が中心であるため企業の倒産などの確率が高く、NYダウやS&P500に比べても、非常に景気に敏感な指数となっています。
つまりラッセル2000は、将来の株価の動きを反映させるような動きになることが多く、投資家の間でも注目されている指数となっています。
- 市場がリスクを取る動きとなれば、ラッセル2000は上昇傾向
- 市場がリスクを抑える動きになれば、ラッセル2000は下落傾向
動きが大きくボラティリティが高いのが特徴ですが、長期的に見ると更なる成長も期待できます。
ラッセル2000 vs NYダウ/S&P500
ラッセル2000 vs NYダウ・S&P500
ラッセル2000と、NYダウ/S&P500指数を比較してみます。
- NYダウ:30銘柄から算出
- S&P500指数:米国企業500銘柄から算出
- ラッセル2000指数:時価総額1001~3000位の2000銘柄から算出
NYダウ | S&P500指数 | ラッセル2000指数 | |
指数ティッカー | DJI | SPX | RUT |
設立 | 1928年 | 1923年 | 1986年 |
算出会社 | S&P ダウ・ ジョーンズ・ インデックス | S&P ダウ・ ジョーンズ・ インデックス | ラッセルインベスト メント社 |
市場 | ニューヨーク 証券取引所、 ナスダック | ニューヨーク 証券取引所、 NYSE MKT、 ナスダック | ニューヨーク 証券取引所、 NYSE MKT、 ナスダック |
企業数 | 30銘柄 | 500銘柄 | 2000銘柄 |
算出方法 | 株価平均 | 時価総額 加重平均 | 時価総額 加重平均 |
内容 | 全セクター から厳選した 30銘柄 | 全セクター からトップ 500企業 | 時価総額 1001~3000位 の小型株 |
ラッセル2000が最も銘柄数が多く、分散されていることがわかりますが、小型株のみから構成されているのが特徴です。
長期チャート比較
ここでは「NYダウ」「S&P500指数」「ラッセル2000指数」の3つのチャートを比較します。

過去のチャートで見ると、3指数ともほとんどパフォーマンスが同じ結果になっています。
特に2000年頃のITバブルではほとんどダメージがないこと、また2009年のリーマンショック後の成長率は最も高く、米国株式の代表指数であるNYダウやS&P500に引けを取らないパフォーマンスとなっていることがわかります。
ラッセル2000指数に連動した金融商品
ラッセル3000・ラッセル1000に連動した米国ETF
先に、「ラッセル3000指数」「ラッセル1000指数」に連動した商品も簡単に紹介します。
米国ETFは、米大手運用会社バンガード社が販売しているものになります。
- バンガード・ラッセル3000 ETF(ティッカーシンボル:VTHR)
- バンガード・ラッセル1000ETF(ティッカーシンボル:VONE)
残念ながら、国内ETFや投資信託は非常に数が少なく、米国ETFの利用が良さそうです。
ラッセル2000に連動した米国ETF
ラッセル2000も日本国内で人気のある投資信託はなかなか見つかりません。しかし米国ETFは、ラッセル1000やラッセル3000に比べ、数が多く資産総額も多いものがいくつか存在します。
以下、米バンガード社
- バンガード・ラッセル2000ETF(VTWO)
- バンガード・ラッセル2000バリュー株ETF(VTWV)
- バンガード・ラッセル2000グロース株ETF(VTWG)
以下、ブラックロック社
- iシェアーズ ラッセル2000 ETF(IWM)
- ラッセル2000バリュー・インデックス(IWN)
- ラッセル2000グロース・インデックス(IWO)
ラッセル2000指数は小型株が対象のため、小型株を対象とする多くのファンドが「ラッセル2000指数」をファンドのベンチマークとして採用されています。
ラッセル2000指数をベースとした2つのETF「バンガード・ラッセル2000ETF(VTWO)」と「iシェアーズ ラッセル2000ETF(IWM)」を比較してみます。
銘柄名 | バンガード・ラッセル2000 ETF | iシェアーズ ラッセル2000 ETF |
ティッカー シンボル | VTWO | IWM |
経費率 | 0.10%/年 | 0.19%/年 |
配当利回り | 1.66% | 0.86% |
純資産総額 | 5,243百万米ドル | 69,794百万米ドル |
設定日 | 2010/09/20 | 2000/05/22 |
1年騰落率 | 49.91% | 49.67% |
5年騰落率 | 95.29% | 94.35% |
- 経費率/配当利回り/騰落率(成長率):バンガード・ラッセル2000 ETF
- 純資産総額:iシェアーズ ラッセル2000ETF
設定日が古いIWMの方が純資産総額は大きいですが、その他の項目はVTWOの方が優秀な数値となっています。これからラッセル2000指数へ投資を行う方は、低コストで利回り・成長率も高いVTWOをおすすめいたします。
VTWO vs IWM (おすすめの米国ETFはどっち?)

2つのチャートを比較しましたが、成長率はほとんど一致していることがわかります。
つまりラッセル2000の米国ETFは、コストや利回りなどを基準に選ぶことになりそうです。
まとめ
この記事では、「ラッセル指数」について解説しました。
ラッセル指数は3つあり、最も有名なのは時価総額1001位〜3000位の小型株2000銘柄から構成される「ラッセル2000指数」です。
以下に本記事のまとめを記載します。
- ラッセル指数は、1000/2000/3000の3つの指数がある
- ラッセル2000は、米国市場の時価総額1001位〜3000位の2000銘柄から算出
- 小型株の動向は今後の市場の指標となるため「ラッセル2000」は注目されている
- ラッセル2000は、NYダウ・S&P500と長期パフォーマンスは変わらない
- ラッセル2000に投資するには、米国ETFがメインとなる
- ラッセル2000に連動する米国ETFは「バンガード・ラッセル2000 ETF(VTWO)」が最も低コストでリターンも高いためおすすめ