前記事では、日本の今後についてや日本の年金制度が不安であること、また私たちの今後の収入や退職金について、これまでのデータを紹介しながら分析してきました。
この記事では、老後資金に3000万円必要であること(国が言う2000万円では足りない理由)、またその準備方法(貯め方)を紹介していきます。
結局のところ、貯金ではなく、投資が必要になりますが、出来るだけリスクを減らし・手間のかからない・景気にも左右されない・低コストな投資方法を紹介していきます。
>>前の記事:【20代30代からの老後準備①】超高齢化社会の老後はいくら必要?老後資金は国に期待できない理由
老後のリアルなお金事情
まず「老後」とは、おおよそ65歳以降のことを指すことが多いです。65歳で会社を定年退職し、65歳以降は、それまで築いてきた資産を少しづつ取り崩し、それに年金を加えたお金で、毎日の生活をやりくりする方が多いということから、老後生活とは一般的に65歳以降の生活と捉えられています。
「老後資金」とは、「65歳以降、生活に必要となる資金」ということになります。
老後資金には、3000万円が必要な理由
では、老後資金がいくら必要になるのか、具体的に計算をしていきます。
老後生活は、おおよそ25年間
まず65歳から、資金を切り崩しながら生活するとして、そこから何年間分の資金が必要なのでしょうか。
日本の平均寿命を見ると、男性は85歳・女性は90歳となっているので、20-25年間分資金が必要になります。ここでは、老後資金を25年間分準備するとして、計算を進めます。
老後生活の毎月の生活費はいくら?
次に、老後生活25年間の生活費ですが、一般的な生活だと夫婦2人で月々22万円で済みます。
夫がサラリーマン、妻が専業主婦の夫婦2人の年金支給額がおおよそ22万円なので、この場合はちょうど釣り合っています。なので老後資金を準備する必要はないかもしれません。
しかし、この試算には、ゆとりある生活(旅行やレジャー、趣味、嗜好品、日常生活費を充実させる、家電の更新など)を送るためのお金は含まれていません。
人生の最後の25年間を我慢の生活で終えたい人はいないでしょう。ゆとりある生活を送るために必要な金額は、夫婦2人で月々35万円と言われており、13万円も不足することになります。
つまり、夫婦2人で 13万円/月×12ヶ月×25年間=3900万円 不足することになります。
なぜ老後資金が3000万円必要なのか
不足する3900万円の一部は、退職金で補うことができます。前記事でまとめていますが、退職金は今後も減り続けることが予想されており、現在の平均額・今後の減少率から、ここでは私たちがもらえる退職金は900万円として計算します。
不足3900万円 – 退職金900万円 = 3000万円 が足りない老後資金となります。
つまり、国は「老後2000万円問題」などと言っていますが、ゆとりある生活を送りたい方は3000万円不足すると言うことになります。
前記事でも述べましたが、現在50代で全く貯金がない方は30%以上もいます。もし本当に貯金が全くない場合、生活保護を受けなければ生きていけないような状況にもなりかねません。そうならないように、早い段階から老後資金を準備する必要があります。
どうやって3000万円貯めるのか?
老後資金3000万円を本当に貯めることができるのか?
老後資金に3000万円必要なことはわかりましたが、よほどお金が余らない限り、貯金で3000万円貯めることができる人はほとんどいません。前記事の統計データからもわかると思います。
しかし、20代・30代の私たちのほとんどの方は、”今から始めれば” 3000万円を65歳までに貯めることができます。
ではどのように準備すればいいのでしょうか。以下に解説していきます。
結論:資産運用(投資)を行う。投資と貯金で月5万円も差が出る理由
繰り返しますが、結論として、65歳までに3000万円貯めるためには、貯金ではなく投資するしか方法はありません。
仮に貯金だけで、3000万円を貯めようとした場合
「投資はやっぱり抵抗がある」と言う方、貯金で3000万円準備するには、毎月いくら貯金が必要か簡単にシミュレーションしてみましょう。
銀行での利息が0.01%と仮定し、30年間で3000万円を目指す場合、毎月約83,000円の貯金が必要になります(下のシミュレーション結果画像)。住宅ローン・子供の養育費・日々の生活費などが必要になる中で、毎月83,000円を貯金できる方は、ほとんどいないと思います。
ちなみに、50歳になってから65歳までの15年間で、3000万円を貯めようとした場合、毎月の貯金額は、166,000円必要になります。倍の額です。正直かなり厳しいというか、不可能に近いです。
なので、貯金で準備するにしても、投資で準備するにしても、出来るだけ早めに準備したほうがいいのです。
貯金ではなく、投資でお金を運用したらどうなるか
では次に、資産運用(投資)すれば、おおよそいくらの貯金(投資)で済むのかシミュレーションしてみます。
投資といっても様々な商品がありますが、ごく一般的に無理のない投資をする場合、平均5%/年で運用することが可能です。(リスクや運用実績などの詳細は、次の記事で紹介します)
毎年5%でお金を運用した場合、30年間で3000万円貯めるためには、毎月いくらの投資が必要かを計算したのが下の画像です。シミュレーションの結果、毎月約36,000円で済むことが分かります。
毎月86,000円貯金するのか、毎月36,000円を投資し、残った50,000円で好きな物を買うのか、どちらがいいでしょうか。もちろん後者が望ましいと思います。
しかし、投資には抵抗がある方も多いと思います。
投資はどうしてもお金が減ると考えてしまう方へ
言いたいことはよく理解できますが、やはり大金を準備するには、ある程度のリスクは必要になります。
実際に不安に思っている方の通り、2008年のリーマンショック(株価が1/3へ急落)や、最近では2020年のコロナショック(株価2/3に急落)などで株価は急落しました。
※下のグラフは、米国市場の代表的な指数である「NYダウ工業平均」の推移です。

株価の急落は、コントロールできないので仕方がありません。株価のプロである証券会社のトレーダーやアナリストですら予測できません。
但し、株価の急落リスクを許容できない場合は、前述の「貯金」などで老後資金を準備していくしかありません。つまり、資産運用(投資)し貯金に比べて、月5万円浮かせるためには、ある程度リスクを取る必要があると言うことです。
ただここで私が言いたいことは、急落を予測することは困難でも、ある程度リスクを減らすことは可能です。リスクを減らすための2つの対策をご紹介していきます。
・急落リスク対策①:長期の資産運用で影響度を小さくする
1つ目の方法は、10年20年の長期で資産運用することです。先程のNYダウ平均の推移グラフを見れば分かりますが、2008年や2020年の急落のあとも、1-3年で必ず株価は元の水準に回復し、それ以上に成長していることが分かります。
つまり急落してもその後数年待てば、資産は元の額以上になって帰ってくるということです。
なので長期で資産運用すれば、中には急落する時期もあるかもしれませんが、ほとんど資産が減ることはありません。
中には「自分が運用していた資金を回収するときに、ちょうどタイミングよく急落したらどうするんだ」という方もいるかもしれませんが、時間に余裕があれば、資金回収の時期をずらせばいいだけの話です。時間に余裕を持つためにも、出来るだけ早く資産運用を開始したほうが賢明です。
・急落リスク対策②:一度に投資するのではなく、積み立て投資を行う
2つ目の方法は、毎月少額づつ積立投資を行うことです。一度にまとまった額を入れると、購入日の株価が後に大きな影響を及ぼしますが、毎月コツコツ購入することで、株価が下がったり上がったりするのを平均化し、リスクを最小限に抑えることが可能です。
投資したくても現金(貯金)がない方へ
これに関しては、給料の数ヶ月分(3ヶ月分程度)の手元資金があれば、それ以外は投資に回しても問題ありません。それでも不安を感じる方は、おそらく手元に、数百万という資金があったとしても投資に回すことができないと思います。
なので、半強制的に投資を行うシステムを利用しましょう。例えば給料の一部を自動的に別の口座に移動させるなど、探せば半強制的にお金を振り分けることは可能と思います。
振り分けたお金を毎月5000円でも、10000円でもいいので積み立て投資に回せばいいのです。
一体どれぐらい投資すればいいのか?
月5,000円でも、月10,000円でもいくらでも大丈夫です。とにかくできるだけ早く、できるだけ長い間資金を投資に回しましょう。
理由は、次の記事で説明しますが、「できるだけ早く、できるだけ長く」がポイントになります。
では実際に、何に投資すればいいのか?
この記事では、私たちの老後は、趣味や旅行など楽しみながら老後を過ごす場合、国が言う2000万円ではなく、3000万円必要だと解説しました。
また3000万円準備するには、貯金では実現が難しいため、資産運用(投資)を行う必要があると、簡単なシミュレーションと共に紹介しました。
では、何に投資すれば3000万円準備できるのか、これについては次の記事で解説していきます。