※ 2022年9月10日 記事内容一部更新
この記事では、米国株や米国ETFでの資産運用時に非常に便利なツールである「Portfolio Visualizer」の使い方をご紹介します。
Portfolio Visualizerの中にも様々な機能やツールがありますが、今回はポートフォリオのバックテスト機能(過去データを用いたシミュレーション)について、使い方を説明していきます。
このPortfolio Visualizerは、非常に便利なツールなのですが、問題は全て英語表記である点です。
なので今回、私自身使い方を整理する意味でも、この記事に使い方や日本語訳を記載し、誰でも簡単に使用できればと考えています。
Portfolio Visualizerとは?

Portfolio Visualizerとは、米国株式や米国ETFをどの割合で組み合わせれば最も効率が良いかを過去のデータからシミュレーションできるサイトです。

例えば、アップルとマイクロソフトの株を100万円分、最も効率が良い割合で金額を分けたい場合、以下のようなシミュレーションが可能です。

Portfolio Visualizerでの結果(上のグラフ)から、青色の線が最も下落幅が少なく、最終的なパフォーマンスも維持できていることが分かります。
この場合、アップルを25万円分とマイクロソフトを75万円購入することが効率が良さそうと、Portfolio Visualizerを用いることで分かりました。
Portfolio Visualizer の主な2つの検証ツール

Portfolio Visualizerには数多くのツールがあるのですが、主な2つの検証ツールを紹介します。
2つのツールがある理由は、「1. Backtest Asset Allocation」で株と国債などの資産配分を大まかに決めて、その後に「2. Backtest Portfolio」を使って、具体的な銘柄の検証を行うためだと考えられます。
しかし私のように、100%株式に投資すると決めている人は、「2. Backtest Portfolio」だけの検証で十分です。
「Backtest Asset Allocation」も「Backtest Portfolio」もほとんど同じ使い方なので、本記事では、「2. Backtest Portfolio」の使い方を解説していきます。
Backtest Portfolioの使い方

Backtest Portfolioでの自分の考えているポートフォリオのバックテストには、①条件設定・②銘柄設定の2つの設定が必要です。


順に説明していきます。
条件設定
各条件項目について、以下の表に解説します。
項目 | 選択・日本語訳 | 解説 |
Time Period | Year-to-Year | 選択した年のテストをする |
Month-to-Month | 選択した年月のテストをする ※選択時にFirst/Last Monthが表示される | |
Start Year | テスト開始年 | 1985~ 選択可能 |
End Year | テスト終了年 | 1985~ 選択可能 |
Include YTD | Yes or No | テストに最新月を含めるかどうかを選択する |
Initial Amount | テスト開始時の投資金額 | |
Cashflows | None | 出金、追加投資しない |
Contribute fixed amount | 年末に定額を追加投資する。 選択すると「Contribution Amount(追加投資額)」 と「Inflation Adjusted(※)」が表示 | |
Withdraw fixed amount | 年末に定額を引き出す。 選択するとWithdrawal Amount(引き出し額)」 と「Inflation Adjusted(※)」が表示 | |
Withdraw fixed percentage | 年末に決まった割合を引き出す。 選択すると「Withdrawal Percentage」 と「Inflation Adjusted(※)」が表示 | |
Inflation Adjusted | Yes or No | インフレの影響を含むかどうか(※) |
Rebalancing | No rebalancing | リバランスしない |
Rebalance annually | 年に1度リバランスする | |
Rebalance semi-annually | 半年に1度リバランスする | |
Rebalance quarterly | 3ヶ月に1度リバランスする | |
Rebalance monthly | 毎月1度リバランスする | |
Rebalance bands | 自分で数値を設定する | |
Reinvest Dividends | Yes or No | 配当金と分配金を再投資する |
Display Income | Yes or No | 配当金・分配金の収益を表示 (結果の最下部にグラフが表示) |
Factor Regression | Yes or No | リスク要因を表示するかどうか |
Benchmark | None | ベンチマークを設定しない |
Specify Ticker | 指定したティッカーシンボル(銘柄)と比較 | |
Import Benchmark | インポートしたベンチマークと比較する | |
Vanguard 500 Index Investor | バンガードS&P500インデックスと比較する | |
Vanguard Balanced Index Inv | バンガードバランスインデックスと比較する | |
Portfolio Names | Default(デフォルト) or Custom(自分で設定) | |
ご自身でデータ解析したい条件を決定し、入力して利用してみてください。
銘柄設定(株式 or ETF)
次に、銘柄(個別株式 or ETF)を選択します。最大3つのポートフォリオについて同時にテストすることができます。

例えば、上の写真のように銘柄と割合(ポートフォリオ)を設定したとすると、
銘柄 | 割合 | |
ポートフォリオ1 | バンガード S&P500 ETF (VOO) | 100% |
ポートフォリオ2 | バンガード トータル ストック マーケット ETF (VTI) | 100% |
ポートフォリオ3 | アップル(AAPL)+マイクロソフト(MSFT) | AAPL25%:MSFT75% |
このようにポートフォリオ設定を行なったことになります。この例に従って、ご自身で検討中のポートフォリオを設定してみてください。
結果の確認方法
銘柄と割合を設定した後、「Analyze Portfolio」をクリックすると、テスト結果(解析結果)のサマリーが自動的に表示されます。サマリーの見方を説明していきます。
自分が設定した銘柄と割合を確認
「Analyze Portfolio」を実施すると以下の画面が表示されます。最初は自分が設定した銘柄と割合が表示されます。
今回であれば、VOO・VTI・AAPL+MSFTのポートフォリオの円グラフが表示されています。

各ポートフォリオのリターン結果
今回テストしたポートフォリオの結果になります。

各項目が示している数値は、以下の通りになります。
項目 | 日本語訳 | 解説 |
Portfolio | ポートフォリオ | 自分が設定したもの |
Initial Balance | 開始資産額 | 条件で設定した数値 |
Final Balance | 最終資産額 | 運用後の最終的な金額 |
CAGR | 年平均成長率 | Compound Annual Growth Rateの略で、 設定期間における年平均リターン |
TWRR | 時間加重収益率 | Time Weighted Rate of Returnの略で、 運用元本の流出入の影響を排除して求めた収益率 |
MWRR | 金額加重収益率 | Money Weighted Rate of Returnの略で、 一定の投資期間を通じた投資額の現在価値の累計 と収益額の現在価値の累計が等しくなる収益率 |
Stdev | 標準偏差 | リターンのバラつきを統計的に示した数値で価格 変動リスクを表す(数値が大きいほど価格変動が大きく、 数値が小さいほど、価格変動が小さい) |
Best Year | 一番良かった年 | 年間パフォーマンスが最も良かった時の上昇率 |
Worst Year | 一番悪かった年 | 年間パフォーマンスが最も悪かった時の下落率 |
Max. Drawdown | 最大下落率 | ポートフォリオが最も下落した% |
Sharpe Ratio | シャープ・レシオ | 標準偏差(Stdev)に対するリターンの大きさを示す数値。 要はポートフォリオの総リスクを示す指標で数値が大きな程 安全である指標と言える。 |
Sortino Ratio | ソルティ・レシオ | シャープレシオと異なり、下落側へのリスクに対するリターンの 比率で計算する数値。数値が高いほど下落リスクに対して、 高いリターンが得られると言える。 |
US Mkt Correlation | 米国株市場との相関係数 | 1〜-1の値になる。1に近いほどアメリカの株式市場と似たような値動きになり、逆に-1に近づくにつれてアメリカ市場と逆の値動きをする。 |
項目が多くどれを見れば良いか分からない方は、「最終資産額」「最大下落率」「ソルティレシオ」の3つを中心に確認することをおすすめします。
テストを行った後、最終資産額が大きいものはどれか、最大下落率が低いものはどれか、ソルティレシオが高いものはどれかを確認し、適したポートフォリオを検討していきます。
シャープレシオ/ソリティレシオとは?
シャープレシオ(Sharp ratio)は、株価の変動リスクに対する上昇リターンを示す数値で、分母に変動リスク、分子にリターンを入力し算出されます。
ソリティレシオ(Sortino ratio)は、下落リスクに対する上昇リターンを示す数値で、分母に下落リスク、分子にリターンを入力し算出されます。
ソリティレシオが高いほど、「下落リスクに対するリターンが大きい」or「リターンは低くても下落リスクがとにかく低い」のどちらかと考えることが出来ます。
つまり、シャープレシオは、上昇側への変動の可能性もリスクとして考えて数値を計算しています。
しかし株価が上昇することは私たちにとってはリスクではありません。
なので、利用されているのが「ソリティレシオ」になります。
ポートフォリオのパフォーマンスグラフ

今回テストを行った3つのポートフォリオのパフォーマンスがグラフ化されます。
バンガード S&P500 ETF(VOO)が2011年からの商品なので、グラフやテストが2011年からのものとなっています。今回の結果より、ポートフォリオ3が最も高いパフォーマンスを示していることが分かります。
さらに、VOOとVTIは長期で見るとほとんど差がないことも分かります。
年代別パフォーマンス(棒グラフ)

各年でのパフォーマンスが可視化されています。3つのポートフォリオのパフォーマンスがほとんど変わらない年もあれば、ポートフォリオ3のみ高い成長を示している年もあることが分かります。
Trailling Returns

Trailling Returnsでは、現在から特定の機関遡った時の平均リターンを調べることができます。ここでもポートフォリオ3が最も高いパフォーマンスとなっていることが分かります。
分配金・配当金の結果

最後に分配金・配当金の年代別の金額が表示されます。2011年頃は各ポートフォリオで差がありませんが、ポートフォリオ3(AAPL+MSFT)はそもそもの株価が大きく成長しており、それに対するパーセンテイジになるので額が徐々に大きくなっていることが分かります。
Portfolio Visualizerの注意点
- 無料版の場合、銘柄設定数が25銘柄までとなっている
- テストの期間は、自動的に最新銘柄の発売日以降となる
- あくまで過去のデータでの検証であること(将来の成長率を予測するものでは無い)
2については、類似銘柄等で代用すれば、調べたい期間でテストを行うことができますので、大きな問題ではありません。
しかし1については、25銘柄以上検討したい方はどうにもならないので有料版に移るしかありません。
【まとめ】Portfolio Visualizerを使ってみた
この記事では、Portfolio Visualizerの使い方を解説してきました。
米国株や米国ETFでご自身のポートフォリオを検討されている方は、活用してみてはいかがでしょうか。
今回のテストの結果を受けて、米国株式は生活資金や老後資金の長期での資産運用を行う上で、やはり非常に優秀だと思います。
特に人気の米国ETFを購入する際は、購入手数料が無料のマネックス証券がオススメです。
Portfolio Visualizerを使えばわかることですが、余計な手数料を払わないことも資産運用の上では重要です。
その点、マネックス証券であれば余計な手数料を省いた効率的な資産運用を可能とします。