この記事では、米国株に関して、最適な資産配分の作り方、自分だけのポートフォリオの作り方を解説してします。
「個別株にも投資したいけどリスクも抑えたい」「適切なポートフォリオを組んで着実に資産を増やしていきたい」という方に、以下の内容を紹介していきます。
- 米国株における適切なポートフォリオの組み合わせ方
- ポートフォリオの検証方法(検証ツール:Portfolio Visualizerの使い方)
- 米国株ポートフォリオの管理アプリ3選
この記事を書いているふぃたろうは、2016年から米国株へ投資を行っている会社員兼ブロガーです。私自身、これまで様々な銘柄をトライし、比較的安定したポートフォリオを検討してきたので、そのお話をいたします。戦略としては、コア・サテライト戦略になります。
米国株のポートフォリオのリスク管理

米国株投資において、自分のポートフォリオのリスク管理を行うことは非常に重要です。
銘柄数をある程度増やす「分散投資」は、リスクを低減しリターンも期待出来るため、米国株投資の成功率を高めることができます。
リスクを抑えるための適切な銘柄数についても解説していきますが、ポートフォリオの作り方の結論としては、コア・サテライト戦法を利用する以下の内容となります。
- コア:50%(米国市場全体に投資するETF or 投資信託)
- サテライト:50%(個別銘柄5銘柄前後)
上記の戦法がオススメな理由を解説していきます。
銘柄数とリスクの関係性
仮に、現在1銘柄だけを保有している方は、その銘柄の決算が悪く株価が暴落した場合、その影響を100%受けることになります。
しかしその人が、数銘柄を自分のポートフォリオに追加するとリスクは格段に下がります。
但し注意が必要なのは、どんどん銘柄数を増やすことによるリスク低減効果はだんだん薄れてきます。保有銘柄数が20銘柄を超えると、そのポートフォリオの価格変動率は米国の代表的な株価指数であるS&P500指数とほぼ同じになると言われています。
つまり20銘柄以上を保有することは、敢えて個別銘柄を保有する意味が小さく、S&P500指数などへのインデックス投資とあまり変わりません。
銘柄数が少なすぎてもリスクが大きく、多すぎてもリスク低減には繋がらないのです。
リスクを抑えた適切な個別銘柄数は?
米国株は、決算の内容が重要となります。個別銘柄を保有する場合、四半期に一度の決算をしっかり確認する必要があります。
また個別銘柄の売買には、どのネット証券会社でも手数料(0.495% or 最大22ドル)が必要となります。
それらを踏まえると、銘柄数を20銘柄の決算を確認し売買することは、時間・費用面で負担となりかねません。
これらから一般的には、実際に私たちが保有できる銘柄数は、せいぜい10~15銘柄くらいと言われています。
投資資金が限られている場合
特に、20代30代の投資家の場合、まだ運用資産に余裕が無いので、10銘柄を購入することが難しい場合もあります。
そこで、おすすめなのが「個別株」と「投資信託 or ETF(上場投資信託)」を組み合わせる方法です。
つまりは、まず資金の半分を投資信託かETFを利用し米国株全体に投資をする(S&P500指数か全米株式指数へ投資)ことで、リスクを分散する。残りの資金を好きな5銘柄程度に投資し高いリターンを期待する方法です。
このような手法を「コア・サテライト戦略」と呼びます。
- コア:50%(米国市場全体に投資するETF or 投資信託)
- サテライト:50%(個別銘柄5銘柄前後)
実際に私も10銘柄を購入できるほど資金はありませんでした。その際は、コア・サテライト戦略を用いて、S&P500指数へ連動するETF(VOO)と個別銘柄を3~5銘柄保有していました。
米国株のポートフォリオの作り方

コアとなる銘柄を選択する
コア・サテライト戦略でポートフォリオを作る場合、まず「コア」を決めましょう。
コアとなる銘柄は、主にリスク低減とある程度のリターンを得ることが目的ですので、S&P500か全米株式に連動する商品(インデックス投資)を選択することがおすすめです。
ポートフォリオへの組み入れ方は、投資信託かETF(上場投資信託)のどちらかとなります。ご自身の好みに合わせて選択してください。
銘柄名 | 投資対象 | 構成 銘柄数 | 最低購入金額 (21.09.24時点) | |
投資信託1 | SBI・V・S&P500 インデックス・ファンド | S&P500 | 500 | 100円〜 |
投資信託2 | eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) | S&P500 | 500 | 100円〜 |
投資信託3 | SBI・V・全米株式 インデックス・ファンド | 全米株式 | 3800 | 100円〜 |
米国ETF1 | バンガード S&P500 ETF (VOO) | S&P500 | 500 | 約45,000円〜 |
米国ETF2 | バンガード トータル ストック マーケット ETF(VTI) | 全米株式 | 3800 | 約25,000円〜 |
- メリット:100円から購入可能、為替交換等の面倒な手続きが不要
- デメリット:ETFに比べると運用コストが少し高い、購入価格が不明
- メリット:運用コストがとにかく安い、指値で購入可能
- デメリット:最低購入金額が投資信託より高い、為替交換などの手間がかかる
サテライトとなる個別銘柄を選択する
続いて個別銘柄ですが、既に資金の半分をインデックス投資しているので、ある程度自由に銘柄選択しても問題ありません。まずは投資スタイルを考えましょう。
1. 投資スタイルを決める
投資スタイルは、大きく「攻めのグロース株投資」か「守りのバリュー株投資」の2種類があげられます。
- グロース株投資:上昇相場に強く、利益重視の攻めの投資
- バリュー株投資:下落相場に強い、安定重視の守りの投資
どちらが良い悪いなど正解があるわけではありません。年齢や資産の状況、今後の資産計画など人それぞれなので、ご自身の状況に合わせて検討してみてください。
2. 銘柄数・配分を決める
サテライトの個別銘柄数は、5銘柄前後(3~7銘柄)が良いと言われています。
無理して銘柄数を増やしても管理しにくくなるので、ご自身で管理できる範囲内で、納得のいく銘柄を購入すれば問題ありません。
3. 採用する銘柄を決める
銘柄は好きなものを購入すれば問題ありませんが、良い決算を出し続けている銘柄を選択しましょう。いい決算の条件はこちらの記事をご確認ください。
他には、以下のセクターなども考えて、購入すると良いかと思います。

米国市場だけでなく、株式市場は図のように、景気が循環していきます。
- 好景気:素材銘柄
- 景気後退:エネルギー銘柄
- 不景気:ヘルスケア銘柄
- 景気回復:ハイテク銘柄
銘柄を選ぶことは、米国株投資で最も楽しい部分でもあるので、ご自身でしっかり考えて選択される方がいいかと思います。
銘柄が多く選べない方は、NYダウに採用されている30銘柄の中から選択すると、経営状態の安定している企業が多いのでおすすめです。
米国株のポートフォリオ例(攻め・守り)

実際に、コア・サテライト戦略で組み合わせたポートフォリオの一例を紹介します。
攻めのポートフォリオの一例
攻めのポートフォリオの例は、次の通りです。
- バンガード S&P500 ETF(VOO):コア
- アップル(AAPL):情報技術
- ディズニー(DIS):コミュニケーション
- ビザ(V):金融
- ジョンソン&ジョンソン(JNJ):ヘルスケア
- マクドナルド(MCD):一般消費財
コアをS&P500で固めた上で、アップル・ビザ・ジョンソン&ジョンソンなどの米国を代表する銘柄でリターンの底上げを狙ったポートフォリオです。
守りのポートフォリオ例
攻めのポートフォリオの例は、次の通りです。
- バンガード S&P500 ETF(VOO):コア
- マイクロソフト(MSFT):情報技術
- アルトリア(MO):生活必需品
- ジョンソン&ジョンソン(JNJ):ヘルスケア
- ベライゾン(VZ):通信
- プロクター・アンド・ギャンブル(PG):生活必需品
コアをS&P500で固めた上で、マイクロソフトやベライゾンなど下落相場に強い個別銘柄を取り入れ、下落率の小さい安定的なポートフォリオとなっています。
ポートフォリオを検証するツール(Portfolio Visualizer)

Portfolio Visualizerは、実際に選択した銘柄が過去にどのようなパフォーマンスだったのかを検証することができます。
コア・サテライト戦略で、選択した自分のポートフォリオが、過去どのような動きをしていたのか確認しておきましょう。
但し、Portfolio Visualizerは全て英語表記となっているので、使い方を知りたい方はこちらの記事にて解説していますのでご覧ください。
ここでの詳細な使用方法の解説は省略しますが、実際に先ほど検討した「攻めのポートフォリオ」「守りのポートフォリオ」を検証してみましょう。
コア・サテライト戦略の検証条件(シミュレーション条件)
検証は、実際に100万円($10,000)を投資した場合に、どうなったのかを過去のデータを用いて確認します。あくまで過去のデータを用いるため、将来の動きを保証するものではありません。
- 期間:2011年1月〜2021年8月(約10年間)
- 初期費用$10,000(約100万円)を一括投資し、その後放置する
- 分配金は再投資するものとする
- バンガード S&P500 ETF(VOO)を100% :比較用
- コア・サテライト戦略(攻めのポートフォリオ)
バンガード S&P500 ETF(VOO)、アップル(AAPL)、ディズニー(DIS)、ビザ(V)、ジョンソン&ジョンソン(JNJ)、マクドナルド(MCD) - コア・サテライト戦略(守りのポートフォリオ)
マイクロソフト(MSFT)、アルトリア(MO)、ジョンソン&ジョンソン(JNJ)、ベライゾン(VZ)、プロクター・アンド・ギャンブル(PG)
これら3つのポートフォリオのパフォーマンスを検証します。
サテライトの個別銘柄は、以下のように全て10%ずつ保有するとします。

コア・サテライト戦略の検証結果(シミュレーション結果)

結果を見ると、比較用に検証した「100% S&P500インデックス投資(VOO)」よりも、コア・サテライト戦略の2つの方が高いリターンを得ることができています(Final Balanceの項目)。
コア・サテライト戦略の2つを比較すると、攻めの方が最終リターンは高くなっていますが、守りの方が下落相場での最大下落率が小さくなっています(Max Drawdownの項目)。
このように自分で選択した銘柄やポートフォリオを過去のデータで検証することである程度、今後の予想を立てることも可能です。
米国株ポートフォリオ管理アプリ
コア・サテライト戦略で分散し投資した資金や自分のポートフォリオは、管理しやすいように資産管理アプリを使って可視化しておくと便利です。
アプリ内で保有銘柄の価格や損益状況などを全ての数字を管理してくれるので、エクセルシートでの管理よりも圧倒的に便利なものとなっています。
カビュウ
カビュウは、資産の割合、購入金額、現在の損益など一度に全てを確認することができます。

その中でもカビュウは、唯一米国株にも対応した分析アプリなので、ぜひ試してみてください。
マネーフォワード
マネーフォワードは、個人の資産管理に特化した家計簿アプリです。元々は家計簿アプリとして有名ですが、証券口座と連携することで、米国株のポートフォリオも管理することができます。
Investing.com
Investing.comは、ポートフォリオ管理だけではなく、米国株に関する多くの情報をリアルタイムに入手できる優秀なアプリでオススメです。
PCサイトでは、決算情報も確認できるため覚えておいて損はないでしょう。
まとめ
この記事では、米国株のポートフォリオの作り方・具体例、またポートフォリオの管理アプリを解説しました。
- 個別銘柄だけに投資する場合でも最大20銘柄程度でポートフォリオを作成する
- 資金少なくても、コア・サテライト戦略を用いれば、リスク分散とリターンを両立できる
- コア・サテライト戦略の「コア」は、50%をS&P500 or 全米株式へ投資する
- コア・サテライト戦略の「サテライト」は、50%を個別銘柄5つ前後に投資する
- ポートフォリオ管理は、「カビュウ」「マネーフォワード」がおすすめ
ポートフォリオ内の銘柄を細かく入れ替えて試行錯誤していると、売買手数料がかかってしますため、まずは自分の投資スタイル・投資目標を明確にすることが重要です。
またS&P500指数や全米株式、また個別株の情報源を確保しておくことも重要となります。以下のサイトや記事を参考にしてみてください。
米国株情報サイト:モトリーフール
S&P500指数に連動する商品や、アップル・マイクロソフトを代表とする米国株個別銘柄の情報を得たい場合は、「モトリーフール」もおすすめです。
モトリーフールは、S&P500や米国株式の今後の展開や、個別銘柄の状況などの米国株の様々な1次情報を提供してくれます。


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