近年、将来の年金不安や新型コロナウイルスによる株価の乱高下などを背景に、新たに投資を始める現役世代の方が増えています。最近は、ネット証券のサービスが充実してきており、スマートフォンで気軽に投資信託に投資ができる環境が整備されてきています。
そのうちの一つが、2019年に新規参入したLINE証券です。今回はLINE証券の特徴を紹介し、FP1級保有の金融営業マンの視点から、おすすめの投資信託をご紹介したいと思います。
LINE証券とは

LINE証券とは、おなじみのLINEから簡単に投資ができる2019年8月20日に誕生したネット証券です。野村ホールディングス(野村證券)とLINE Financialの合弁会社のため、両者の強みを生かしたサービスが売りです。スタートから1年半で口座数は、50万口座を突破し、働く世代を中心に支持を得ているネット証券です。
LINE証券では2019年11月27日より投資信託の取り扱いが始まりました。取り扱う投資信託は30本(2021年8月時点)となっており、2,000本以上の商品を取り揃えている大手ネット証券のSBI証券や楽天証券と比較すると、本数がかなり厳選されています。
LINE証券は投資信託の本数が少ないですが、低コストで人気のeMAXISシリーズや、ネット証券の販売ランキング上位に選ばれているようなアクティブファンド、バランス型やブルベア型まで一通り揃っています。
LINE証券は、初心者でも簡単に投資を始めることができるよう、あえて投資信託の取り扱い本数を絞って、商品選びのハードルを低くしているわけです。
また、スマホユーザーを念頭にサービスを提供しており、スマホで取引をするときの操作性が優れているため、慣れていない初心者の方でも簡単に取引を行うことができます。
LINE証券の特徴
LINE証券は、初心者が投資を始めるのにちょうど良いサービスが揃っています。
LINE証券の魅力

LINE証券の最大の魅力が、初心者に優しい投資環境が整えられている点です。投資にまつわる情報はわかりやすい言葉で説明されており、初心者でも安心して取引を行うことができます。また、操作画面もシンプルで、つみたて金額のシミュレーションやファンド情報などは、初心者にも分かりやすい内容になっています。

毎月のつみたて金額や期間を入力すると、簡単に運用のシミュレーションを取ることができます。

商品情報ページには、リターンやコストが分かりやすく記載されています。各項目の横に【●位】といった表示があり、例えばこのファンドの場合だと、LINE証券で取り扱いのある投資信託の中で、純資産額は5位、運用手数料の低さは3位ということがわかります。
商品選びも簡単で、6つのカテゴリ(①リターン重視世界に投資、②リターン重視日本に投資、③低コスト、④つみたて投資におすすめ、⑤ブルベア型、⑥安定的に運用)やシンプルな各種ランキング(購入件数:週間、低コスト、リターン:3年・1年・6カ月、つみたて設定者数:週間)により、自分にあった投資信託を簡単に探すことができます。

自分の考えにあったカテゴリーを選択すると、該当するファンドが「パフォーマンス順」に表示されます。「コストが低い順」や「つみたて設定者数順」などに並び替えることも可能なため、簡単に投資するファンドを探すことができます。
LINE証券の注意点

LINE証券の全取扱商品
LINE証券取扱商品のラインナップを4つのカテゴリに分けておさらいしておきます。
リターン重視 世界に投資
- アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Bコース
- netWIN ゴールドマン・サックス・インターネット戦略ファンド Bコース(為替ヘッジなし)
- フィデリティ・USリート・ファンド (資産成長型)Dコース
- フューチャートレンド世界株
- 楽天・米国レバレッジバランス・ファンド
- スパークス・新・国際優良アジア株ファンド
- フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド (資産成長型)
- エマージング・ソブリン・オープン(年1回決算型)
- iFreeレバレッジNASDAQ100
リターン重視 日本に投資
- One国内株オープン
- コモンズ30ファンド
- バリューハント日本株
- 三井住友・配当フォーカスオープン
- ひふみプラス
- スパークス・新・国際優良日本株ファンド
- 東京海上・ジャパン・オーナーズ株式オープン
- 楽天日本株4.3倍ブル
- 楽天日本株トリプル・ブル
- 楽天日本株トリプル・ベアⅣ
低コスト
- eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)
- eMAXIS Slim 新興国株式インデックス
- eMAXIS Slim 先進国株式インデックス
- eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
- eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)
- eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
- eMAXISプラス コモディティインデックス
- iFreeNEXT FANG+インデックス
安定的
- エス・ビー・日本債券ファンド
- ブラックロックおまかせバランス投信
- 三菱UFJ グローバル・ボンド・オープン(年1回決算型)
2021年8月末時点において、LINE証券の取扱い投資信託の中で、モーニングスター社が評価対象としているファンドうち、9銘柄がパフォーマンスの最高ランク5つ星を獲得しています(太字で表示)。また、LINE証券の取扱い投資信託30銘柄のうち、「eMAXIS」シリーズなど15銘柄がモーニングスター社の信託報酬率のランク分けで最もコストが低いランクとなっています。
LINE証券には、LINE証券専用ファンドが3銘柄あり、購入手数料が0円は元より、運用手数料(信託報酬)の水準にも拘ったファンドとなっています。

※モーニングスター株式会社とは、中立的な立場で株式、投資信託、ETFを評価している機関です。
LINE証券で注目の投資信託
LINE証券で取扱のある投資信託は、厳選された30本であり、初心者におすすめの銘柄ばかりです。そんな中でも、2019年11月27日から2021年1月6日までの保有者数・累計買付金額・累計買付件数などを加味したLINE証券内の人気ランキング上位3銘柄は、下記の通りとなっています。
1位:東京海上・ジャパン・オーナーズ株式オープン
2位:netWIN ゴールドマン・サックス・インターネット戦略ファンド Bコース(為替ヘッジなし)
3位:アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Bコース(為替ヘッジなし)
参照:LINE証券公式note
ここで、5つ星を獲得している商品を2021年7月末時点のパフォーマンスで比較してみました。
商品名 | リターン(3年) | 標準偏差 | 信託報酬 | コスト※ | 純資産額 |
---|---|---|---|---|---|
東京海上・ジャパン・オーナーズ株式オープン | 12.39 | 19.21 | 1.58 | 平均より安い | 67,155 |
iFreeNEXT FANG+インデックス | 36.40 | 27.49 | 0.78 | 平均より高い | 18,744 |
スパークス・新・国際優良日本株ファンド | 10.35 | 18.45 | 1.80 | 高い | 129,273 |
スパークス・新・国際優良アジア株ファンド | 11.95 | 21.58 | 1.93 | 平均的 | 742 |
コモンズ30 | 7.76 | 18.32 | 1.08 | 安い | 28,951 |
One 国内株オープン 『愛称 : 自由演技』 | 7.92 | 19.83 | 1.76 | 高い | 13,833 |
フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド (資産成長型) | 5.62 | 11.73 | 1.65 | 平均より安い | 42,760 |
エマージング・ソブリン・オープン(年1回決算型) | 4.18 | 11.41 | 1.73 | 平均より高い | 13,151 |
エス・ビー・日本債券ファンド | 1.22 | 2.18 | 0.41 | 平均的 | 8,250 |
標準偏差:一般的には統計学における散布度(バラツキ)を計測する手法のことを指します。リターンとのブレを示す標準偏差で、その数値が大きいほどリスクが大きく、小さければリスクも小さいことになります。
信託報酬:投資信託を管理・運用してもらうための経費として、投資信託を保有している間はずっと投資家が支払い続ける費用のことです。
初心者向けの投資信託とは
コストを抑えたい方におすすめ

運用期間中にかかる信託報酬を抑えたい、シンプルでわかりやすい商品性が良いという方であれば、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」や「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」、「eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)」などのインデックファンドがおすすめです。
世界経済の成長の恩恵に期待するのであれば「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」、世界経済を牽引するアメリカの有名企業に期待するのであれば「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」、リスクを抑えるため幅広く投資がしたいのであれば「eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)」がおすすめです。
値上がりを重視したい方におすすめ

投資をする方のリスク許容度にもよりますが、収益を期待するのであれば、投資対象が株式のファンドがおすすめです。
成長の可能性が高いと判断される米国企業の株式に投資を行う「アライアンス⋅バーンスタイン・米国成長株投信Bコース(H無)」、主に日本の成長企業に投資を行う「ひふみプラス」、次世代テクノロジーをベースに、グローバルな現代社会において人々の生活に大きな影響力を持ち、高い知名度を有する米国上場企業に投資を行う「iFreeNEXT FANG+インデックス」などがおすすめです。
これらのファンドは、テーマや銘柄数を厳選して投資をしている分、良くも悪くも値動きが大きくなる傾向にあるので、リスクを踏まえた上で投資を行う必要があります。
まとめ
LINE証券の投資信託は30本と、他のネット証券に比べてかなり厳選されています。投資初心者に特化したサービスというだけあって商品は選びやすく、また初心者でも運用しやすい商品が揃っています。
この記事を参考としつつ、ご自身の投資目的に応じて、証券会社や投資信託選びを進めてください。
最後までご覧いただきありがとうございました。
