この記事では、米国株の決算発表について解説します。
「米国の個別株の決算発表では何を確認するべきか」「どうやって確認できるのか」を紹介していきます。
- 米国株はなぜ決算が重要なのか?
- 決算前に確認するべき項目と方法
- 決算後に確認うるべき項目と方法
- 決算を軸とした投資方法の紹介と注意点
この記事を書いているふぃたろうは、2016年から米国株へ投資を行っている会社員兼ブロガーです。私は、S&P500へのインデックス投資を軸に、米国の個別株へも数銘柄投資を行なっています。基本長期投資ですが、決算発表は毎回しっかり確認していますので、その方法を解説します。
米国企業の決算発表とは?

米国企業/米国銘柄の決算とは、企業の財務状況や売上高と、今後の予定などをまとめた報告であり、株価の動きに直結するような非常に重要なものとなっています。
米国の個別銘柄に投資を行う上では、必ず確認しておくようにしましょう。
米国株の決算のタイミング
米国の企業の多くは、カレンダーイヤーと会計年度が同じになっています。
具体的には、決算発表は、通常1年間に4度(3ヶ月に1度)の頻度で実施され、内容な以下の表の通りとなります。
月 | 四半期 | 決算時期 |
1-3月度 | 第一四半期 | 4月3週目~ |
4-6月度 | 第二四半期 | 7月3週目~ |
7-9月度 | 第三四半期 | 10月3週目~ |
10-12月度 | 第四四半期 | 1月3週目~ |
多くの企業は、毎年1月・4月・7月・10月の3週目以降に決算発表を行います。決算発表日の調べ方については、後ほど紹介いたします。
決算発表の内容は?
米国企業/米国銘柄の決算とは、企業の財務状況まとめた発表です。具体的には、以下の項目などについて発表が行われます。
- 損益計算書(売上高・利益率)
- キャッシュフロー計算書
- 今後の見通し(次期四半期の予想売上・利益率など)
しかしこれらの内容を理解するのは、素人には難しいです。なので、「売上高」「利益」「今後の見通し」の3つだけを押さえておくことを目指しましょう。
この「売上高」「利益」「今後の見通し」の3つを押さえておくと、決算を基準とした投資を行うことも可能となります。
決算を基準とした投資方法とは?

決算を基準とした投資方法について
決算は、株価に直結する重要なイベントです。決算の内容によっては、大きく株価が上昇したり、下落したりすることがあります。その決算の内容に従って、売買を行う投資方法について説明します。
決算を基準とする投資方法の「ルール」は、とてもシンプルな2つだけです。
- 良い決算であれば、その銘柄を保有
- 悪い決算であれば、その銘柄を売却
四半期に1度発表される決算内容を確認、良ければ買う(既に持っていればそのままキープする)、悪ければ売る(新たに買わない)だけです。
良い決算・悪い決算の定義
「良い決算」の定義は、3つの項目を全て満たした決算内容であることです。
- EPSでコンセンサス予想を上回ること
- 売上高でコンセンサス予想を上回ること
- 会社側ガイダンスがコンセンサス予想を上回ること
売上高
売上高とは、企業がサービスや商品を提供することで稼いだ、売上金額の総額を指します。売上高が高いと企業の儲けが大きく、逆に低いと企業の儲けが小さいことを表しています。
EPS(Earnings Per Share)
EPSは、Earnings Per Shareの略で、1株当たり純利益を示します。企業が発行する株式1株当たりどれくらいの純利益を生み出しているかを見るもので、企業の収益力を判断する際に使われます。
EPSは、「当期純利益 ÷ 発行済株式総数」で算出され、米国株の場合の単位はドル$です。値が大きければ大きいほど企業の収益は高いことを示します。
基本的には、利益が増加し続ける企業はEPSも増加し続けます。EPSの推移を見ることで、会社の収益が好調であったかがわかり、今後の企業の成長見込みを判断する一つの材料になります。
会社側ガイダンス
ガイダンスとは、簡単にいうと「今後の見通し」です。次の四半期決算の売上高・EPS予想を報告します。
なぜ決算を基準として投資するべきなのか?
①:決算内容がいい企業・銘柄の株価は上昇すること多いため
中には決算が良かったのに決算直後に株価が下がる、決算が悪かったのに株価が上がるといった企業・銘柄もあるとは思いますが、確率的に決算が良いと買う・決算が悪いと売った方が、長期的に見ると勝率が高いためです。
②:過去にITバブル(2000年前後)などの大きな下落場面でも、決算を軸に売買していれば回避できる可能性があったから
ITバブルの前の企業決算では、ガイダンス(今後も見通し)が良くない企業が多かったとの情報もあります。
以上より、「決算を基準とする投資方法」は以下のルールに従うことで、確率的に上昇銘柄を持ち続けることができ、下落相場では企業の将来見通しがよくなくなるため、自然と銘柄を減らすこととなり、大きな損を受けることが無くなります。
これが「決算を基準とする投資方法」です。
決算前に確認する項目

続いて、良い決算か悪い決算かを具体的に確認する方法を紹介していきます。
決算日の確認を行う
まずは持っている銘柄の決算発表日を確認しましょう。次回の決算発表日が確認できるおすすめサイトは、2つあります。
1. Yahoo Finance(US版)
Yahoo Financeで決算日を確認できます。yahoo Japanではありませんので注意してください。
まずは、Yahoo Financeを開き、上部の入力窓に調べたい銘柄のティッカーシンボルを入力してください。ここではアップル(AAPL)を例に説明します。


ティッカーを入力し、ページを移動したら、「Earnings Date」という項目があります。Earnings Dateに記載されている日付が決算予定日になります。
2. Investing.com
2つ目にInvesting.comでも確認できます。同様に、まずはInvesting.comにアクセスし、ティッカーシンボルを入力。表示された各銘柄のページで決算日を確認することができます。


表示された各銘柄のページを少し下にスクロールすると、「Next Earnings Date」という項目に次回の決算発表日が記載されています。
コンセンサス予想(市場関係者の決算予想)を確認
決算の内容によって株価が変化するのは、絶対値ではなく、あくまで市場関係者の予想に対していいか悪いかに依るところが大きいです。
コンセンサス予想(市場関係者の予想)はしっかし確認しておきましょう。
Yahoo Financeで確認する
まずは、Yahoo Financeを開き、上部の入力窓に調べたい銘柄のティッカーシンボルを入力してください。ここではアルファベット(GOOGL:グーグル)を例に説明します。



各銘柄のページで「Analysisタブ」をクリックします。中段あたりに「Earnings Estimate」「Revenue Estimate」という項目があり、市場関係者の予想が記載されています。
上のGOOGLのページを見ると、以下の内容が表示されていることになります。
GOOGL (’21 第三四半期予想) | 今回の四半期決算予想 (Current Qtr.) | 次の四半期決算予想 (Next Qtr.) |
EPS予想 (Earnings Estimate) | ①:$23.40 | ③:$25.27 |
売上高予想 (Revenue Estimate) | ②:$63.26 B | ④:$70.91B |
①②は今回の売上高・EPSの市場予想平均、③④はガイダンスの予想数値になります。
これら4つの数値を決算前に、しっかり確認しておきましょう。
決算発表で確認する項目
決算発表で確認するべきことは、「良い決算だったか、悪い決算だったかのどちらなのか」です。つまり下の3つの情報を探す必要があります。
- EPSでコンセンサス予想を上回ること (①)
- 売上高でコンセンサス予想を上回ること (②)
- 会社側ガイダンスがコンセンサス予想を上回ること (③④)
事前に、売上高・EPS・ガイダンスを確認したら、決算当日に、各数字や結果を確認しましょう。
売上高・EPSの実績を確認する
EPSと売上高について、確認する方法を2つ紹介いたします。各数値が市場予想を超えているかを決算当日に確認しましょう。
決算確認方法① – EDGAR
EDGARというサイトでは米国企業の決算発表の内容や資料を確認することができます。

銘柄検索した後、「8-K」というタブをクリックし、中の資料を確認してください。

資料をクリックすると、各銘柄の詳細情報が表示されます(下の画像)。この下部に「Press release of Alphabet Inc dated July 27, 2021」などと青字の資料がありますので、クリックしてください

すると、決算内容が表示されます。

以上より、EDGARにて決算内容を確認することができます。
決算確認方法② -Google検索
Google検索だと、簡単に調べることができますが、確実は情報かどうかは自分で判断が必要となります。
まずGoogleを開いて、検索タブに「”自分の調べたい銘柄のティッカー” + earnings」と検索します。検索後、ニュースタブをクリックすると、決算速報のニュースが表示されますので、簡単に調べることができます。

表示された記事の中でもCNBCの記事はとてもわかりやすいです。以下のように、EPSと売上高について実績と予想を比較してくれています。

カンファレンスコール(決算報告電話会議)で「ガイダンス」を確認
カンファレンスコールとは、決算報告電話会議とも言い、企業と投資家・メディアが直接やり取りする貴重な場です。
リアルタイムで企業の生の声を聞くことができるため、その企業の今後の見通しが最も分かるイベントです。
このカンファレンスコールの内容は、企業のホームページか、米モトリーフールで全内容を確認することができます。
米モトリーフール ホームページでカンファレンスコール内容を確認する
まずは米モトリーフール社のホームページに移動します。日本語版ではなく、米国版ホームページに移動してください。
上部に表示されているタブに、調べたい銘柄のティッカーを入力してください。

各銘柄のページが表示されたら、スクロールし中段あたりに「News & Analysis」という項目にある「Earnings」をクリック。すると、過去のカンファレンスコール内容の一覧が表示されます。

確認したい内容をクリックすると、内容が表示されます。

英語の決算内容・ガイダンスを翻訳するサイト → DeepL
米国株で情報を得る場合、英語であることが多くなります。その際に便利なサイトが「DeepL」というサイトです。
DeepLは、ドイツのスタートアップ企業で「世界一高精度な翻訳サイト」として知られています。
これまで解説してきた方法で得た英語の情報は、全てDeepLで翻訳することが可能です。
アップルのカンファレンスコールの内容の一部を翻訳していましたが、翻訳語の日本語も自然な文章となっており、非常に便利なので、活用してみてください

日本版モトリーフールでも決算内容を確認することが可能
モトリーフールは日本語サイトも立ち上げており、こちらは英語の内容が全て日本語となっています。
日本語でよくまとめられた米国株の情報を得ることが可能なのでおすすめです。
例えば、アップルの決算内容についても、日本語でわかりやすくまとめられています。


メールアドレスの登録が必要ですが、無料で米国発信の「1次情報」が得られるため、是非活用してみてはいかがでしょうか。
決算基準の投資方法の注意点

良い決算でも下がる場合がある
米国株の決算が発表された後は、決算内容によって株価が大きく変動します。ほとんどの場合は、以下の基本的なセオリーに従って株価は変動します。
- 決算内容が、市場の予想を上回る
→ 株価が上昇する - 決算内容が、市場の予想を下回る
→ 株価が下落する
実際の売上高の数字の絶対値よりも、その値が市場予想に比べてどうだったのかという相対評価の影響を大きく受けます。
しかし稀に、決算の内容が市場予想より良いにも関わらず株価が下がったり、悪かったのに上がったりする銘柄もあります。その点は注意が必要ですが、全銘柄を見た時に多くの確率で、上の基本的な動きに沿った株価変動となるため、しっかり決算内容は確認することをお勧めします。
また良い決算なのに株価が下がった場合も、「決算を基準とする投資方法」に従う場合は、気にせず保有し続ければ問題ありません。
決算などの情報を整理する必要があるため、銘柄数は10~15銘柄程度にする
米国株の個別銘柄への投資が楽しくなると、複数銘柄への投資を行なってしまいます。しかしあまりに多くの銘柄を保有すると、決算を追うことが難しくなるため、多くても10-15銘柄ぐらいに絞って投資することをおすすめします。
10-15銘柄について、しっかり決算を確認し精査する方が好ましいです。
自分の銘柄はきちんと管理する
決算内容を確認した上で、各社投資している資金や自分のポートフォリオは、管理しやすいように資産管理アプリを使って可視化しておくと便利です。資産の割合、購入金額、現在の損益など一度に全てを確認することができます。

その中でもカビュウは米国株にも対応した分析アプリなので、ぜひ試してみてください。
まとめ
今回は、米国企業/株の決算について、決算内容の確認方法と、決算を基準とした投資方法を紹介しました。この記事のまとめは以下になります。
- 米国株の決算発表とは、3ヶ月に一度行われる
- 決算で確認すべき項目は、売上高・EPS・売上高ガイダンス・EPSガイダンスの4つ
- 良い決算とは、4つの数字全てが市場予想を上回る内容であること
- 悪い決算とは、4つの数字の1つでも市場予想を下回った内容のこと
- 決算を基準とする投資方法では、良い決算は買う・悪い決算は売る
- 決算日は、Yahoo Finance or Investing.com で確認
- 市場予想は、Yahoo Financeで確認
- 決算当日、発表内容は、EDGAR or Google検索(CNBC)で確認
- 企業ガイダンス(カンファレンスコール)は、企業HP or 米モトリーフールで内容を確認
- 英語記事の翻訳は、「DeepL」が便利
また米国株の決算をもっと基本から学びたい方は、米国株四季報がオススメです。
企業の売上高・利益率などの業績やその他の財務状況がまとめられていて、初心者の方にもおすすめの一冊です。
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米国株の魅力については、以下の記事をご確認ください。