
外貨建て保険って正直どうなの?
この記事では、現役銀行員が外貨建て保険について詳しく解説しています。
ネット上では、外貨建て保険はおすすめしないという書き込みが目立ちます。
実際、外貨建て保険はやってはいけない商品なのか?
銀行の窓口で長年、外貨建て保険を販売している筆者が外貨建て保険について徹底解説します。
外貨建て保険を検討している方はぜひ最後まで読んでいただき、参考にしていただけたらと思います。
- 外貨建て保険について詳しく知りたい方
- 外貨建て保険の申し込みを検討している方
- 生命保険料控除を使用したい方

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外貨建て保険とは

そもそも外貨建て保険とはどのような商品なのでしょうか。
外貨建て保険の特徴や種類について簡単に紹介します。
外貨建て保険の特徴

外貨建て保険とは、米ドルや豪ドルなどの外貨で運用する保険商品のことをいいます。
保険料、保険金額、解約返戻金などは選択した通貨の為替や金利の影響を受けます。

解約返戻金の12,000米ドルを受取る場合
1ドル=80円 → 受取り金額96万円(12,000×80)
1ドル=100円 → 受取り金額120万円(12,000×100)
1ドル=120円 → 受取り金額144万円(12,000×120)
解約時の為替によって大きく円換算額が異なる
外貨建て保険は、保険料や保険金額、解約返戻金が為替の影響を受ける点が特徴です。
外貨建て保険は、為替次第で保険金額や解約返戻金の円換算額が変わるため、申込時点で将来受け取ることができる円金額がわかりません。
この点が、円建て保険との大きな違いです。
外貨建て保険を取り扱う主な保険会社

外貨建て保険を取り扱う主な保険会社は以下の通りです。
- メットライフ生命
- マニュライフ生命
- オリックス生命
- ソニー生命
- ジブラルタ生命
- プルデンシャル生命
- 日本生命
- 明治安田生命
- 大樹生命
- 第一フロンティア生命
- 三井住友海上プライマリー生命
外貨建て保険は、外資系保険会社に限らず、国内の大手保険会社でも取扱いがあります。
外貨建て保険を契約したい場合は、直接保険会社で契約する方法か銀行や保険ショップなどで契約する方法があります。

複数の保険会社の商品を比較して商品を決めるのがおすすめです
外貨建て保険の種類

外貨建て保険を検討する上で知っておきたい商品の種類や契約形態について紹介します。
商品の種類
外貨建て保険の通貨

外貨建て保険で採用されている通貨は複数ありますが、契約すべき通貨は米ドルか豪ドルの2択です。
実際、銀行の窓口で外貨建て保険を契約する人のほとんどが、米ドルまたは豪ドル建ての商品を選択しています。
アメリカドル(米ドル)
オーストラリアドル(豪ドル)
その他通貨
- ユーロ
- ニュージーランドドル(NZドル)
- イギリスポンド
- スイスフラン
- トルコリラ
銀行や保険ショップで外貨建て保険を勧められる理由


外貨建て保険ばっかり勧められるのはなぜ?
銀行や保険ショップの窓口で外貨建て保険を勧められるのはなぜでしょうか。
答えは、円建て保険が売り物にならないからです。
ご存知の通り、日本は低金利が続いており、銀行預金の金利はほぼ0に近い状態です。
円建て保険の利回りも、預金金利と同じくほとんど0に近い状態のため、払い込み保険料に対して解約返戻金、死亡保険金などが全く増えません。
銀行や保険ショップの窓口で熱心に外貨建て保険を勧められる理由は、円建て保険に魅力がないため、外貨建て保険を勧めるしか選択肢がないといった背景があります。
また、営業担当者の成績上、円建て保険よりも外貨建て保険の方が、高く評価されるという背景もあります。
外貨建て保険のメリット・デメリット

外貨建て保険にはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
メリット

米ドルや豪ドル建ての外貨建て保険は、円建ての商品に比べて、保険の積立利率が高いのが魅力です。
積立利率が高いと、死亡保険金や解約返戻金が有利な条件で保険契約を結ぶことができます。
近年、外貨建て商品の利回りは低下傾向にありますが、それでも円建て商品と比べると魅力的な水準といえます。
また、外貨建て商品は為替が円安になると、為替益を得ることができます。
例えば、解約返戻金が1万米ドルの場合、1ドル100円の時に解約すると日本円で100万円ですが、1ドル120円の時に解約すると日本円で120万円になります。
このように、外貨建て保険は、契約時や解約時の為替相場によって大きく損得が分かれる商品になっています。
デメリット

外貨建て商品は為替が円高になると、為替損が発生する可能性があります。
外貨金額自体が運用で増えていれば、多少為替が円高でも問題ありません。
しかし、為替が極端に円高に進行してしまうと、払い込んだ保険料の円換算額を解約返戻金が下回り、元本割れを起こしてしまう可能性があります。
これが、外貨建て保険の一番のリスクといえます。
また、外貨建て保険の保険金や解約返戻金は、外貨金額で決定するため、将来日本円でいくら受け取ることができるのか、契約時にはわかりません。
将来、受け取る保険金や解約返戻金の日本円金額が未確定な点は、不安に感じられる方が多いと思います。
外貨建て保険は、円建て保険に比べて運用にかかる費用が高く、加えて、外貨交換の手数料も発生します。
外貨建て保険は、円建て保険よりも積立利率が魅力的ですが、必要な費用が多いということは認識しておく必要があります。
外貨建て保険は「やってはいけない」と言われている理由


なぜ外貨建て保険はやってはいけないと言われるの?
メリットも多い外貨建て保険ですが、なぜ「外貨建て保険はやめておいた方が良い」と言われているのでしょうか。
銀行で外貨建て保険を販売している筆者が、「外貨建て保険はやってはいけない」と言われる理由について解説します。
商品性が複雑で難しいため

ネット上などで、「外貨建て保険はやめておいた方が良い」と言われている一番の理由は、外貨建て保険の商品性が複雑だからです。
保険商品は、保険料の払い込みに関する事項、解約返戻金の計算方法、手数料など、注意が必要な点が多くあります。
特に、外貨建て保険になると、保険料や解約返戻金の金額が外貨額になり、契約内容を理解するのがさらに難しくなります。
そのため、外貨建て保険は難しい=怖い=やめといた方が良いという考えに至る方が多いのではないでしょうか。
外貨建て保険の商品性が複雑な点は確かですが、商品性を正しく理解し、自分の考えにあった商品を選べば外貨建て保険は決して悪い商品ではないと思います。
外貨建て保険の仕組みとリスクを理解した上で契約しなければ危険なため

外貨建て保険には為替変動リスクや金利変動のリスクが伴います。
外貨建て保険の保険金や解約返戻金は、外貨額で決まっており、資金を受取る際は、為替の影響を受けます。
資金を受け取るタイミングの為替次第では、元本割れ(払い込んだ保険料を下回ること)を起こす可能性があります。
また、中途解約の場合は、金利変動の影響(市場価格調整)や解約時手数料がかかる商品が多いです。
特に、短期での中途解約時は、市場価格調整や費用が大きく差し引かれて、受け取り金額が元本割れを起こす可能性があります。
外貨建て保険はデメリットが多く、危険であると感じる方も多いかと思います。
しかし、為替変動リスクや費用面を許容できれば、円建て保険よりも増やすことが期待できる魅力的な商品であります。
市場価格調整
積立利率の適用期間中に中途解約した場合、解約時の市場の金利にあわせて解約返戻金の金額が調整される
市場価格調整は、必ずしもマイナスに調整されるわけではなく、市場金利が下落している局面では、解約返戻金の金額が上増しされる
✔︎ 解約時の市場金利が契約時よりも上昇していれば、積立金額は減額調整
✔︎ 解約時の市場金利が契約時よりも下落していれば、積立金額は上増調整
外貨建て保険の苦情件数は年々増加傾向にあるため

外貨建て保険に関する苦情の件数は、年々増加傾向です。
実際、銀行の窓口でも加入する外貨建て保険に関する苦情をよせる顧客は多いです。
外貨建て保険の苦情件数が多い理由は、以下の3点だと考えています。
外貨建て保険に関する苦情が多い1番の理由は、保険金や解約返戻金が円建てで確定しておらず、不安に感じる契約者が多いためです。
契約時は、条件の良さに惹かれて外貨建て保険を契約しても、期間が経つにつれ、為替のリスクなどが気になり苦情に発展するというケースが多いです。
最近では、外貨建て保険を契約した高齢者の家族が、高齢者にリスクのある商品を販売したことに対してが、苦情を申し立てるケースも多くあります。
また、外貨建て保険の商品性は複雑なため、契約時に正しく商品性を理解できておらず、後に苦情に発展するというケースも多くあります。
特に、生命保険は、契約期間が長くなることから、申込時に受けた説明内容を忘れてしまい、苦情に繋がっていることも多いと思います。
外貨建て保険がおすすめな人・おすすめしない人


外貨建て保険はどんな人におすすめなの?
外貨建て保険は、向き不向きがあります。
どのような人は、外貨建て保険を契約すべき人と契約してはいけない人について解説します。
おすすめな人

外貨建て生命保険をおすすめしたい人は以下の通りです。
生命保険料控除を使いたい現役世代
外貨建て保険は生命保険料控除の対象です。
外貨建て保険は、掛け捨てではなく、貯蓄性のある保険に加入して生命保険料控除を活用したい方におすすめの商品です。
加入する保険の種類によって、一般生命保険料控除や個人年金保険料控除など、対象となる控除枠が異なります。
詳しくは、別記事で紹介しておりますのであわせてご覧ください。
貯蓄をしながら死亡保障が欲しい人
外貨建て保険は円建て保険に比べて、少ない保険料で保険金が立ち上がります。
掛け捨てではない保険で、死亡保障を備えたい方には外貨建て保険がおすすめです。
お子様の学資保険替わりに、外貨建て保険を契約するのもおすすめです。
資産家で相続対策をしたい人
生命保険は相続対策にも効果があります。
通常、相続が発生すると、基礎控除額『3000万円+600万円×法定相続人の数』を超える相続財産には、相続税が課せられます。
しかし、基礎控除額を超えていても生命保険の死亡保険金は『500万円×法定相続人の数』の金額まで相続税が課税されません。
資産家で、相続対策として家族に死亡保険金を残したい方にも外貨建て保険はおすすめです。
相続税対策イメージ
相続対策なし
法定相続人 子3人
基礎控除額 4800万円
相続財産 6000万円
(現金+自宅不動産)
⇩
相続財産ー基礎控除額=相続税課税対象額
6000万円ー4800万円=1200万円
1200万円に対して相続税がかかる
生命保険を使った相続対策実施
法定相続人 子3人
基礎控除額 4800万円
相続財産 6000万円
(現金+自宅不動産+保険1500万円)
⇩
相続財産ー生命保険金額
6000万円ー1500万円=4500万円
相続財産のうち1500万円が生命保険であれば、相続財産額は基礎控除の範囲に収まるため税金がかからない
日本経済に不安を感じている人
今後、日本は人口が減少し、経済力が低下するため、将来的には為替が円安(円の価値が下がる方向)に進行する可能性が高いと私は考えています。
貯金の一部を外貨資産で保有しておくことで、円安時に為替の恩恵を受けることができます。
また、外貨を保有しておくことは生活を守ることにもつながります。
日本は、食料やエネルギーのほとんどを輸入に頼っているため、円安が進むと、物の値段の上昇(インフレ)が起きます。
円安が進行し、物価上昇が起きたとしても、資産の一部を外貨で保有していれば、為替益が出るため、生活の質を大きく落とすことなく暮らしていくことができます。
長い目で考えると、外貨資産を保有しておくことはリスクヘッジに繋がると私は考えています。
おすすめしない人

外貨建て保険は長期保有が前提の商品です。
外貨建て保険は、資金に余裕がなかったり、長期保有が難しい方にはおすすめできません。
また、外貨建て保険は保険機能がついている分、投資商品と比較すると、手数料が高い傾向にあります。
保障の必要性を感じておらず、資産を増やすことを重視したい方には、外貨建て保険はおすすめできません。
資金に余裕がない人
外貨建て保険は長期保有が前提の商品であるため、資金に余裕がない方にはおすすめできません。
資金が必要になり、外貨建て保険を短期間で解約してしまうと、解約返戻金が大きく元本を下回ってしまうリスクがあります。
また、保険料の払い込みを分割で行う場合、途中で保険料の払い込みが難しくなってしまうと、条件が悪くなってしまう可能性があります。
外貨建て保険は必ず余裕のある範囲で申し込むようにしましょう。
保険商品での長期運用が難しい人
先ほども申し上げた通り、外貨建て保険は短期間で解約してしまうと、解約返戻金が大きく元本を下回ってしまうリスクがあります。
外貨建て保険は、「年齢的に長期で保有するのが難しい」、「5年後のリフォーム資金に充てたい」など、長期で保有することが難しい方にはおすすめできません。
投資経験があり利益を追求したい人
保障の必要性を感じておらず、資産を増やすことを重視したい方には、外貨建て保険はおすすめできません。
資産を増やすことを重視するのであれば、外貨建て保険よりもコストが安く、柔軟に運用が可能な投資信託や外貨預金の方がおすすめです。
手数料などを抑えて運用したい人
外貨建て保険は、保障が備わった商品のため、費用負担が大きくなります。
主な費用としては、外貨交換手数料、運用費用、保険関係費用、解約手数料などです。
外貨建て保険の手数料で、特に費用負担が高いのが、中途解約時に発生する解約手数料(解約控除)です。
解約手数料は、契約からの期間が短いほど大きな額がかかる仕組みになっていることが多く、高い商品では解約時に10%の手数料が引かれることもあります。
保障の必要がなく、資産を増やすことを目的とするのであれば、費用が高い外貨建て保険はおすすめできません。
外貨建て保険の選び方


外貨建て保険の商品選びのポイントは?
外貨建て保険の商品選びのポイントについて、これまで1000件以上の保険を販売してきた筆者が紹介します。
解約返戻金

外貨建て保険の提案を受けた際に、一番にチェックしたいのが解約返戻金です。
将来、保険を解約する場合に、どれくらいの金額が戻ってくるのかは最も大切なポイントです。
設計書で解約返戻金の増加額の推移を確認し、ご自身のライフプランにあった商品を選ぶようにしましょう。
外貨建て保険の場合、解約返戻金のシミュレーション金額は外貨金額となり、実際に円でいくら戻ってくるのかは未確定です。
そのため、外貨建て保険に加入するときは、受け取ることのできる外貨金額から損益分岐点の為替を割り出すことがおすすめです。
損益分岐点の為替とは、払い込んだ保険料を解約返戻金の円金額が下回らない為替の値のことをいいます。
例
保険料払込金額 10,000米ドル
(1ドル=100円の為替で契約したため円換算額100万円)
経過年数 | 解約返戻金 | 損益分岐点の為替 |
10年 | 11,000米ドル | 90.90円 |
15年 | 14,000米ドル | 71.42円 |
20年 | 18,000米ドル | 55.55円 |
払込保険料(円)÷解約返戻金(外貨)=損益分岐点の為替
20年後に解約する場合、為替が55.55円よりも円安であれば、解約返戻金は払い込んだ100万円を下回ることはありません。
損益分岐点の為替を知っておくことで、解約返戻金のイメージがつきやすくなります。
保障の充実度合い

外貨建て保険は保険金の立ち上がりが魅力です。
払い込む保険料に対して、どれくらいの死亡保険金が立ち上がるのかをしっかりと確認しましょう。
商品によって、保障の金額を重視しているものや解約返戻金の増加額を重視しているものなど様々です。
保険金の立ち上がりと解約返戻金のどちらを重視したいのかを考え、商品を選びましょう。
手数料

保険の申し込み時に必ず確認しておきたいのが手数料です。
先程から申し上げている通り、外貨建て保険は費用が高い商品です。
手数料のかかるタイミングや金額などは、保険商品によって異なるため、手数料に関する条件が良い商品を選ぶようにしましょう。
外貨建て保険は「やってはいけない」のか/まとめ

外貨建て保険はリスクやデメリットもある商品ですが、商品性を正しく理解し、自分の考えにあった商品を選べば決して悪い商品ではないと思います。
実際に銀行で保険商品を販売している私も外貨建て保険に加入しています。
ネット上の「外貨建て保険はやってはいけない」という言葉に惑わされず、外貨建て保険にメリットを感じる方はぜひ加入することをおすすめします。
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