この記事では、XLK:テクノロジーセレクトセクターSPDRファンド(米国ETF)の内容・株価・過去のチャート・銘柄を紹介します。
また同じテクノロジーセクターへ投資できるバンガード・米国情報技術セクターETF(VGT)とも簡単に比較します。
- XLKのETF内容と銘柄情報
- XLKの株価/過去のチャート
- XLKとVGTの違い
- XLKとVGTの簡単な比較
XLK:テクノロジーセレクトセクターSPDRファンド(米国ETF)とは?
運用会社SSGAについて(ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ)
XLK:テクノロジーセレクトセクターSPDRファンド(米国ETF)は、ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ(以下、SSGA)という米国の資産運用会社で管理されています。
このSSGAは資産運用会社の中でも、世界第3位となる約3兆ドルの資産運用を行なっており、インデックス運用とETF、ESG投資の先駆者と言われています。
SSGAの数ある商品の中でも、「SPDRブランド」はSSGAが提供するETFのブランドです。
ちなみにS&P500指数に連動する有名な「SPDR S&P500R ETF(SPY)」は、米国における最初のETFであり、SPYは2018年1月29日に米国上場25周年を迎え、純資産総額、流動性ともに世界最大のETFに成長しています。
テクノロジーセレクトセクターSPDRファンド(XLK)は、そのような有名な米国の資産運用会社SSGAによって運用されています。
XLKを構成する代表銘柄
XLKは、米国のテクノロジーセクター(情報技術セクター)に属する銘柄から構成されるファンドです。
テクノロジーに関する企業は、例えばアップルやマイクロソフトなどPCやそのサービスを提供する企業が挙げられます。
その他にも、情報通信を可能とする半導体やその製造企業(ex.エヌビディア、インテル)、さらにビザなどのクレジットカードに代表されるデジタル金融サービスの企業もテクノロジーセクターの企業に含まれます。
これらのアップル・マイクロソフト・インテル・ビザ・マスターカードなどのテクノロジー企業にまとめて投資できるのが、米国ETF XLKになります。
アップルのスマホやMacBook、マイクロソフトのWindows、Visaのクレジットカードなど日本の私たちにも身近なものとなっているサービスやモノですが、今後も新興国など含めて更なる普及や成長を続けていく可能性が高いと考えられています。
XLKのインデックス指数(テクノロジー・セレクト・セクター指数)
XLKは、「テクノロジー・セレクト・セクター指数」という指数のパフォーマンスと同じになるように銘柄が構成され、運用されています。
テクノロジー・セレクト・セクター指数は、S&P500指数の採用銘柄の中のテクノロジー・セクターのパフォーマンスを計測する指標です。同指数は、コンピュータ・周辺機器、ソフトウェア、通信機器、半導体・半導体製造装置、情報技術サービス、電子装置・機器・部品の業種に属する企業から構成されています。
このXLKやテクノロジー・セレクト・セクター指数は、S&P500指数の採用銘柄の中から選ばれているという点が特徴的です。
S&P500指数と比べると以下の表の通りですが、S&P500指数に採用されている500社のうちのテクノロジーセクター銘柄が76銘柄あるということになります。
同じテクノロジーセクターのバンガード社VGTに比べても、銘柄数は少なくある程度集中した投資になるということが分かります。この時点でより多くの銘柄に分散投資をしたい方は、XLKではなくVGTをお勧めいたします。→VGTの紹介記事はこちら
米国ETF (SPDR) | 米国ETF (バンガード) | |
S&P500指数 | SPY (銘柄数約500) | VOO (銘柄数約500) |
テクノロジーセクター | XLK (銘柄数約76) | VGT (銘柄数約350) |
銘柄選定基準 | S&P500指数 採用銘柄のみ | 米国全銘柄 から採用 |
ちなみに「テクノロジー・セレクト・セクター指数」の過去のリターンについては、以下の通りです。過去10年平均でも20%近くのリターンとなっており、非常に高い成長率を維持していることが分かります。

XLKのETF情報(構成銘柄数・騰落率・経費率など)
XLKのETFの情報を以下の表にまとめておきます(2021年6月29日時点の情報)
項目 | XLK | VGT |
---|---|---|
名称 | テクノロジーセレクト セクターSPDR ファンド | バンガード・米国情報技術 セクターETF |
運営会社 | SSGA | 米バンガード社 |
設定年 | 1998年12月 | 2004年1月 |
インデックス指数 | テクノロジー・セレクト ・セクター指数 | MSCI USインベスタブル・ マーケット・情報技術 25/50インデックス |
構成銘柄数 | 76銘柄 | 350銘柄 |
構成銘柄 セクター | 米国・テクノロジー セクター | 米国・情報技術 セクター |
経費率 | 0.13% | 0.10% |
運用総額 | 約393億米ドル | 約430億米ドル |
配当利回り | 0.74% | 0.66% |
1年騰落率 | 44.26% | 46.16% |
5年騰落率 | 267.18% | 299.29% |
基準価格 (最低購入金額) | $145.18 | $392.88 |
XLKのETFの情報をまとめました。比較用にVGT(バンガード 米国情報技術セクター ETF)の情報も記載してます。
XLKは、VGT比べて騰落率(成長率)はほとんど差はありませんが若干だけ低くなっています。しかし配当利回りは高くなっています。XLKはS&P500指数採用銘柄のみから構成されるため、小型株の成長を取り入れることができず、若干成長率は低いものの、大型株のみから構成されるので、配当利回りが高くなっていると考えることができます。
また運用総額はそこまで大きな差があるわけではありませんが、経費率は少しだけVGTより高くなっています。
これだけ見ると個人的には、VGTの方が良さそうに見えますが、XLKは大企業銘柄だけから構成されるため、下落時に小型株を含むVGTよりも下落リスクが小さい可能性があります。この点は後ほど検討いたします。
XLK の経費率(コスト)
XLKの経費率は、先ほども述べましたが0.13%です。0.13%は、バンガード社が出すETFに比べると若干高い印象を受けますが、一般的には十分安いレベルなので、気にする必要ないと思います。で
XLKの構成銘柄を分析
ここでは上位銘柄の紹介・セクター別分析・VGTとの比較の3項目で分析していきます。
XLKの上位10銘柄を分析
XLKの上位10銘柄を紹介します。表内には先ほど同様VGTの構成銘柄も比較として記載しています。※2021年6月30日時点のデータです。

No. | 企業名 | ティッカー シンボル | XLK | VGT |
1 | Apple | AAPL | 21.43% | 20.17% |
2 | Microsoft | MSFT | 20.42% | 16.34% |
3 | NVIDIA | NVDA | 4.85% | 3.35% |
4 | Visa | V | 4.06% | 3.33% |
5 | Mastercard | MA | 3.35% | 3.07% |
6 | Paypal | PYPL | 3.46% | 2.63% |
7 | Adode | ADBE | 2.80% | 2.20% |
8 | Intel | INT | 2.28% | 2.13% |
9 | Cisco System | CSCO | 2.27% | 1.94% |
10 | Salesforce.com | CRM | 2.29% | 1.89% |
上位2銘柄の占める割合 | 約42% | 約36% | ||
上位10銘柄の占める割合 | 約67% | 約57% |
XLKとVGTの上位10銘柄は、同じ銘柄です。しかしXLKの方がVGTよりも構成銘柄が少ないため、上位銘柄が占める割合はVGTより高くなっています。
構成銘柄1位・2位のアップル・マイクロソフトは、時価総額2兆ドル超えの世界トップ企業ですが、XLKのアップル・マイクロソフトの2銘柄が占める割合は、約42%と非常に高くなっています。
3位以降の銘柄を見ても、VGTに比べ構成割合は高く、XLKはVGTよりもより集中的に投資を行なっている銘柄と言えます。XLKの全構成銘柄数は、76銘柄なので、残り66銘柄で33%を構成していることになります。
テクノロジーセクター企業が生み出す製品は、ここ数年間で急激に私たちの生活に取り込まれ、今や不可欠な製品となりました。新興国や発展途上国の人口増加に伴って、需要さらに大きくなり、今後も更なる成長が期待されているセクターになります。
XLKのセクター別割合
続いて、セクター別割合です。画像はXLKの割合、表はそれを数値化したもので、VGTと比較しています。※同じく2021年6月25日時点のデータです。

No. | セクター | XLK | VGT | 代表銘柄 |
1 | ソフトウェア&ITサービス | 48.68% | 49.41% | マイクロソフト、ビザ |
2 | コンピューター、スマホ | 23.33% | 22.06% | アップル |
3 | 半導体、半導体製造 | 19.60% | 18.27% | エヌビディア、インテル |
4 | その他 (4~10位合計) | 8.39% | 10.26% | ー |
XLKには、アップル・マイクロソフト以外にも、半導体・半導体製造メーカーも約20%含まれています。今後5Gの普及で半導体セクターが伸びていく可能性もあり、今後も更なる成長が期待できると考えられます。
XLKと、他セクターとの比較
2021/6/29時点 | セクター | 1年リターン | 5年リターン |
XLK | テクノロジー | 44.26% | 266.08% |
SPY | S&P500 | 42.57% | 127.05% |
XLV | ヘルスケア | 29.98% | 93.19% |
同じSSGAが運用するSPDRシリーズのテクノロジーセクター(XLK)と、ヘルスケアセクター(XLV)と、S&P500(SPY)の3つのリターンを比較しています。
やはりここ5年だと、テクノロジーセクターであるXLKが最も高くなっています。続いて、もう少し長期でのチャートを確認してみましょう。
XLKのチャートを分析
※スマホ等からご覧の方で、上のチャートを確認できない方は、以下の図をご確認ください。

下の図は、青がXLK、オレンジがSPY、緑がXLVになります。1999年〜2021年現在までのチャートになります。
過去22年間で、もっとも高いリターンとなっているのは、XLKとなっています。XLKは2015年ごろから急成長しました。今後も高い成長率を続けると考えられます。
しかし2000年ごろに起きたITバブルで大きくダメージを受けたXLKは、2020年ごろまでヘルスケアセクターには劣る結果となっており、上がる時は大きく上がるが下がる時は下がる銘柄と言えます。
個人的に意見を述べると、今後も情報技術セクターは高い成長を見せてくれると考えています。
どんな家電やちょっとした機械にも情報処理能力が求められるようになり、そのために必要な半導体の需要が増え、さらにコロナをきっかけにキャッシュレス決済等のデジタル金融サービスの更なる普及などが要因で、情報技術セクターは今後も成長が期待できると考えています。
XLKの購入シミュレーション(SPYと比較)
XLKとSPY(S&P500)を購入した際に、自分の資産がどのように推移していくのか、簡単にシミュレーションしてみます。あくまで過去のデータを使用し計算するので、今後の動きを予測するものではないことをご留意ください。
- 期間:1999年1月〜2021年5月(約22.5年間)
- 初期費用$10,000(約100万円)を一括投資し、その後放置
- 分配金は再投資するものとする
以下が、シミュレーション結果になります。縦軸が資産総額、横軸が時間(年)になります。

1999年1月 | 2021年5月 | ベスト年 | ワースト年 | 最大下落率 | ソリティレシオ | |
XLK | $10,000 | $54,922 | 65.14% | -41.88% | -80.47% | 0.54 |
SPY | $10,000 | $51,213 | 32.31% | -36.81% | -50.80% | 0.65 |
シミュレーションの結果を、上に各数値の表・下にチャートグラフを記載しています。
投資した$10,000は、最終的に、XLKは$54,922、SPYは$51,213となり、最終的にはXLK>SPYとなりました。
しかし先ほども述べた通り、XLKは2020年ごろまでSPYを下回っており、直近の1年で大きく上昇し最も高いリターンとなっています。
XLKの最大下落率はSPYよりも30%程度大きく、長期で見るとリスクも比較的高く、その証拠に、下落リスクと成長率の比率をとった「ソリティレシオ」を見ても、SPYの方が値が高く、XLKは20年以上の長期期間で見ると、SPYよりもリスクが大きいと言えます。
表内の「ソリティレシオ」に関してですが、ソリティレシオは下落リスクに対するリターンを示す数値で、分母に下落リスク、分子にリターンを入力し、算出されます。
つまり、下落リスクが小さい or 成長率が高いと値が大きくなり、下落リスクが大きい or 成長率が小さいと値が低くなります。
今回VGTとVOOを比較すると、VGTはVOOよりも下落リスクは多少大きいですが、VGTはVOOよりも成長率がかなり高いので、ソリティレシオの値もVGTの方が大きくなっています。
XLK vs XLV(ヘルスケア)/SPY(S&P500)
XLK(テクノロジーセクター)と、XLV(ヘルスケアセクター)、SPY(S&P500)の比較を別記事で行っているので、気になる方はご覧ください。
まとめ
この記事では、XLK:テクノロジーセレクトセクターSPDRファンド(米国ETF)の内容・株価・過去のチャート・銘柄を紹介しました。また同じテクノロジーセクターへ投資できるバンガード・米国情報技術セクターETF(VGT)とも簡単に比較し、XLKはS&P500採用銘柄のみから構成されるのが異なる点でした。
- S&P500採用の大型株のみに投資したい → XLK
- S&P500に採用されていない中小型株にも投資したい → VGT
構成銘柄としては、PC・半導体・デジタル金融関連と幅広く分散されたETFとなっており、XLKは、今後も私たちの生活に欠かせない製品を送り出す銘柄ばかりで構成されるため、更なる成長が期待できます。
最後に簡単にシミュレーションした結果、XLKはここ数年の成長は著しいですが、過去には大きく下落する場面もあったため、長い間SPYやXLVよりパフォーマンスが低い結果となっていました。これより長期期間の投資を考えた場合、メリットデメリットがある銘柄かもしれません。
またその他の米国株式(個別銘柄やETF)の情報を得たい方は、モトリーフールから得られる情報をもとに分析するか、以下の記事では、全世界に投資すべきか、全米に投資すべきかを検討しているのでご確認ください。