この記事では、VXUS:バンガード・トータル・インターナショナル・ストックETFについて、内容・株価・過去のチャート・銘柄を紹介します。
VXUSは、簡単に言うと、米国株式を除く全世界株式へ投資するETFです。
全世界株式へ投資するETFは、VXUS以外に、有名なVTという全世界株式(米国株式も含む)というものがあります。VTとも簡単に比較していくので、最後までご覧ください。
- VXUS:バンガード・トータル・インターナショナル・ストックETFのETF情報
- VXUSの株価(基準価格)
- VXUSの過去のチャート
- VXUSの上位銘柄
- VXUSとVTの違い
VXUS:バンガード・トータル・インターナショナル・ストックETFとは?
バンガード・トータル・インターナショナル・ストックETF(VXUS)とは、米バンガード社によって運用される米国ETFです。投資対象は、全世界株式になります。
VXUS(バンガード・トータル・インターナショナル・ストックETF(Vanguard Total International Stock Index Fund ETF))は、FTSEグローバル・オールキャップ(米国を除く)インデックスに連動する投資成果を目指す。
米国を除く世界の市場の98%をカバーしている。市場として欧州、太平洋地域、新興国市場、北米地域を含む。
簡単に言うと、VXUSは、米国株式を除く全世界株式へ投資するETFです。
FTSEグローバル・オールキャップ(米国を除く)インデックス とは?
VXUSが連動を目指しているインデックス指数の「FTSEグローバル・オールキャップ(米国を除く)インデックス」とはなんでしょうか。
これを説明するには、VT(全世界株式)が連動を目指している「FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス」の説明が必要となります。
運営元のFTSEのサイトを見ると、以下のように記載されています。
「FTSEグローバル・オールキャップ・インデックスとは、FTSE社が提供している全世界の株式指数(時価総額加重平均型)になります。
新興国の中国・インドを始め、日本やアメリカの先進国を含む、全世界(47か国)の大型株から小型株まで含み、全世界株式の時価総額を98%以上カバーしており、約8000銘柄を含むインデックス指数です」
これに対し、FTSEグローバル・オールキャップ(米国を除く)インデックスは、FTSEグローバル・オールキャップ・インデックスの米国株式を除いた指数となります。
米国ETF | 対象地域 | 銘柄数 | |
FTSEグローバル・オールキャップ (米国を除く)インデックス | VXUS | 欧州、太平洋地域、 新興国市場、北米地域 (米国を除く) | 約7500 |
FTSEグローバル・オールキャップ ・インデックス | VT | 欧州、太平洋地域、 新興国市場、北米地域 | 約8000 |
VXUSのETF情報を整理
VTのETFの情報を以下の表にまとめておきます(2021年6月14日時点の情報)
項目 | VXUS | VT |
---|---|---|
名称 | バンガード・トータル・インター ナショナル・ストック(除く米国) ETF | バンガード・トータル・ワールド・ ストックETF |
運営会社 | 米バンガード社 | 米バンガード社 |
設定年 | 2011年 | 2008年 |
インデックス指数 | FTSEグローバル・オールキャップ (除く米国)インデックス | FTSEグローバル・オール キャップ・インデックス |
構成銘柄数 | 7500社 | 8000社 |
構成銘柄条件 | 米国を除く全世界株式の 98%をカバー | 全世界株式 (全世界98%カバー) |
経費率 | 0.08% | 0.08% |
運用総額 | 約470億米ドル | 約213億米ドル |
配当利回り | 1.98% | 1.51% |
5年騰落率 | 77.32% | 99.18% |
基準価格 (最低購入金額) | $67.33 | $103.97 |
意外なことに、VXUSの方がVTよりも運用総額が多くなっています。
この理由は、米国人は既に米国株式に投資している場合が多く、自国(米国)以外の国に分散投資するためにVXUSを利用しているためと考えられます。
その他のVXUSの特徴としては、やはり構成銘柄数です。米国を除いているにも関わらず、7500銘柄から構成されており、全世界株式の98%をカバーしています。
騰落率は、5年騰落率がVXUSは約77%に対し、VTは約99%と、VXUSの方が低くなっています。直近5年間は米国株式の成長が著しかったため、米国株を除くVXUSの方が低いのは仕方がありません。逆に米国株式抜きで77%の成長は高いようにも感じます。
VXUS の経費率(コスト)
0.080%です。これは同じバンガード社が出すETFである、VOOやVTIの0.030%に比べると高いですが、それでも0.1%を切る値なので、十分安いと言えるでしょう。
なので、問題なく中長期で投資にも適したETFと言えます。もちろん短期でもコストが安いに越したことはありません。
VTの構成銘柄を紹介【上位30銘柄】
そんなFTSEグローバル・オールキャップ・インデックスに連動する VT ですが、構成銘柄の上位はどのようになっているのでしょうか。構成銘柄をまとめたのが次の表になります。
※2021年5月31日時点のデータになります。
No. | 企業名 | 国 | ティッカー シンボル | 構成割合 % |
1 | Taiwan Semiconductor Manufacturing Co. Ltd | 台湾 | 2330 | 1.54% |
2 | Tencent Holdings Ltd | 中国 | 700 | 1.42% |
3 | Alibaba Group Holding Ltd | 中国 | 9988 | 1.14% |
4 | Nestle SA | スイス | NESN | 1.04% |
5 | Samsung Electronics Co. Ltd. | 韓国 | 005939 | 1.02% |
6 | ASML Holding NV | オランダ | ASML | 0.81% |
7 | Roche Holding AG | スイス | ROG | 0.73% |
8 | Toyota Motor Corp. | 日本 | 7203 | 0.62% |
9 | LVMH Moet Hennessy Louis Vuitton SE | フランス | MC | 0.60% |
10 | Novartis AG | スイス | NOVN | 0.57% |
7500銘柄に投資するETFなので、上位銘柄といえ、占める割合は比較的小さくなっています。最も上位の台湾セミコンダクターでも1.54%であり、日本企業だと8位にトヨタ自動車がランクイン(0.62%)。その他の日本企業だとだと、22位にソニーグループ、28位にソフトバンクグループがランクインしています。
米国企業を除く企業の集まりですが、上位企業は世界的にも有名な企業ばかりで、私たちも身近で利用している企業が多くなっています。
VXUS セクター別 銘柄割合
続いて、VXUSのセクター別割合です。※以下の図表は、2021年5月31日時点の情報です。

上位セクターから、金融・テクノロジー・工業・一般消費財・材料・ヘルスケアと6セクターで焼く90%を占めており、非常にバランスが取れたETFとなっていることが分かります。
今後テクノロジーセクターは、中国のアリババ・テンセントの成長に伴い更に高い割合を占めていく可能性もありますが、発展途上国は成長過程で金融や材料・工業も成長していくため、結局のところは今後もバランス良く、各セクターが成長していくことが考えられます。
VXUSの地域別構成銘柄
次に、VXUSの地域別(国別)割合です。※以下の図表は、2021年5月31日時点の情報です。

なんと1位は日本となっています。上位銘柄ではそれほど多くの銘柄はありませんでしたが、トータルすると最も多く組み込まれている国は日本でした。
続いて、香港・イギリス・フランスと続いていきます。最も上位銘柄であった「台湾セミコンダクター」を含む台湾は9位となっています。
またアリババやテンセントが所属する中国は、上位10位に入っていませんでした。
上位10カ国で、約73%を占めており、他の国(先進国・発展途上国)で27%分を分散していることになります。
VXUSの株価チャート(基準価格)
ETFは上場投資信託なので、厳密に言うと、株価(取引価格)と基準価格の間には乖離がありますが、議論しだすと面倒なので、通常の個別株同様にチャートを見ていきたいと思います。
※上記チャートは、PCやタブレットからの閲覧をオススメします。スマホから閲覧の方は以下の画像をご確認ください。

VXUSを株価を見ると、2020年3月のコロナショックなど、相場全体がダメージを受けた際は同じように下落していますが、長期で見るとじわじわ成長していることが分かります。
VXUSは米国株式は除きますが全世界株式です。人口が増え続ける限り世界経済は成長を続ける可能性が高く、VXUSは今後も着実に成長を重ねていくことが期待できるでしょう。
VXUSのメリットとデメリット
メリット
VXUSに投資するメリットは、やはり米国株式は除くといえど、全世界の株式市場に一度に分散投資できる点でしょう。
また既に、VTI(全米株式)やVOO(S&P500)、QQQ(NASDAQ100)などの米国株式に投資されている方は、VXUSを取り入れることで、重複なく全世界株式へ分散投資することができます。
今後も世界経済全体で見れば、人口増加に伴い、高い確率で成長を続けていきます。一時的に落ち込むことはあっても、長期的に見れば、高い確率でリターンを得ることができると考えられます。コストも0.08%/年で比較的安いですから、中長期的な投資には向いている商品(ETF)と思います。
デメリット
VXUSは米国株式を含まないため、VXUS単体では近年の米国株式の成長を取り入れることができません。
元々バンガード社は米国の投資機関であり米国の人々のために様々な商品を提供しています。米国の人々は既に米国株式に投資していることが多く、米国からみた全世界への投資という意味でVXUSの提供が始まりました。
つまり、VXUSはVTIやVOOに既に投資している方々向けのETFになります。
単体で利用すると、米国株式の成長を取り入れれないため注意が必要です。
もう一つの全世界株式 米国ETF:VT
VT:バンガード・トータル・ワールド・ストックETFは、米国株式を含む全世界株式です。
VXUSとの比較表は前述なので省略しますが、基本的には以下のように使い分けるといいと思います。
- これから投資を始める方
- 1つの商品で資産運用したい方
- 全世界株式に投資したい方
- 既に米国株式に投資しており、全世界へリスク分散したい方
- 米国株式以外に投資したい方
VXUSとVTの比較(シミュレーションしてみた)
VXUS vs VTIのシミュレーション
チャート比較

2011/2〜2021/5の上昇率 | ||
VXUS | 全世界株式、米国除く | 74.62% |
VT | 全世界株式、米国含む | 105.71% |
やはり米国株式を含まない分、VXUSの上昇率はVTよりも劣る結果になっています。
では下落リスクはどうでしょうか。シミュレーションして確認してみます。

VXUSとVT、参考比較ようにVTIの3つの商品に対し、実際に$10,000を投資し資産運用した場合の、最終資産額を計算しています。
表内の数値を見ると、「Max Drawdown:最大下落率」「Worst Year:最も上昇率が低い年」「Sortino Ratio:下落リスクに対する期待リターン」を見ると、いずれもVXUSが最も悪い数値となっています。
やはり単体で利用する場合は、あまりおすすめできないETFかもしれません。しかし今後米国以外の新興国の株価が急上昇する可能性もあり、その場合VTやVTIのパフォーマンスを上回りますので、一概にはいえませんが、VTIやVOOといった米国株式に既に投資の上で、VXUSを組み合わせて利用することをオススメします。
VXUS+VTI vs VTのシミュレーション
実際に、VXUS(全世界株式、米国除く)+VTI(全米株式)と、VT(全世界株式、米国含む)で比較してみました。気になる方は以下の記事をご確認ください。
(参考)米国株の情報メディア -モトリーフール
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まとめ
この記事では、「VXUS:バンガード・トータル・インターナショナル・ストックETF」についてご紹介しました。
米国株式を除く全世界株式へ投資するETFであり、構成銘柄は約7500銘柄となっています。
VXUS単体へ投資する場合、VTやVTIなどにパフォーマンスが負けていましたが、既にVTIやVOOなど米国株式へ投資している方が全世界株式へ分散する場合に利用することが可能ですので、VXUSは他の投資先とバランスをとりながらうまく活用しましょう。
またVTIやVOOについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧になってください。
VT(全世界株) と VTI(全米国株)とVOO(S&P500)どっちがおすすめ?