2021年2月下旬から3月初旬の現在、グロース株全体の下落率が高く、これまで上昇率がたかった分の調整局面を迎えていると考えられます。調整後はコロナワクチンの拡大に合わせ、再度高い成長率が期待されるグロース銘柄。
そこで今回、S&P500銘柄のグロース株だけで構成される「バンガード S&P500 グロース ETF(VOOG)」について、中身・今後の見通し簡単にご紹介します。
今回のVOOGは、バンガード社が提供している米国ETFの中の一つになります。
ティッカー | ファンド名称 | ジャンル/セクター |
VT | バンガード・トータル・ワールド・ストック ETF | 全世界 |
VTI | バンガード・トータル・ストック・マーケット ETF | 全世界 |
VOO | バンガード・S&P500 ETF | 米国 |
VOOG | バンガード・S&P500 グロース ETF | 米国 |
VOOV | バンガード・S&P500 バリュー ETF | 米国 |
VAW | バンガード・米国素材セクター ETF | 素材 |
VCR | バンガード・米国一般消費財・サービス・セクター ETF | 消費財 |
VDC | バンガード・米国生活必需品セクター ETF | 生活必需品 |
VDE | バンガード・米国エネルギー・セクター ETF | エネルギー |
VFH | バンガード・米国金融セクター ETF | 金融 |
VGT | バンガード・米国情報技術セクター ETF | 情報技術 |
VHT | バンガード・米国ヘルスケア・セクター ETF | ヘルスケア |
VIS | バンガード・米国資本財・サービス・セクター ETF | 資本財 |
VOX | バンガード・米国通信サービス・セクター ETF | 通信 |
VPU | バンガード・米国公益事業セクター ETF | 公益事業 |
VOOG:バンガード S&P500 グロース ETFとは?
バンガード S&P500 グロース ETF(VOOG)とは、運用会社で有名な米バンガード社によって運用される米国ETFです。
内容としては、米国市場でも重要な株式指数であるS&P500銘柄のグロース株だけから算出される「S&P 500 グロース指数」のパフォーマンスへの連動を目指しているETFであり、米国市場の優秀な大型株のみに絞って、その中に対し分散投資を行うETFです。
簡単に言うと、「VOOG」とは、アップルやマイクロソフト、グーグルなどからなる「GAFAM」に加えて、ここ最近勢いのあるテスラやネットフリックスなどの、巨大ハイテク銘柄に、一度に分散投資できるETFということになります。
ではどのような構成銘柄になっているのでしょうか。詳しくご紹介していきます。
VOOG の構成銘柄を紹介【上位10銘柄】
※2021年01月31日時点のデータになります。
No. |
ティッカーシンボル |
銘柄 |
構成割合 |
1 |
AAPL |
Apple Inc |
12.6% |
2 |
MSFT |
Microsoft Corp |
10% |
3 |
AMZN |
Amazon.com Inc |
8.3% |
4 |
GOOG |
Alphabet Inc |
6.2% |
5 |
FB |
Facebook Inc |
3.9% |
6 |
TSLA |
Tesla Inc |
3.2% |
7 |
NVDA |
NVIDIA Corp |
1.9% |
8 |
PYPL |
PayPal Holdings Inc |
1.6% |
9 |
ADBE |
Adobe Inc. |
1.4% |
10 |
NFLX |
Netflix Inc |
1.4% |
上位10銘柄の割合 |
50.5% |
VOOGは、約230銘柄から構成されています。230銘柄の中から、上位10銘柄を表に記載しました。
上位10銘柄だけで50%以上も占めており、GAFAMなど厳選された成長株に分散投資されているのが分かります。VOOV(バリュー)とは異なり、金融・エネルギーなど安定企業は一切含まれておらず、ハイテク銘柄に集中したETFであることが分かります。
VOOVの全銘柄が気になる方は、バンガード社HPでご確認ください。
VOOGのセクター別 銘柄割合
※2021年01月31日時点のデータになります。
セクター |
VOOG |
(参考)VOOV |
(参考) VOO |
金融 |
2.7% |
19.3% |
10.4% |
ヘルスケア |
11.9% |
15.7% |
13.5% |
Information Technology |
41.8% |
11.6% |
27.6% |
資本財 |
5.5% |
11.4% |
8.4% |
生活必需品 |
3.6% |
9.3% |
6.5% |
一般消費財 |
17.3% |
7.5% |
12.7% |
Communication Services |
13.8% |
7.2% |
10.8% |
公益 |
0.5% |
5.3% |
2.8% |
Energy |
0.0% |
5.1% |
2.3% |
不動産 |
1.0% |
4.1% |
2.4% |
参考までに、VOO(S&P500)と、VOOV(S&P500 バリュー)の構成比も紹介し比較しています。
VOOG(S&P500 グロース)は、やはり「IT(Apple、Google)」「コミュニケーションサービス(Facebook)」「一般消費財(Amazon)」の割合が高くなっています。一方で、金融・エネルギーが通常のS&P500ETF VOOよりもかなり低くなっています。
セクター別構成銘柄割合からも、VOOGはテクノロジー関係の今後更なる成長が期待される銘柄に絞りながらも、その中で分散しているETFと言えるでしょう。特に2018年以降のハイテク銘柄の成長率は非常に高かったので、VOOGも非常に高いパフォーマンスを見せています。
(参考)VOOG vs S&P500 グロース 指数
VOOGと、VOOGが連動を目指している指数「S&P500 グロース 指数」について、もう少し詳細に比較したのが以下の表になります。
※2021年01月31日時点のデータになります。
他の項目についても、ほとんど一致していることが分かります。
|
VOOG |
S&P500 グロース 指数 |
構成株式銘柄数 |
231 |
230 |
時価総額の中央値 |
$239.7 B |
$323.2 B |
収益成長率 |
17.5% |
19.4% |
株価収益率 |
36.3 x |
38.7 x |
株価純資産倍率 |
8.1 x |
10.0 x |
自己資本利益率 |
24.5% |
24.1% |
※株価収益率:株価を過去1年の1株当たり利益で除して得られる値。ポートフォリオでは、ポートフォリオを構成する銘柄の加重平均株価収益率のこと。企業の見通しに関する市場の期待感を示す。
※株価純資産倍率:株価を1株当たり簿価(つまり、純資産)で除して得られる値。ポートフォリオの場合は、ポートフォリオを構成する銘柄の加重平均株価純資産倍率のこと。
※自己資本利益率:自己資本利益率。特定の期間における、企業の自己資本に対する純利益の割合。この数値は、株主資本がどのくらい効率的に活用されたかを示す。
VOOGのコスト(経費率)
経費率0.10%です。かなりの低コストで、ETFの中でも安い方ですが、VOOよりも高いです。
|
VOOG |
VOO |
経費率 |
0.10% |
0.03% |
VOOGは今後上がるのか?チャートで分析
上のチャートは、VOOVの推移を示したものになります。
これを見ると、VOOVは2011年以降、上昇し続けていることがわかります。またコロナで一度大きく落ち込みましたが、優秀な大企業ばかりを集めた指数へ投資しているETFということもあり、高い回復力で元の水準以上に大きく反発していることが分かります。
コロナ後株価が回復したのは、サービスやIT企業でした。一方で航空機やレストラン、エネルギーや金融はダメージが大きく、回復までに時間がかかっている状況なので、コロナショック後の上がり幅は、VOOG > VOO > VOOV となっています。
過去10年間上昇し続けているVOOGは、私たちにの生活には欠かせないサービスばかりを提供している企業なので、今後も成長が期待できるでしょう。
VOOG はおすすめなのか?(VOO、QQQとチャートを比較)
VOOGは買いなのか? ずばり買いでしょう。チャートを見ればわかると思いますので、下のチャートを確認してください。ここでは、VOO(S&P500)とQQQ(NASDAQ100)と比較しています。VOOやQQQについて知りたい方は、リンクを貼っておきますので、ご確認をお願いします。
VOOVと比較する銘柄
・QQQ:NASDAQ100指数連動 米国ETF
・VOO:S&P500指数連動 米国ETF

上のグラフを見ると、
QQQ:NASDAQ100 > VOOG:S&P500 グロース > VOO:S&P500 で上昇率が異なります。
やはりQQQ:NASDAQ100の上昇率は非常に高く、なかなかQQQに勝てるETFはないと思いますが、QQQはVOOGよりも更に集注した投資となっており、リスクもその分上がります。
そこで私は、別記事でQQQとVOOの両方への投資をお勧めしていますが、VOOGは1つのETFで、QQQとVOOに分散する効果が得られると考えられます。上昇率を見てQQQとVOOを足して割った動きを見せています。
つまり、QQQほどリスクは取れないが、VOOよりも成長率を期待したい方には、VOOGはおすすめのETFと言えるでしょう。
まとめ
この記事では、「バンガード S&P500 グロース ETF(VOOG)」についてご紹介しました。
構成銘柄としては、ハイテク関係の大企業ばかりで安定と成長率を兼ね備えたETFと言えます。
シミュレーションの結果からは、QQQ(NASDAQ100)とVOO(S&P500)を足して2で割ったような動き、成長率を確認しました。
QQQほどリスクは取れないが、VOOよりも成長率を期待したい方には、VOOGはおすすめのETFと言えるでしょう。
また、QQQ(NASDAQ100)やVOO(S&P500)のパフォーマンスを比較し、どちらの銘柄がいいのか、このブログ内で比較していますので、良ければ以下の記事をご確認ください。