この記事では、三菱UFJ国際投信の「eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)」について紹介します。
近年、若い方からお年寄りの方まで、「資産運用」する方が増えてきています。保険や投資信託を用いて運用される方が多いかと思いますが、eMAXIS Slimシリーズは、 コストが安く最も人気のある投資信託シリーズとなっています。
今回はその中の「eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)」を紹介します。
具体的には、eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)の中身を分析し、メリット・デメリットについて解説していきます。
【結論】eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)は「安定思考向き」

先にこの記事の結論を述べると、eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)は比較的リスクが小さく、安定した運用が可能です。
eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)は、株式だけでなく、債権や不動産にも分散し運用できる商品なので、株式だけに投資し運用する「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」や「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」などに比べて、値動きが小さくなる傾向にあります。それは上昇基調の際も、下落基調の際も、どちらの場合でも言えます。
つまりは、eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)は、大きな上昇や急上昇などの高い利益を期待できるわけではありませんが、逆に大きな下落や暴落など大きく資産を減らす可能性も比較的低い商品です。
以上から、絶対に資産を減らしたくない方や、一度下落した際に再度上昇するまで待てない人・時間が少ない方、50代・60代など比較的高齢者の方などに向いた商品かと言えます。
若い方は下落しても長い時間をかけてでも戻るまで待つことができますが、60代から運用を始めて70代でリーマンショックなどの大暴落を迎えた場合、そこから回復まで5-10年かかるとなると、なかなか難しい状況になりますよね。
こんな場合に、今回紹介するeMAXIS Slim バランス(8資産均等型)はおすすめの商品と言えます
では、eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)の中身や仕組み、過去のチャートなどを詳しくみていきながら、これらのメリット・デメリットについて紹介していきます。
eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)とは?

eMAXIS Slimシリーズの投資信託は、今回紹介する「バランス(8資産均等型)」だけでなく、以下のように様々な運用商品が揃っています。
例えば、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)であれば、投資先として最も人気のある「S&P500指数」に連動を目指す商品であり、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)であれば「全世界株式」を組み入れた商品です。
では、今回の「eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)」の「8資産」とはなんでしょうか?
バランス(8資産均等型)とは?
バランス(8資産均等型)とは、以下の8つの分野の投資先を示しています。
また8分野に均等に12.5%前後での運用を目標に組み入れられています。

資産運用する際には、株式・債権・不動産など様々な投資先がありますが、それらをバランス良く、できるだけ多い分野に投資するスタンスをとっているのが「eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)」になります。
各分野は「12.5%」程度の割合を目標に組み入れられますが、もう少し大きく捉えると、以下のような内容で組み入れられてることになります。
eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)は、投資商品でみても、国別割合で見ても、バランスよく分散されていることがわかります。
続いて、もう少し詳しい情報を見ていきましょう。
ファンド情報:eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)
eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)のファンド情報を表に整理します。
項目 | ファンド情報 |
---|---|
運用会社 | 三菱UFJ国際投信株式会社 |
受託会社 | 三菱UFJ信託銀行株式会社 |
連動対象 | 合成ベンチマーク (8資産分散) |
ファンド設定日 | 2017年5月9日 |
分類 | バランス型 |
販売手数料 (購入時手数料) | 無料 |
信託報酬 (運用管理費用) | 0.154% |
信託財産留保額 | 無料 |
信託報酬(運用コスト)が「0.154%」となっており、他のファンドと比べてもかなり低コストになっているのが分かります。8資産に分散しているにもかかわらず、この手数料は非常に安いです。
自分で8個の商品に投資して管理するのを考えると、非常に手間がかかりますよね。それをeMAXIS Slim バランス(8資産均等型)だけで行うことができます。
eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)の「合成ベンチマーク」とは?
連動対象は「合成ベンチマーク」となっています。
8資産に分散しているためこのような形になっていますが、1つ1つを見ると、きちんとした投資対象への連動を目指した商品になっています。
8資産に分散しているので、カタログには便宜上「合成ベンチマーク」と記載されていますが、8資産それぞれはちゃんとした指数への連動を目指して、運用されていることがわかります。
ファンドの仕組み:eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)
eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)の仕組みについて、簡単にまとめたので紹介しておきます。
私たちは、SBI証券・マネックス証券など各証券会社を通して「eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)」を購入します。
私たちの投資資金(購入資金)は、受託会社である三菱UFJ信託銀行に集められ、その後、8つのマザーファンドに分散投資されます。そのマザーファンドがそれぞれ連動を目指している指数に沿って、株式や債権・不動産などに投資をするという仕組みです。
各証券会社の投資信託販売金額ランキング(2022年2月10日時点)
eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)を各証券会社でどれぐらい人気がある投資信託なのかを見てみましょう。
各社での販売実績を見てもわかるように、一部の方がおすすめしているのではなく、日本中で人気のある投資対象であることがわかります。
主要ネット証券3社 | 販売ランキング |
---|---|
SBI証券 | 投資信託 バランス分野 販売金額・件数 第1位 |
マネックス証券 | 投資信託 バランス型 月間売れ筋 第5位 |
楽天証券 | 投資信託 バランス型 第3位 |

eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)のメリット・デメリット

eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)の中身が理解できたら、メリットを考えてみましょう。
メリット
eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)のメリットは、名前の通り「8資産に分散している」点です。
分散していると何が嬉しいのかというと、価格変動率を抑えることができます。つまりは下落リスクを抑えることができます。
ここで一例を挙げてみます。以下2つの投資信託を比較してみましょう。
・2018年〜2022年6月のチャートを比較

・2022年1月〜2022年6月のチャートを比較

2つのチャート見ると、株価が上昇傾向である最初のチャートの場合、米国株式100%のeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)の方が上昇率は高くなっています。
一方で2つ目のチャートを見ると、2022年1月に購入した場合、eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)の方が下落率が低く、資産を守れていることがわかります。
2022年に入ってから株価が下落が続いており、株式市場は非常に厳しい状態になっています。そのような状態の場合は、8資産に分散しているeMAXIS Slim バランス(8資産均等型)の方が分散の効果があり、下落幅を小さくできています。
これが「eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)のメリット」ではないでしょうか。
デメリット
続いて、eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)のデメリットについて紹介します。
個別株や特化型ファンドに比べるとパフォーマンスが低くなる年もある

上の画像は、eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)の平均年上昇率です。1年,3年,5年のところを見ると、eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)の平均成長率は3-8%と考えることができます。
これに対し、過去10年だけを見ると、米国の巨大IT企業(アップルやマイクロソフト・グーグルなど)は、特に高いパフォーマンスを示しており、年10%を超えた成長を続ける企業も少なくありません。
それらの米国株などに比べると、eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)の上昇率は低くなります。
しかしこれら個別株はリスクもあります。
実際に2022年2月に、メタプラットフォーム(旧フェイスブック)の株価は、わずか1週間の間に32%も急下落しました。
つまり、株式100%などで資産運用すると、eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)よりも高いパフォーマンスを期待することはできます。この点がeMAXIS Slim バランス(8資産均等型)のデメリットの一つです。
しかし逆に急激に資産価値を減らすリスクもあるということを覚えておく必要があります。安定的に資産運用できるのはeMAXIS Slim バランス(8資産均等型)のメリットでもあります。
投資信託なので、購入金額をコントロールできない
投資信託(eMAXIS Slim バランス(8資産均等型))の購入は、「基準価格」をもとに購入金額/購入量が決まります。
eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)の基準価格は、購入注文を行った日の翌日(場合によっては翌々日など)の米国市場の株価によって決まるため、タイムリーな取引ができないのがデメリットです。
ただこの点は、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)に限った話ではなく、投資信託で国外への投資を行う場合は、当てはまる問題です。
また長期投資を前提で購入する場合は、1日・2日の上下動は誤差になるので、あまり気にしなくても問題ありません。
eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)の構成銘柄・構成為替

eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)は、具体的にどのような銘柄で運用されているのでしょうか?
詳しくみていきます。
上位10銘柄
三菱UFJ国際投信のホームページに中身を確認すると、株式・債権・不動産のそれぞれから上位3-4銘柄のみ公開されています。
No. | 組み入れ銘柄 | 種類 | 国 | 割合 |
---|---|---|---|---|
1 | 台湾セミコンダクター | 株式 | 台湾 | 0.8% |
2 | アップル | 株式 | 米国 | 0.6% |
3 | テンセント | 株式 | 中国 | 0.5% |
4 | マイクロソフト | 株式 | 米国 | 0.5% |
5 | BRAZIL-LTN 240101 | 債権 | ブラジル | 0.3% |
6 | BRAZIL-LTN 240101 | 債権 | ブラジル | 0.2% |
7 | 10.5 SOUTH AFRICA 261221 | 債権 | 南 アフリカ | 0.2% |
8 | 日本ビルファンド 投資法人 | リート | 日本 | 0.9% |
9 | PROLOGIS INC | リート | 米国 | 0.8% |
10 | ジャパンリアル エステイト投資法人 | リート | 日本 | 0.8% |
上位銘柄のうち、最も割合が高い銘柄でも1%に届いておらず、分散が効いていることがわかります。
株式に関して言えば、上位に熊本県に工場の建設を進めている台湾セミコンダクターや、中国のIT企業であるテンセント、米国からは誰でもが知っているアップル・マイクロソフトがランクインしています。
構成されている為替の割合
こちらに関しても、三菱UFJ国際投信のホームページに公開されています。
No. | 組み入れ通貨 | 割合 |
---|---|---|
1 | 日本円 | 37.2% |
2 | アメリカドル | 26.4% |
3 | ユーロ | 6.8% |
4 | 香港ドル | 3.2% |
5 | イギリスポンド | 2.1% |
6 | 中国元 | 1.8% |
7 | 台湾ドル | 1.8% |
8 | 韓国ウォン | 1.5% |
9 | メキシコペソ | 1.5% |
10 | インドルピー | 1.5% |
最も多くの割合を構成している為替(通過)は、日本円になっています。続いてアメリカドルとなっており、2つの通貨だけで60%以上を構成していることになります。
その他、ユーロ、中国元、イギリスポンドなどが続いており、世界中の通貨を分散して所有しているのと同じ効果が得られます。
実際の8資産の割合は?
eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)は、8資産を均等にバランスよく構成するのが大きな特徴であり、メリットの一つです。
実際のところの構成割合はどうなっているのでしょうか?
No. | 組み入れ通貨 | 割合 |
---|---|---|
1 | 国内株式 | 12.2% |
2 | 国内債権 | 11.3% |
3 | 国内リート | 12.3% |
4 | 外国株式 (先進国・新興国) | 24.4% |
5 | 外国債権 (先進国・新興国) | 23.9% |
6 | 外国リート (先進国) | 13.1% |
7 | 他(調整など) | 2.8% |
100%を8で割ると、1資産あたり12.5%となります。おおよそですが、12.5%付近の割合で各資産構成されていることがわかります。
差があるとすれば、国内債権が若干低め、外国リートが若干高めになっています。
国内債権はリターンが低くあまり魅力がありません。また外国の不動産は価格上昇が続いており順調に成長している分野の一つなので、多少割合に差が生じていると考えられます。
eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)を購入できる証券会社

eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)はどこで購入できるのでしょうか?
先に言うと、主要なネット証券であれば大体購入することが可能です。
SBI証券やマネックス証券、楽天証券でNISA制度を利用している/利用を検討している方も多いかと思いますが、NISA制度の中でももちろん購入することが可能です。
NISA制度やiDeCo制度の中での投資対象として人気がある
近年、日本国内でも老後2000万円問題が報道されて以来、NISA制度やiDeco制度を通して、生活資金や老後資金を長期的に投資する方が増えました。
日本で自分の資産を運用している方の割合はおおよそ10-20%程度と言われています。
これから資産運用を始める方は、10代20代の方もいれば、50代60代、70代の方もいるかもしれません。
資産運用は、時間を長く取ることで有利に働くことが多いものです。下落しても上昇するまで待つことができますし、株式などは長期間で見れば成長をつづているため、期間が長く取れば取るほど、成長幅を得ることができます。
ただし成長のことだけを考えるのもよくありません。特に50代60代以降の方がこれから資産運用を始める場合、時間軸を長く取れない場合もあるかと思います。
その場合は、成長だけでなく、ディフェンス能力も考えた資産運用が必要です。
その中で、低コストで有名で人気のある「eMAXIS Slimシリーズ」のバランス型である「eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)」は、ある程度ディフェンス面の能力も高い商品と言えます。
購入できる銀行・証券会社一覧
銀行・証券会社共に多くの金融機関で購入することが可能です。eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)の月間レポートに購入できる証券会社一覧があります。
文字が細かくて読みにくいため、ここでは前者を紹介するのは省略しますが、主要のネット証券であれば購入可能です。
SBI証券・マネックス証券・LINE証券・楽天証券などであれば、問題なく購入可能です。
SBI証券で資産運用する場合は、必ず三井住友カード(NL)決済で投資することをおすすめいたします。
購入金額の0.5%~1.0%をポイントとして還元を受けることができるため、三井住友カード(NL)でさらに実質的な運用コストを低く抑えることが可能です。
まとめ
この記事では、大人気の「eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)」について、メリット・デメリットを紹介しました。
eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)は、扱っている銀行や証券会社もかなり多く、身近な商品となっており、比較的ディフェンシブな商品と言えます。
とにかくお金を減らさないことが重要、大きく増えなくてもいいから絶対に減ってほしくないと考える方には向いている商品と言えます。
しかし記事内でも過去のチャートを紹介しましたが、金融市場全体が下落するような場面では、eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)でも下落する可能性は十分にあります。
eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)で資産運用を検討されている方は、その点を理解した上で自分の意思で購入されることをお勧めいたします。あくまで投資・資産運用は自己責任でお願いいたします。