この記事では、投資戦略の一つである「コアサテライト戦略」とは何かを解説します。
コアサテライト戦略は、資産の7-9割を守りの銘柄に投資をする。残りの1-3割を少し攻めの銘柄に投資を行う戦略です。
「コア」「サテライト」でどのような銘柄を選ぶべきかを解説します。
結論を述べると、おすすめは「米国株×米国株」「米国株×仮想通貨」の2つになります。
コアサテライト戦略とは?

コアサテライト戦略について解説します。まず「コア」「サテライト」の言葉の意味は以下の通りです。
コアは守りの投資です。「減らさない投資」を目的に、資産の7-9割を投資します。
一方でサテライトは攻めの投資です。積極的にリターンを得るために投資し、資産の1-3割を投資します。
コアサテライト戦略のイメージは以下の図です。

コア(守りの資産)
「コア」になる部分で、「守りの投資」を行いリスクを減らします。出来るだけ資産が減らずにゆっくり少しづつ成長していく銘柄を選択して投資を行います。
コアで運用する守りの投資は、減らしたくないお金であり老後資金の準備などが例に挙げられます。そのほかにも、教育資金やマイホーム購入のための準備など、コアの部分で運用する資金の目的は今後の生活に必要なお金を準備するのが目的です。なので失敗は許されません
サテライト(攻めの資産)
「サテライト」になる部分は、「攻めの投資」を行い高いリターンを狙います。多少リスクがあっても高い利益を期待して投資を行います。
サテライトで運用する攻めの投資は、余剰資金で行うものです。コアで生活資金を確保している分、興味のある銘柄や話題の投資先にチャレンジすることが許されるのがサテライトになります。
このように、生活資金(コア)の運用はリスクを抑えた安定的で着実に成長する銘柄の投資を行い、余剰資金(サテライト)で話題の銘柄などのチャレンジし高い利益を狙ってみるのが「コアサテライト戦略」になります。
コアとサテライトの役割と割合の目安
コアサテライト戦略では、先ほど述べた通りコアとサテライトで運用の目的が異なりますので、投資策もそれぞれの目的にあった商品を選ぶ必要があります。
ここで目的にあっていない商品を選ぶと、コアで必要以上に資産をリスクに晒したり、サテライトで大きな利益が得られなかったりと、目的に合わない投資を行うことになってしまいます。
コアとサテライトは、以下の内容で商品や銘柄を選ぶことをおすすめします。
目的 | 目安割合 | おすすめ銘柄 | |
コア | 生活資金の運用 (守りの投資) | 70-90% | 米国株インデックス ( VTI or VOO ) |
サテライト | 余剰資金の運用 (攻めの運用) | 10-30% | ・米国成長株 ・新興国株 ・仮想通貨(暗号資産) |
コアは資産の中の最低70%以上を運用します。70-90%を守りの資産とし、米国株式全体に投資できるVTI・VOOに米国ETFか投資信託のどちらかで投資を行います。
サテライトは資産の中で最高でも30%以下で運用します。10-30%を攻めの資産とし、成長著しい話題の銘柄や新興国株、また仮想通貨に投資を行い高いリターンを狙いましょう。
ここで重要なのは、コアの資金をきちんと確保することです。将来の生活資金をしっかり確保できる割合を皆さんそれぞれで確認し、まずはコア優先で投資を行いましょう。
コアにするべき「2つ」の銘柄は「全米株式」「S&P500」

コアで投資するべき銘柄は、「全米株式」か「S&P500指数」の2つのみです。
いずれも米国株式全体に投資することができるインデックスです。コアは米国株式全体に投資するようにしましょう。
米国株式の過去チャートと今後の見通し
米国市場はこれまでもこれからも世界経済を牽引していく可能性が高いと市場関係者から言われています。
2000年頃のITバブルや、2008年頃のリーマンショックなどの下落相場にように、今後も一時的に下落することもあるかと思いますが、過去の状況を見ると下落後、米国株式の株価はすぐに戻しています。
下落後株価は戻した後、過去の株価以上に着実に成長していっていることが下のグラフから分かります。(下のグラフは、VTI/VOOの過去の株価チャートです)

つまり米国株式は今後も成長を続ける可能性が高いと言われています。米国株式全体への投資は、短期で大きなリターンを得ることができませんが、少しづつ資産が増やすことが出来るので、コア部分の投資として向いているのです。
コア(VTI・VOO)を購入する方法

コアで投資するべき2つの商品は「全米株式(VTI)」と「S&P500(VOO)」です。
VTIとVOOに投資できる銘柄(商品)は、間接的に投資できるものも含めて以下の「6つ」です。
投資方法は、米国ETFと投資信託の2つの方法があります。米国ETFか投資信託かは、少し差はありますが好みで選んで問題ありません。初心者の方は投資信託を選ぶようにしましょう。
VTI(バンガード・トータル・ストック・マーケット ETF)
VTIは、バンガード・トータル・ストック・マーケットETFのティッカーシンボルです。有名な米バンガード社によって運用される米国ETFです。バンガード社のホームページには、「VTIは、CRSP USトータル・マーケット・インデックスへの連動を目指します」と記載があります。
簡単に言うと、「VTI」とは「米国株式全てに分散投資できる米国ETF」になります。
米国ETF(VTIへ直接投資する)
VTIに投資する方法は、直接米国ETFである「VTI」を各証券会社で購入するのが1つ目の方法です。VTIはとても有名で代表的な米国ETFなので、ほとんどの証券会社で購入することができます。
米国ETFは株式のように扱える投資信託ですが、為替交換の手間や購入最低金額が1万円以上となっていることから、少し扱いにくい商品です。
投資信託(間接的にVTIへ投資する)
米国ETFが少し扱いにくい商品でした。そこで初心者の方や少額から資産運用を開始したい方には、100円から投資でき日本円のまま購入できる投資信託がおすすめです。
SBI・V・全米株式インデックス・ファンドは、集めた資金をVTIに直接投資してくれるので、VTIに投資しているのとほとんど同じ資産運用が可能です。また運用手数料も低くおすすめです。SBI証券・マネックス証券などで購入可能です。
楽天・全米株式インデックス・ファンドは、VTIと同じ動きを目指し資産運用するファンドです。直接VTIに投資する訳ではありませんが、株価の上下動にほとんど差はありません。楽天証券で購入可能です。
VOO(バンガード・S&P500 ETF)
VOOは、バンガード・S&P500 ETFのティッカーシンボルです。VOOも有名な米バンガード社によって運用される米国ETFです。バンガード社のホームページには、「米国市場で最も重要な株式指数である「S&P500指数」のパフォーマンスへの連動を目指しているETF」と記載があります。
簡単に言うと、「VOO」は「S&P500指数へ連動し、アメリカの超優秀な大型株500社へ一度に分散投資できるETF」ということになります。
米国ETF(VOOへ直接投資する)
VOOに投資する方法は、直接米国ETFである「VOO」を各証券会社で購入するのが1つ目の方法です。VTIはとても有名で代表的な米国ETFなので、ほとんどの証券会社で購入することができます。
米国ETFは株式のように扱え、その時すぐに売買が出来るのがメリットですが、為替交換の手間や購入最低金額が2021年12月時点で4万円程度となっていることから、1株購入するにもまとまった資金が必要であり、扱いにくい点もある商品です。
投資信託(間接的にVOOへ投資する)
VOOが連動を目指す「S&P500」に投資するためには、米国ETFだけではありません。
S&P500には、非常に優秀な投資信託が国内にあります。初心者の方や少額から資産運用を開始したい方には、100円から投資でき日本円のまま購入できる投資信託がおすすめです。
SBI・V・S&P500インデックス・ファンドは、集めた資金をVOOに直接投資してくれるので、VOOに投資しているのとほとんど同じ資産運用が可能です。また運用手数料も業界最安値となっており非常におすすめの投資信託です。SBI証券・マネックス証券などで購入可能です。
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)は、VOOが連動を目指している「S&P500指数」と同じ動きを目指す投資信託です。直接VOOに投資する訳ではありませんが、株価の上下動にほとんど差はありません。こちらも有名な商品なので、多くの証券会社で購入可能です。
サテライトで購入すべき「3つ」の銘柄

サテライトについてですが、コアを米国株でしっかり固めた上での話になります。
コアを固めていれば、サテライトで購入する銘柄(商品)は好みやその時話題な銘柄など何を買っても問題ありません。
どうせなら少しリスクをとりながらリターンを狙いたいと思いますので、ここでは3つのサテライト候補を紹介します。
米国テクノロジーに特化した銘柄(NASDAQ100・QQQ)
米国株式を近年牽引しているのがテクノロジー銘柄です。全米株式(VTI)やS&P500(VOO)の上位銘柄もアップル・グーグル・マイクロソフトといったテクノロジー企業が高い割合を占めています。
VTIやVOOよりもさらにテクノロジー銘柄を割合を高めることで、より高いリターンを得ることが可能です。但しリターンが大きい分、リスクも大きくなることは注意が必要です。
テクノロジー銘柄に投資する主な方法は、以下の3つがあります。
新興国株式(VWO)
バンガード・FTSE・エマージング・マーケッツETF(VWO)は、米国ETFであり、経費率が0.10%と新興国関連のファンドの中では最も安く、加えて新興国株式市場の大型・中型・小型株に一度に分散投資できるのが特徴です。
また新興国株式は、株価の変動が先進国株式よりも大きいのが特徴です。つまり新興国株式(VWO)は、米国株式(VTIやVOO)に比べてハイリスクハイリターンになります。
例えば、インドは人口増加に伴い更なる経済成長が期待されています。もう一つ代表的な新興国として中国があります。中国も高い経済成長を期待されていますが、一方で政治リスクも懸念されています。
このように新興国株式は高い成長率が期待できる一方で政治や環境、世界情勢の影響を受けやすい傾向にあり、米国株式に比べてハイリスクハイリターンと言えます。
コアを固めているからこそ、新興国にチャレンジすることが出来るので検討してみてはいかがでしょうか。新興国株式に投資する主な方法は、以下の2つがあります。
仮想通貨(暗号資産):ビットコイン・イーサリアム
最後のサテライト候補は、仮想通貨(暗号資産)です。
ビットコインやイーサリアムといった仮想通貨が近年話題となっています。
話題となる理由は価格変動が大きく短期で大きな利益を得た方々が出てきたためです。
仮想通貨は米国株よりも価格変動が大きいためリスクもありますが、ブロックチェーン技術を発展と普及によって着実に需要を伸ばしており、中長期で見ると、ビットコインやイーサリアムの価格は上昇を続けています。

上のビットコインの価格チャートを見ると、変動は大きいものの確実に成長を続けていることがわかります。米国株式(青線:S&P500)と比べて、ビットコイン上昇率は非常に大きいです。
ビットコインの過去5年間の平均上昇率は2.3倍となっており、今後も続けば非常に高いリターンを得ることが可能です。
サテライトは一つに絞る必要ありません!
サテライト候補で3つ紹介しましたが、1つに絞る必要はありません。
仮想通貨も投資信託も実は100円から購入することが出来ます。なので、サテライトは一つに絞らなくても以下のように組み合わせてサテライトを組むことも可能です。
色々な資産を持つことで、リスクを分散させることが可能なので、米国株をコアに新興国や仮想通貨といった資産を持つことも検討してみてはいかがでしょうか。

QQQ vs VWO vs ビットコイン
米国株式テクノロジー(QQQ)と新興国株式(VWO)と仮想通貨(ビットコイン)の3つだと、どれが一番パフォーマンスが高いのでしょうか。
2018年〜2021年の4年間の各株価チャートを比較したのが以下のグラフです。

3つを比較すると、仮想通貨は上下動が激しいですが最も高いリターンを得ることができています。一方で新興国株式の上昇幅は比較的小さいことも分かります。
米国テクノロジー(QQQ)は、比較的安定的に上昇していますが仮想通貨よりも上昇幅は小さく約半分となっています。
以上より、過去4年間のチャートだけで判断すると、サテライトには仮想通貨か米国株のテクノロジー銘柄がおすすめと言えます。
サテライトを購入する方法
米国のテクノロジー株や新興国株式の購入方法は、VTIかVOOと同じ方法で購入できます。
ご紹介した投資信託や米国ETFは有名なものばかりなので多くの証券会社で購入することが可能です。
もしこれから口座開設を行う方で、どこの証券会社にするか迷われている方は、SBI証券か楽天証券で口座開設することをおすすめいたします。
理由は使いやすく手数料が安い、また優秀な投資信託のラインナップが多いためです。
仮想通貨を購入する方法
仮想通貨を購入するためには株式や投資信託と同じように、仮想通貨を取引するための口座開設が必要です。
仮想通貨への投資は必ず少額で行うことをおすすめします。
少額で取引できる代表的な取引所は、bitFlyerとコインチェックの2つになります。
中でも毎日のつみたて投資なら、1円から始めることが出来る「ビットフライヤー」は出来るだけ少額で仮想通貨を始めたい方にはおすすめです。
口座開設の手順、実際に仮想通貨を購入する手順も以下の記事にまとめていますので、良ければご覧ください。
まとめ
ここ記事では、投資戦略の一つである「コアサテライト戦略」について解説しました。
またコアとサテライトとして選ぶべきおすすめ銘柄についても紹介しました。サテライトで仮想通貨への投資を考えている人は、出来るだけ長期投資、また少額で投資することをおすすめします。
毎月1万円・毎週1000円・毎日100円など少額を長期で行うことで、仮想通貨の長期的には成長の恩恵を受けやすくなります。