この記事では、大手金融機関でファンドラップを販売している筆者が、“ファンドラップに代わる分散投資の方法”についてまとめています。
ファンドラップのような分散投資は魅力的だが、コストを抑えて運用したいという人にお勧めの記事です。
- 金融機関からファンドラップを勧められている人
- ファンドラップをすでに保有している人
- 値動きを抑制して投資をしたい人
- 分散投資に興味がある人
etc

プロフィール
大手金融機関 総合職10年目
個人顧客への資産運用、税金対策等のコンサルタント業務を担当
FP1級、宅地建物取引士
ファンドラップとは

ファンドラップは、金融機関に資産の運用をお任せできる投資商品で、金融機関は顧客の投資意向に沿って、預かった投資資金を複数の投資信託に振り分けて運用を行います。
投資対象を分散しているため、相場上昇時も下落時も値動きが緩やかなため、保守的に運用することが可能です。
また、投資対象の選定、運用期間中の売買などの判断や管理を全て運用のプロが行なってくれるため、投資初心者でも始めやすい運用商品となっています。
ファンドラップのセールスポイントだけ聞くと魅力的な商品に感じますが、金融機関に運用してもらう分費用が高く、コストが投資対象のリターンを食ってしまうことが多々あります。
そのため、この記事では、ファンドラップに代わるお勧めの投資方法を紹介したいと思います。
分散投資のメリット

ファンドラップが行っているような、分散投資自体は、有効な投資手法の一つだと思います。
リスクを取れる資金であれば、株式を投資対象としたインデックスファンドへ投資するのがお勧めですが、大きなリスクをとって運用することができない資金もあると思います。
分散投資を行うと、大きなリターンを期待することはできませんが、リスクを抑えた運用が可能なため、保守的に運用したい資金については、分散投資で安定的な成長を目指して運用をすることが望ましいと思います。
例えば、退職金の運用で大きなリスクを取りたくない、知識がないので保守的な商品で運用を始めたいなどという人には、分散投資で年3%程度のリターンを狙いにいくという選択も良いと思います。
ファンドラップに代わるおすすめの投資方法

自分で複数の投資対象に分散投資する
一つ目にご紹介するのが、自分で複数の投資対象に分散投資する方法です。
少々手間はかかりますが、複数の投資信託やETFのインデックスファンドへ分散投資を行います。
複数のファンドに分ければ分散効果は高まりますが、手続きや管理が少々面倒になると思うので、投資対象の異なる4〜6程度の投資信託やETFへ投資を行うと良いと思います。
選択するファンドは手数料が安いインデックスファンドがおすすめです。
参考に3つのポートフォリオを紹介します。
年金運用のポートフォリオ

公的年金の基本運用比率を参考にしたポートフォリオです。
国内資産が半分を占めるため、為替影響を抑制しながら投資が可能です。
良くも悪くもほとんど変動のない国内債券にも投資をしているため、かなり保守的な分散投資のポートフォリオです。
資産分散を重視したポートフォリオ

株、債券に加えて、REIT(不動産)や金といった値動きの異なる資産を組み入れたポートフォリオです。
株式の比率が半分を占めているため、値上がりを重視したい方におすすめのポートフォリオです。
値上がり重視とはいえ、株式が下落するときに上昇する債券や金をポートフォリオに組み入れることで、相場下落時のリスクを抑制することができます。
外国資産をメインに投資するポートフォリオ

外国資産をメインに投資するポートフォリオです。
今後、日本は人口減少とともに経済成長が鈍化することが予想されるため、長期投資を考えたときにポートフォリオから日本を除外するのも良い選択肢の一つだと思います。
この先も経済成長が見込まれるアメリカや新興国を中心に投資することで、長期的に高いリターンが期待できます。
投資信託のバランス型ファンドに投資をする
二つ目に紹介するのが、投資信託のバランス型ファンドに投資をする方法です。
一つの投資信託のファンドを選ぶだけで分散投資が可能なため、手間をかけたくない方にお勧めです。
低コストで運用を行いたい場合は、運用期間中に投資対象の資産や割合の見直しを行うことがないシンプルなバランス型ファンドを選ぶと良いと思います。
多少コストがかかってもファンドラップに近いお任せ運用が良いという場合は、投資対象の資産配分などの見直し機能がついたバランス型ファンドを選ぶと良いと思います。
参考に2020年のモーニングスター社のファンド・オブ・ザイヤーを受賞したバランス型ファンドを紹介します。
【低コスト】バランス型ファンド

【機能重視】バランス型ファンド


ロボアドバイザーを利用する
ファンドラップは対面取引をメインとする金融機関が販売しているため、コストが高かったり、申し込みの最低金額が数百万円と設定されていたり、申し込みのハードルが高い商品です。
その点、ネット証券が取り扱うロボットアドバイザーであれば、ファンドラップと似たような商品性ですが、運用期間中にかかるコストが安く、申し込み金額も最低1万円(※金融機関によって異なる)から可能です。
例えば、楽天証券のロボアドバイザー「楽ラップ」であれば、運用期間中に金融機関に支払う管理費用が年0.715%(固定報酬型)で、大手金融機関が販売するファンドラップの半分以下の費用となっています。
それでいて、下落抑制の投資手法を選択できたり、自動買付ができたり、機能面も充実しています。
1万円から申し込みが可能なため、分散投資のイメージを掴むためにとりあえず運用を始めてみたい方にもおすすめです。
まとめ
自分で複数の投資対象に分散投資するのがおすすめな人
- 自分好みのポートフォリオを組みたい人
- コストを抑えて運用したい人
バランス型の投資信託に投資するのがおすすめな人
- 手軽に分散投資したい人
- 実績を確認して投資をしたい人
ロボットアドバイザーに投資するのがおすすめな人
- ファンドラップに近い分散投資を望む人
- 自分の投資意向に近いポートフォリオで運用したい人